まだ雪の多い3月にスタートしたリーグ戦も、季節の移り変わりを経て再び寒さを強く感じる時期へと突入してきた。札幌市内ではもう、上着なしでの外出は厳しい時期。そうしたなかでこの第36節、札幌市にある札幌厚別公園競技場では現在勝点49で10位の札幌が、同52で7位につける千葉と対戦する。前回対戦は2−0のスコアで千葉が勝利しているカードだ。
ホームの札幌は前節、敵地と水戸と対戦して0−0のドロー。上位に食い込むためにも勝点3を積み、3連勝を達成して勢いに乗りたいところだったが、叶わなかった。
しかしながら、前向きに捉えていい引き分けだったように思う。得点源の内村圭宏や、チャンスメーカーの小野伸二、ここ最近は最終ラインを統率しているキャプテンの河合竜二らを負傷で欠き、試合が始まってからも上原慎也、パウロンというDFの負傷交代を余儀なくされるなど、メンバー構成でも難しい戦いを余儀なくされていた。もちろん、交代枠も負傷交代で使っているため、戦術的にも難しかったことは想像に難くない。そうしたアウェイゲームで勝点1を積めたことは「ポジティブに捉えている」とバルバリッチ監督も話している。
加えて、無失点での引き分けだったこともポジティブだ。守備陣に欠場者や途中退場者が出たなかで、連係面の難しさがありながらも最後まで相手の攻撃をしのぎきった。特にラスト数分間などは猛攻にさらされていただけに、ここは賞賛したいところ。今シーズン、ここまでの札幌はゲームをコントロールしていながらも、一瞬の隙で簡単にゴールを奪われてしまうなど「安い失点が多かった」(奈良竜樹)。しかしここにきて、急なメンバー変更が生じた場面でも、声を掛け合っての堅い守備ができるようになってきた。そしてそれが勝点につながっているのだから、チーム力が上がっているとシンプルに評していいはずだ。負傷者の影響でこの試合に向けてもメンバー構成は難しくなりそうだが、チーム全体としての戦いができるようになってきているだけに、事前にわざわざネガティブになる必要はなさそうである。
一方、秋の北海道に乗り込む千葉の前節はホームで福岡と対戦して3−0で快勝。前半からチャンスを作りながらも決めきれず、後半途中まで0−0のまま時計の針を進めるという嫌な展開になりかけていたが、60分に相手守備の裏をとった森本貴幸が決めて試合を動かすと、2分後には中村太亮、さらに3分後にはキム ヒョヌンが得点し、5分間で3得点を奪う電光石火のゴールゲットで勝負を決めてしまった。
「長いもの、局面での2人、3人での絡みが非常にスムーズにできていた」と、先制点までに時間を要したものの関塚隆は試合を通しての攻撃陣の出来を評価している。
あらためて、やはり千葉は力のあるチームだ。後方からしっかりとボールを動かして敵陣にジリジリと押し込んでいく戦いはリーグの中でも抜けた質を持っているし、と同時に最終ラインも高く設定されており攻守ともにコンパクト。シーズン序盤からなかなかスッキリと勝ち切れない試合も多かったが、ここきてロングボールも織り交ぜたバリエーションのある攻めができるようになってきており、見応えのある戦いを演じている。そして福岡戦での勝利で4戦負けなし。ここから勢いづけば、一気に上位に浮上していきそうな気配も十分にある。
さて、そうしたチーム同士の対戦だが、基本的には千葉がボールを動かしながら、そこに札幌が組織的な守備で対応する形になるだろう。前述したように札幌は負傷者が重なっており、この試合までにどの選手が復帰するかによっても展開は変化しそうだが、ひとまずは千葉をうまく引き出して、その裏を狙っていく展開となるはず。お互いの特徴が良く出そうな展開だけに、見応えのあるゲームが期待できそうである。
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2014.10.10 Reported by 斉藤宏則