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【J2:第21節 甲府 vs 熊本】レポート:みんなが嬉しくなるゴールであの人がジーン・ケリーになった。(09.06.15)

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6月14日(日) 2009 J2リーグ戦 第21節
甲府 4 - 1 熊本 (16:03/小瀬/11,595人)
得点者:5' 金信泳(甲府)、31' 金信泳(甲府)、53' 木島良輔(熊本)、83' 山本英臣(甲府)、89' 國吉貴博(甲府)
スカパー!再放送 Ch183 6/15(月)12:30〜(解説:外池大亮、実況:酒井康宜、リポーター:桜井和明)
勝敗予想ゲーム
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「アイツの無回転シュートはヤバイ」と言われ続けていた國吉貴博。しかし、昨年はリーグ戦の出場はゼロ、甲府がJ1にいた一昨年は1試合・55分間だけのリーグ戦出場。同期の選手や後輩が出場経験を増やしていく中で、國吉のヤバイ無回転シュートは行き場のないままだった。しかし、プロ3年目のシーズン、2試合目のチャンスに無回転ではなかったけれど、素晴らしいダメ押しゴールとなって國吉の忍耐は結果に繋がった。試合後、海野一幸社長が記者室の前を、映画「雨に唄えば」で土砂降り中でタップダンスをするジーン・ケリーのような感じで軽やかに歩いていた。多分、3−1で終わっていたならあそこまで足は上がっていないはず。國吉のゴールはみんなが嬉しくなる素晴らしいゴールだった。

最近の甲府は立ち上がりはいい。今節もすぐに主導権を取って、5分にはマラニョンの素晴らしいフェイントが金信泳のゴールに繋がった。まさに、「仕留めた」という言葉が似合うゴールだった。新次元の課題は、主導権を取れている状態で追加点を取れるかどうか。20分を過ぎてくると段々とチャンスが形になることが減ってきて、そろそろ文句をノートに書こうかと思い始めていたが、31分にダニエルのパスに反応した金が左から2点目を決めて文句を封印してくれた。悪くない流れ。ここまで熊本は1回いいカウンターがあっただけで、それもシュートには到らずに決定機はゼロ。1トップの藤田俊哉がリーダーシップを取って前線からボールを追うが、甲府のボールは網には入らない。ただ、終盤は熊本が1タッチ、2タッチでボールを繋ぐシーンが増えてきて、湘南から3点取るだけの怖さが潜んでいる雰囲気は出ていた。後手を踏まされればやられるチームだということが十分に分かった前半の終わり方だった。今年からパスサッカーに取り組んでいる熊本は、勝点という結果にはダイレクトに繋がっていなくても、内容では進化という成果が出ている。この部分を認めた上で、今は信じてやり続ける我慢の時だと思う。

甲府のキックオフで始まった後半。前半終盤の流れを引き摺ったまま、甲府はダイナミックさに欠けていた。熊本に主導権を取られる時間帯も少なくはなく、53分に山本英臣のファールでPKを献上して木島良輔に決められてしまう。PKを決められても1点リードしているということは素晴らしいことだが、安定して主導権を取れない展開は心配が多くなる。その理由を、横パスや後方へのパスに探そうとしたが前にパスは出ていた。安間貴義監督は「ボールを持つ選手がフリー過ぎて、前がよく見えるから一発のスルーパスを狙えてしまうので単調になった」と感じていた。そこで安間監督は、ディフェンスで付いて行けなくなっていたマラニョンと金に代えて、チビッ子軍団を前線に投入して、前線のディフェンスからリズムを取ることを選択する。

前線で運動量を活かすチビッ子軍団。83分には、2日前に先発の権利を失っていたが、池端陽介の微熱と試合当日朝の表情の良さで先発を獲得した輪湖直樹のドリブルがファールを誘ってPKを獲得する。PKを蹴ればハットトリック達成の可能性が高かった2ゴールの金は、「(ファールでPKを与えた山本英)臣さんが(自分でPKを決めると)気持ちを切り替えられると思った」と考え、山本を呼んでボールを渡した。「なんか美談になってしまうけれど、(金)信泳は直接俺には言わないけれど、『(俺にPKを)蹴らせたかった』と言ってくれたらしくて、それが嬉しかった」という山本が、本人の記憶によると「高校生以来」のPKを決める。甲府の韓流スター・シンヨンは、自分のハットトリックを犠牲にしてオバサンではなく、オミサンの心を捉える気遣いを見せた。そして、チビッ子軍団の総帥・輪湖はもうひとついいことの起点となる。それが國吉へのアシストだった。

「(今週頭の2連休の)過ごし方は上手くなかったし、今日はサブだと思って気を抜いていたところもあったと思う。だから気持ちを含めて準備不足で、前半から足がつりそうな感じがあった」と言う輪湖。しかし、安間監督が「輪湖の足がつっていたから吉田豊をサイドバックに下げて、輪湖をFWに上げた。そうしたら走り始めた(笑)」と言うように、走り始めた輪湖は、大西容平のクロスをヘッドで國吉に落とす。そして、「どフリーだから決めないといけない」と思った國吉の身体は、オートマチックに胸でトラップしてシュートを打った。「同期や後輩が活躍するのを見て、悔しい気持ちがあった。自分のプレースタイルを変えないとダメかと思った時期もあったけれど、ブレずにやってきてよかった。下(サブ)から上がっていく方が強いと思うので、やってやるつもり」と、これから更に激しくなるチーム内の競争に強気で挑んで行く自分自身を励ますゴールでもあった。

韓流スター・シンヨンとクニクニ(國吉)の話題で、第12節の愛媛戦(0−2)の悔しさを晴らした津田琢磨のプレーが目立たなくなってしまったが、津田も及第点のプレーは出来ていた。安間監督は「(津田)琢磨もそうだが、誰が入っても仕事をする。残り15分で点も取れている。我慢する時間に我慢も出来ている。また、チャンスがないときでも我慢してコツコツやっている選手が報われるのがウチの基本」と、チームが一丸となっていることと、サブの選手の充実を評価している。予想外の先発で結果を出した輪湖も、「これからは、いつもスタメンのつもりで準備する」と、アシスト以上に大きなものを得た。

「意識して勝ったことがあまりなかったので、意識して勝点3を取れたことで(チームが)一歩進んでいると思いたい」と話す安間監督は、次節の富山戦に向けてリフレッシュするために2日間のオフを与えた。オフ明けに、選手がどんな状態と顔で練習に出てくるのかで、今節の勝利の意味の深さが決まる。大木武前監督(現日本代表コーチ)風に言えば、「我々はまだ何も手に入れていない。勝った次の試合が大事」ということになる。このことは選手が1番よく分かっているはずだ。

以上

2009.06.15 Reported by 松尾潤
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