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【J2:第10節 横浜FC vs 札幌】レポート:想定外がもたらした勝負のアヤ。横浜FCは寄り切る力を欠き、札幌が71分間「10人の戦い」を貫き3連勝を果たす。(09.04.27)

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4月26日(日) 2009 J2リーグ戦 第10節
横浜FC 0 - 1 札幌 (16:03/ニッパ球/5,489人)
得点者:48' クライトン(札幌)
スカパー!再放送 Ch182 4/27(月)22:00〜(解説:野々村芳和、実況:野村明弘、リポーター:武藤乃子)
顔写真クイズ勝敗予想ゲーム
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 プレビューでは、中盤のプレス合戦がポイントなると予想したこの試合。しかし2つの想定外が、両チームの目指すべきサッカーとは別の面での勝負のアヤを試合に与えることとなった。

 1つ目の想定外は「強風」。前日、各地で嵐の中のゲームをもたらした低気圧は二ツ玉低気圧となり、ニッパツ三ツ沢球技場にも強風をもたらし、ゲームは神経質に展開する。前半風上を取ったのは横浜FC。しかし、試合開始当初は両チームとも浮き球の目測が掴めない中、ミスを警戒しリスクを減らすプレーを展開する。その中で風上に立つ横浜FCが、徐々に身上とするアグレッシブなパス回しに加え、ロングボールを交えて押し込もうと試みる。そして、この試みが次の想定外に繋がる。12分、裏への浮き球に走り込む難波宏明に対するファールで西嶋弘之が警告を受けると、19分に田中輝和の進路を妨害し2度目の警告を受け退場となる。

 早い時間に札幌が10人になる2つ目の想定外。ここで札幌は「なんとか攻撃に転じたいというところで3バックを選択した。クライトンに入れば攻撃の起点ができるし、タメができれば両サイドも積極的にできるということで3-4-2という形にした」(石崎信弘監督)というように、24分の岡本賢明から砂川誠への交代を含めて、前への圧力を残しながら守備を安定させる選択をする。横浜FCは、風上に立ち1人多いという有利な状況で、その有利さを生かして寄り切ることができない。「相手の前で回しているだけになっている時間が多く、いかに裏に出て行くかをもっと徹底しないといけない」(樋口靖洋監督)というように、圧倒的なポゼッションを誇るものの、サイドを突破した決定的なチャンスは40分と43分の2回ほど。横浜FCが思うほどチャンスを作れないと、ダニルソンと上里一将を中心に、札幌が徐々に守備のリズムを整え始める。そして、このリズムが後半の試合の流れに大きな影響を与える。

 後半の開始直後にゲームは動く。48分、左サイドでクライトンがスローインを受ける、2人に囲まれながら左にトラップすると、そのまま自身でエリア内に持ち込んでゴール右隅に決める。クライトンの個人技が光るプレーであるが、それまでゴール前で数的優位を作り粘り強い守備をしていた横浜FCにとってはエアポケットのような不用意なプレーで先制を許してしまう。1人少ないチームが先制すれば、あとはやることが非常に明確になる。石崎監督が「選手がこれで守れば良いということになるのが怖かった」と語るように守備に偏らないように注意しながらも、前半終了間際にバランスが整った守備をベースに、守ってカウンターという定石通りの展開に持ち込む。特にこの日のダニルソンは出色の出来。中盤でボールを奪うだけでなく、危機を察知しながらの絶妙なポジショニングで、横浜FCの攻撃の芽を摘んでいく。そして、ボールを奪うと、クライトンが迫力のあるドリブルで効果的なカウンターに繋げていく。終盤に掛けての札幌のカウンター攻撃はクライトンのワンマンショーと化した。横浜FCも最後までパスを繋ぎながらチャンスを伺うが、バランスの取れた札幌の守備を攻めあぐね、最後の一押しをすることなく0-1で試合は終了した。

 この試合を分けたのは、想定外の事態に対する対応の成否。退場という状況において、横浜FCは数的優位を生かして何でもできるフリーハンドを得たように感じながら、一方でやるべきプレーが明確にならなかった。逆に札幌は、1人少ない状況になりやるべきプレーが明確になり、ダニルソンとクライトンが中心になりながら10人が一丸となって作戦を完遂した。まさに、11人のチームが10人のチームに敗れる典型的なパターンだが、横浜FCは風上だった前半に、点をもぎ取るためのプレーに迫力がなかったのも事実。石崎監督が語るようにサッカーは結果論であるのかもしれないが、優位のうちに点が取れないと勝てないというサッカーによくある風景を改めて再現することとなった。

 ノーマルな進行をしなかった試合だけに、この試合だけで両チームの状態やポテンシャルを語るのは難しいが、「守りきったことは自信になる。ただし、1人少ない中で勝ったということで慢心があってはいけない」(石崎監督)、「数的優位を生かす戦い方ができないのは、まだまだチームとして未熟。サイド攻撃をしつこく回数を増やさないといけない」(樋口監督)と共に将来への成長の種を見出すことはできる。これからゴールデンウイークの連戦が続く中、この試合での経験を良い方向に消化することがこれからの両チームにとって重要となるだろう。

以上

2009.04.27 Reported by 松尾真一郎
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