長かったリーグ戦もいよいよ最終節。一気に冬の気配を感じさせている北海道札幌市にある札幌ドームでは、現在勝点58で9位の札幌が、同66で3位につける磐田と対戦する。開幕戦で激突した前回対戦では、札幌が1−0のスコアで勝利しているカードだ。
ホームの札幌は前節、敵地で福岡と対戦して2−2のドロー。 開始3分にリスタートから都倉賢が決めて先制し優位に立ったが、その後は立て続けに失点を喫して苦しい展開に。しかし、前半終了間際に再び都倉が押し込んで前半のうちに同点としてしまう。
「都倉と内村(圭宏)を2トップの位置に並べて、相手の最終ラインから精度の高いロングボールを入れさせないという意図で(相手の)最終ラインにプレッシャーをかけるようにしましたが、それがうまくいった」とバルバリッチ監督が振り返ったように、後半は2トップへとシステム変更し、これが機能。相手に押しこまれる時間帯はあったものの、攻守ともに粘り強く戦うことができていた。
ただし、「残念ながら、最後のところを決めきることができませんでした」とも指揮官。効果的なチャンスを作りながらも得点を奪うことができないまま、タイムアップとなった。
この結果により勝点1を上積んだものの、今シーズンの7位以下が確定。J1昇格プレーオフに進むことはできず、札幌は来シーズンもJ2で戦うことが決まってしまった。
一方、敵地へと乗り込む磐田の前節はホームで山形と対戦して0−2で敗戦。試合を通じて高いスキルでボールをコントロールしていたものの、42分、85分という重要な時間帯に失点をしてしまい、黒星に。「我々にとっては完敗だったと思います」と名波浩監督は試合後に口にした。
この敗戦によって磐田は5試合連続で未勝利となってしまっている。シーズン終盤に勢いをつけたいところだけに、非常にモヤモヤとした状況に見えてしまう。およそ1ヶ月間も白星から遠ざかっている状況だ。
これについて名波監督はこのように口にする。「メンタル的にもプレーの質としても後ろ向きにならず、ということは(選手に)言っていこうかなと。言っていくというより、言い続けてきていますが、今まで以上に明るく立ち振る舞えたらと思っています」
ここであらためて記すまでもなく、選手個々の能力を単純に積み上げた場合の磐田のチーム力というのは、間違いなくリーグのトップにあると言える。昨シーズンもそれを発揮することができずJ2降格となってしまい、今シーズンも同じように勢いに乗り切れていない。ただし、今シーズンについて言えば、ここにきての5戦未勝利という足踏みがありながらも、それでも3位にいる。繰り返しになるが、やはり力はある。あとはそれをフレッシュに出し切れば、間違いなく目標達成は果たせるはず。この最終節をいい形で締め括り、勢いを持ってJ1昇格プレーオフに進むためにも絶対的に勝点3を積みたい局面だろう。
さて、そうして迎える一戦を前にバルバリッチ監督はこう話す。「最終戦で磐田と対戦できる。これほどモチベーションが高まる要因はなかなかないだろう」としたうえで「真価が問われる試合」と。確かに札幌は来シーズンもJ2で戦うことが決まってしまい、この磐田戦の結果によって何かが大きく変わるというシチュエーションではない。しかしながら、常に勝者のメンタリティを追及するクロアチア人監督は「こういう状況だからこそ、プロフェッショナルとしての姿勢が問われる」と手綱を緩める気配はいっさいない。そうした、ある意味では通常以上にハードな戦いを挑んでくる可能性がある相手に対し、磐田がどのように対峙し上回ろうとするのか。
北海道はすっかり冬の気温となっているが、札幌ドームのなかは最高潮の熱気で溢れそうである。
以上
2014.11.22 Reported by 斉藤宏則