柏とG大阪の前回対戦は4月29日、J1第10節の万博記念競技場だった。悪天候の中、リンスの移籍初ゴールでG大阪が先制したが、その後柏が田中順也のミドルシュートとフリーキックで逆転、そのまま柏が2−1で勝利を収めた。
しかし、あれから約半年が過ぎ、両チームの置かれている状況が当時とは大きく異なっている。
特にG大阪は全く別のチームと言っていい。第10節の時点では勝ち切れない試合が多く、順位も15位と低迷していたが、その後は負傷の癒えた宇佐美貴史が復調し、7月に加入したパトリックと強力な2トップを形成。現在はリーグ戦7連勝中で順位を大幅に上げ、首位・浦和に勝点4差の2位に付けている。
ドリブルで局面を打開する宇佐美と、近藤直也が「Jリーグで一番フィジカルの強い選手」と評するパトリック、それぞれ8ゴールずつを挙げる2トップが象徴するように、G大阪はリーグ2位の51得点を叩き出している。ただ、攻撃以上に真の強みは守備面にあるのではないだろうか。前節の川崎F戦では相手にボールを握られる場面が多く、押し込まれはしたものの、「今野(泰幸)が出場停止で内田(達也)が出て、最後はしっかり明神(智和)が締めたというのも、非常にチームにとって良かった」と長谷川健太監督も振り返ったように、最後のところで守備陣が粘り強く川崎Fの攻撃を抑え、セットプレーから米倉恒貴の挙げた1点を守り切って1−0の勝利を収めた。前節だけではなく、リーグ戦28戦中12試合の完封、これは特筆すべきである。
さらに、柏と対戦した前回対戦以降の成績を表すと、14勝1分3敗、得点42、失点14。首位の浦和の11勝4分3敗、得点33、失点17という数字と比べると、G大阪がいかに卓越した成績を収めているかが分かると思う。
そんなG大阪をホームに迎える柏だが、前回対戦で2ゴールを挙げてG大阪を沈めた田中順也をはじめ、今オフの補強の目玉の1人だったハン グギョン、“柏のキング”として長らくチームを牽引してきたレアンドロ ドミンゲスがシーズン途中に移籍。空いた外国籍の枠にはドゥドゥとエドゥアルドが加わるなど、大きく様変わりをした。また、古巣対決となるレアンドロは、前回対戦では負傷で欠場していたため、柏のユニフォームを着てG大阪と対戦するのは、今回が初めてになる。そういう点では、G大阪にとっても、以前の柏と同じイメージを持つわけにはいかない。
中でも夏以降のレアンドロのフィットぶりは尋常ではなく、工藤壮人や高山薫と絶妙のコンビネーションを築くほか、ヤマザキナビスコカップ準決勝第2戦の広島戦とJ1第28節・鹿島戦、直近の公式戦2試合だけを見ても柏が挙げた全5ゴールがレアンドロ絡みと、今や背番号11は完全に柏の攻撃の中核と化した。柏が宇佐美とパトリックを警戒するのと同様に、レアンドロ、工藤、ドゥドゥが奏でる攻撃陣はG大阪に脅威を与えるはずだ。
7連勝の自信と勢い、そして優勝争いのモチベーションがG大阪にはある。一方、今季は早くも無冠が決定的となり、柏は選手のモチベーションが心配されたが、鹿島戦では「残りの試合でレイソルのプライドを示す」(工藤)と選手たちは強い決意と覚悟を持ち、優勝争いを繰り広げる鹿島を相手に敵地で逆転勝ちを収めた。
それに自信という点では、柏は日立台ではリーグ戦12戦無敗。浦和、鹿島、川崎F、鳥栖といった上位陣も日立台では柏に屈し、しかも過去10戦を振り返ると日立台のゴールネットを揺らしたのは浦和と川崎F、わずかに2チームしかいない。G大阪に7連勝の自信があるのなら、柏にも日立台では無類の強さを誇る絶対的な自信がある。
柏がG大阪の連勝を止めるか、G大阪が日立台の無敗記録をストップするか。両者の自信が真っ向からぶつかり合う。
以上
2014.10.21 Reported by 鈴木潤