10月19日の第37節・磐田戦、今季ユースから昇格したMF嶋田慎太郎が先発でプロデビューを果たした。開始2分に右サイドからの折り返しに入っていった決定機、また22分に迎えたFKでのサインプレー等、得点が生まれそうな場面もあったが決めることはできず初ゴールはお預けに。しかし、しなやかで緩急をつけたドリブルと長短のパスセンスなど、持ち味はしっかりと発揮した。
「堂々とプレーしてくれた」と小野剛監督が高評価を口にすれば、自らも「リラックスして臨めたし、楽しかった」と振り返り、後半に足がつって途中交代したとはいえ納得のいくデビュー戦だったのではないだろうか。
この試合、嶋田はその背番号を受け継いだ北嶋秀朗アシスタントコーチから譲り受けたリストバンドを手首につけてピッチに入っている。1万2000人を超えた今季最多の観客、相手は名門のジュビロ磐田、自身のデビュー戦。そうした条件が揃ったゲームとなれば、高校卒1年目の選手なら普通は多少の緊張もあろうが、嶋田はおそらく、自らのゴールのイメージや得点した後にどう振る舞うのかまで、しっかり描いていた。
ユースからの「工場直送」の選手の中では、上村周平がひと足先に第1号としてJデビューを果たしていたほか、2人の1年先輩にあたる森川泰臣もカテゴリーは違えどJリーグ・アンダー22選抜の一員としてJ3第28節・相模原戦でJリーグデビューを果たし、得点場面を演出するなど勝利に貢献している。
「乗り換えとかの移動が苦手だったんで、(上村)周平が一緒で助かりました」と苦笑いしていた森川だが、プレーに関しては「練習でも良くなってきたと感じていたし、やれる自信はありました。サイドバックで先発して、味方が1人退場になってからはセンターバックに移ったんですが、いろんなポジションをやってきたことも含めて、今までやってきたことが無駄じゃなかったと思います」とも話し、小さくない手応えを掴んだ様子。なにより、球際での強さや早い切り替えなど、普段の練習で意識してきたことを生かして結果に繋げたことは、今後に向けての大きな力になる。
「やり続けていればチャンスは来ると思うけど、それをしっかり掴めるかどうかだなと思います。J3で結果を残せたのはチームでしっかり準備してきたからなので、今度はロアッソでJ2デビューできるように、これからも取り組んでいきたい」と、森川は決意を口にする。
同期や先輩のこうした活躍は、ケガでの離脱期間もあった嶋田にとっても間違いなく刺激になっていたし、トップチームでのデビューでは2人に先を越された森川には、いっそう火がついたことだろう。さらに言えば、先輩たちの活躍は、トップでのプレーを夢見てアカデミーでトレーニングを重ねている全ての選手の目標になるはずだ。
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2014.10.22 Reported by 井芹貴志