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【J2:第21節 岐阜 vs 湘南】レポート:さようなら『ミスター岐阜』。彼の残したメッセージを受け止め、更なるステップアップを!!(09.06.15)

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6月14日(日) 2009 J2リーグ戦 第21節
岐阜 2 - 2 湘南 (13:04/長良川/6,607人)
得点者:41' 冨成慎司(岐阜)、42' 坂本紘司(湘南)、70' 秋田英義(岐阜)、79' 中村祐也(湘南)
スカパー!再放送 Ch185 6/15(月)12:30〜(解説:小島宏美、実況:堂野浩久、リポーター:桑原麻美)
勝敗予想ゲーム
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昨年現役引退した森山泰行から『ミスター岐阜』の称号を引き継いだ、FW片桐淳至の同じJ2の甲府への完全移籍が決まり、サポーターには大きな衝撃が走った。
シーズン中盤にエースの移籍。そして急遽訪れたエースのラストゲーム。この日の長良川競技場は異様な雰囲気に包まれていた。6,607人の観衆が集まったスタジアム。快晴の日曜日の午後という好条件だけでなく、この日は明らかにこれまでと違う雰囲気が漂っていた。

『勝って彼を送り出そう』。そう挑んだ試合は、立ち上がりからお互いががっぷり四つに組んだ、こう着状態が続く試合となった。湘南はCBがしっかりと2トップにつきながらも、ラインの位置を細かく修正し、バイタルエリアのスペースを作らせないようにコントロール。特に岐阜の左サイドの嶋田正吾のカットインを警戒し、ラインもフラットではなく角度を常に持たせた形で、岐阜の攻撃にはめ込んできた。攻撃面では島村毅がうまく岐阜の守備のギャップに入り込み、2列目が走りこめるスペースを作り、アジエル、坂本紘司、寺川能人、中村祐也の個性的なアタッカーを生かした。
岐阜も西川優大、佐藤洸一の長身2トップをターゲットにしながらも、ボランチがお互いの距離感を保ちながら的確なビルドアップを見せ、嶋田、高木和正の両サイドを生かして攻撃の糸口を掴んでいく。守備でもアジエル対策として、中央の島村のケアはCBに任せ、左SBの秋田英義が嶋田や高木と連携して挟み込む形を取って、彼の自由を奪った。
共に組織的な守りと、狙いを持った攻撃。双方が形を明確に持って挑んできたからこそ、試合はこう着状態となった。共に決め手が無く、ダラダラとした試合展開だからではなく、プレビューでも書いたように、共に細かい駆け引きが各局面で内在し、お互い集中力を一瞬たりとも切らせない、白熱の攻防が散りばめられていたからこそ生まれたものであった。

試合が動いたのは41分だった。右サイドのMF永芳卓磨のクロスに反応したのは、DF冨成慎司。嬉しいJ初ゴールをボレーで決め、岐阜がリードを奪った。
しかし、その直後に恐れていたことが起こってしまう。これまで完全に押さえていたアジエルに一瞬の隙を与えてしまう。その予兆は実は立ち上がりからあった。アジエルにはサイドでほとんど仕事をさせていなかったが、中央では違った。中央へ入ってくるアジエルに対してはボランチの永芳が対処していたが、ボールに食いついてしまいがちで、アジエルがボールをはたいた後にマークを外してしまい、CBとのマッチアップになってしまうリスクを犯してしまっていた。だが、これまではマークの外れたアジエルに効果的なボールが行かなかったが、42分にはついにそれが失点に繋がってしまった。アジエルが中央で前を向くと、バイタルエリアにダイアゴナルで入ってきた中村へ縦パス。これを中村がDF3人を右に引き付けて、左に出来たスペースへ絶妙のダイレクトパスを送り込み、一気にフリーになった坂本が、GKとの1対1を冷静に決めて、試合をすぐさま振り出しに戻した。

1-1で迎えた後半、「今週火曜日にゲームあって、さらに今日は暑かったので、このインターバルの少なさが出たかなとも思う」と反町康治監督が語ったように、徐々に湘南の選手の足が止まりだし、岐阜が試合を支配し始める。チャンスと見た松永英機監督は、56分に、この試合の『主役』の片桐を投入。片桐は投入直後から、得意のドリブルでさらに湘南を追い込んでいくと、70分には片桐のクロスがこぼれたところを、「前半から相手のクリアがこぼれてくるので、気になっていたので、こぼれてくるのを信じて、前に行きました」と語った左SBの秋田が、胸でワントラップしてボールをコントロールし、目の覚めるようなビューティフルゴールをたたき出し、勝ち越しに成功した。

しかし、またしても一瞬の隙をアジエルに突かれてしまった。79分、アジエルが起点となり、中村の縦パスに交代出場のFW阿部吉朗が抜け出して上げたセンタリングを、ゴール前に走りこんだ中村が決めて、試合を再び振り出しに戻すと、その後は岐阜の猛攻を耐え凌ぎ、2-2のドローで決着した。

『勝って片桐を送り出そう』ー。これが暗黙の合言葉になっていた。そんな雰囲気の中で行われた試合は、岐阜の秘めた底力を実感できる最高の試合だった。これは「岐阜は非常にいいサッカーをしていた。第二クールの岐阜は、第二クールの中での成績は上のほうに行くチームだと思う」と、湘南・反町監督も岐阜のチームの成長に舌を巻いたほどであった。しかし、結果は湘南に首位の意地を見せられてドロー。試合後、セレモニーを終えた片桐は、「こういう試合でゴールが決められないのが、僕らしいところなのかな」と語ったが、それは『岐阜らしい』ところでもあった。岐阜は今季、内容では上回りながらも勝てなかった試合が多い。エースが岐阜に最後に残していったメッセージは、まさにそのことなのかもしれない。

彼のメッセージをチーム全員がしっかりと受け止め、勝ちきるチームへ向けて、更なるステップアップをしていかなければならない。

以上

2009.06.15 Reported by 安藤隆人
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