7戦勝利のない岡山と、3戦引き分けの京都。勝点「2」差で9位と10位に並ぶ両チームが、J1昇格プレーオフ圏内への可能性を繫ぎ止めるためには、このゲームで勝点3を掴み取ることが絶対に必要だ。
岡山は前節、大分と対戦した。この日、ゲームキャプテンを任された竹田忠嗣は、ウォームアップ前にフィールドプレーヤーだけを集めて、現在の心境を話した。「俺が怪我をしている間にみんなが積み上げてきてくれた勝点があって、今ここにいられる。まだプレーオフ出場権を取れる位置にいられるのは選手として本当に幸せだ。今ここにチャンスがあるから、何としても掴みに行こう」と。その大分戦では、相手に侵入させて、奪った後に速く、という戦術で戦った。ベンチに控えた千明聖典は、「回される時間が長く、本当にしんどかったと思う」と言う。岡山は勝利のなかった3月、第4節・水戸戦で引いて守り、カウンターから久保裕一のゴールで今季初勝利を掴んだが、このゲームでは90分+3に失点し、勝点は奪えなかった。それでも、「流動的な大分の前線に対して、とにかく声を絶やさず、横との関係を切らさない守備をやった」(竹田)ことで、岡山というチームの根幹をなす粘り強い守備、全員が同じイメージを共有する、組織的な守備に立ち返るきっかけになった。
また怪我のため、大分戦でほぼ一年ぶりに試合に戻った関戸健二は、チーム内の自分の役割を理解したパフォーマンスを見せた。「守備で走って、その後で出て行くこと。真ん中で受けて、より多くのチャンスを作ることを意識した」と関戸。3連敗という結果となったが、プラスの材料も見つけられるゲームだった。
そして岡山初のコレオグラフィーが開催される今節、ホームに迎える相手は京都。23得点でJ2得点ランキングトッのプを独走する大黒将志、今年7月、徳島から加入したドウグラスを前線に擁し、2列目にはドリブルや正確なパスという、それぞれがゴールに直結する質の高いテクニックを持った工藤浩平、山瀬功治、三平和司、駒井善成がいる。大黒はここ3試合、ゴールがないが、大黒の動き出しに対して、隙のない集中を課せられることは間違いない。またドウグラスの高さを生かした決定機もあり、2列目からのパスがあり、とケアすべき点が多く、大分での戦い後の岡山にとっては、望み得る最高の対戦相手かもしれない。
岡山・影山雅永監督はこのゲームのポイントについてこう話す。「去年までの大木(武)さんの京都の面影はほとんどない。これまではショートパスを外して、怯まずに取りに行くぞ、とやっていたが、今は前へボールを速く運び、プレッシングに来て中盤でスライディングしまくるという激しいチームになっている。だからそこを上回らないことにはずっとボールを持たれる。大分戦のように同じ絵を描いて守備をして、そこから運べるかどうか。先週よりよりさらに高度な戦術理解とコミュニケーションが必要になる」。
京都・川勝良一監督は、3戦連続で引き分けとなった前節・磐田戦を、「可能性がある限り、すべて肯定的に捉える。否定的に考えても残り4試合に可能性を見出せない」と答えている。ここで勝利すればJ1昇格プレーオフ圏内への可能性は繋がる両チームの戦いは、どちらのリズムで進められるか、ゲームの出だしから研ぎ澄まされた集中が重要だ。
岡山はボランチの島田譲、京都はCBの酒井隆介、ボランチの田森大己が累積警告で出場停止となる。「この4試合で人生変わると思っている」と言う妹尾隆佑、「リハビリしてる間、本当にサッカーがやりたいと思っていた」と言う片山瑛一も今週から練習に復帰し、岡山はリーグ戦終盤に再び役者が揃いつつある。サポーターによるコレオグラフィーが描き出す文字は、「12 INSIEME」。「ココロヒトツニ」が合い言葉となる。
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2014.10.31 Reported by 尾原千明