J2で5年目の今季もJ1自動昇格を目指して戦ってきた千葉は、前節(第38節)の群馬戦で90分+3の群馬のオウンゴールで逆転勝利を収め、今季のJ2リーグ連勝記録を4に伸ばした。だが、前節で松本が勝ったため松本との勝点差は13と変わらず、千葉のJ1自動昇格の可能性は消滅。一方、1年でのJ1復帰を目指す磐田は、前節の京都戦で90分+2に駒野友一が直接FKを決めて2−2で引き分けたことで、松本との勝点差は10とかろうじてJ1自動昇格の望みをつないだ。
今節は千葉vs磐田、福岡vs松本が同時刻のキックオフで、磐田の結果がどうであれ松本が勝てば磐田のJ1自動昇格の可能性は消滅する。今節は磐田が可能性がまだあるJ1自動昇格を目指して、千葉はJ1昇格プレーオフで有利な3位を目指しての戦いだが、千葉は磐田とは勝点差3、得失点差の差が4で、磐田よりも総得点数が少ないため、今節は3点差以上で磐田に勝てば磐田を上回ることができる。
第37節・大分戦は90分に森本貴幸の決勝ゴールが生まれ、2試合連続で劇的な勝利を収めた千葉だが、欲を言えば劇的な勝利ではなく、ある程度の余裕を持って試合終了を告げる笛を待つ戦いがしたい。前節は帰陣を速くしてブロックを作りながらリトリートする群馬の守備をなかなか崩すことができなかった。谷澤達也、中村太亮と攻撃のキーマンが縦に並ぶ左サイドを警戒して守られ、右サイドに展開してもそこでの思い切った仕掛けや得点機を作るためのプレーの精度を欠いた。最終ラインで攻撃陣の状況を見ながらビルドアップのパスを出していた山口智は「サイドチェンジのパスを出しても、そこで攻撃がスピードアップできなかった。相手の間、間で受ける選手ばかりになってしまって、それを利用することもなかなかできずに動き出した選手しか使えない攻撃だった。2人、3人のコンビネーションも前半は少なくて、シュートまで行けていなかったし、引かれた相手に苦労していてミドルシュートも少なかった。攻撃陣がシンプルに味方を使うところと自分がボールを持って相手をかわすところの判断が、今はちょっと裏目に出ているかなという気がする」と振り返った。
磐田が自陣に引いて守ることはありえないだろうが、「味方をシンプルに使えた時はダイナミックなプレーができるし、前に前にと行ける」(山口智)攻撃で主導権を握りたい。磐田の守備陣に隙を作らせ、その隙を突くようなダイレクトパスを交えた連動性のある攻撃ができるかどうかが、磐田に勝つためのポイントになりそうだ。
磐田は第37節では前半に熊本のタイトな守備に苦しめられ、後半は攻め込むものの決定力を欠いた。前節は小林祐希、駒野といった精度の高いプレースキッカーを生かし、前半はCKから、後半はFKから得点。また、松井大輔、山崎亮平、白星東といったテクニシャンのドリブラーが攻撃のリズムに変化をつけて相手の脅威となる。千葉との前回対戦(第10節)はポポ、前田遼一の得点で2−0の勝利を収めたが、その時にスタメンだった山田大記はカールスルーエ(ドイツ)に移籍。しかし、最近は負傷欠場していたフェルジナンド、チンガ(前回対戦時は不在)が戦列に復帰してきている。磐田は第34節から名波浩監督が指揮を執り、千葉も第22節から関塚隆監督が指揮を執っているため、互いにチームは変わってきているが、前回対戦の前田の得点は駒野のFKに合わせたもの。千葉は前節でもCKから失点しているだけに、今節もセットプレーの攻防がカギとなりそうだ。
今節の千葉はボランチの佐藤健太郎が累積警告で出場停止だが、チーム全体で粘り強く守り、ボールを奪ったら素早く得点機を作ることが勝利には必要不可欠だ。関塚監督は昨季の5月から磐田を率いたがJ1残留とならず、その因縁も含めて激戦必至の大一番。雨中のナイトゲームで気温は低くなりそうだが、ピッチでは熱い死闘が繰り広げられるだろう。
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2014.10.31 Reported by 赤沼圭子