富山はベテランDF2人の闘志が呼び込んだ貴重な先制点を生かせなかった。後半の15分と36分にセットプレーから2点を奪われて1−2で福岡に逆転負けした。
開始直後から双方にチャンスとピンチが訪れてスタジアムが沸いた。富山は前半2分にクロスのこぼれ球にMFキム・ヨングンが飛び込みFW宮吉拓実にスルーパス、決定機をつくるが福岡のGK神山竜一に阻まれた。逆に同9分には攻め込まれたがDF秋本倫孝の体を投げ出したシュートブロックでしのいだ。
同20分に、その秋本が先制ゴールを決めた。右CKからファーサイドに浮かせたボールをDF池端陽介がオーバーヘッドでボレーシュート。秋本が詰めてGKからのリバウンドを押し込んだ。チーム最年長35歳・池端の高い身体能力と思い切りの良さ、勝利にかける執念が凝縮されたプレーが先制ゴールをもたらした。
福岡はボールを支配して反撃するが、守備ブロックと前線からのプレスをうまく使い分ける相手に手こずる。しかし富山も通せばチャンスになるパスを簡単にミスするもったいない場面が多く、ゴールに迫ることができなかった。
後半は福岡が[3-1-4-2]のフォーメーションの2列目の中央にFW平井将生を投入し、代わってFW城後寿を右サイドへ移す。この変更が当たった。平井がボールを受けて起点となり、城後がDF裏を狙って縦に仕掛けることで攻撃が活性化した。同7分には城後からのクロスにMF鍋田亜人夢が突っ込んで好機を創出。そして同15分に同点に追い付いた。右サイドのFKから、DFパク・ゴンが頭で合わせて自身J初となるゴールを決めた。
直後に富山もCK、FKからチャンスをつくった。安間貴義監督は「この試合はセットプレーのこぼれ球までが勝負だぞ」と選手に伝えていたという。その通りに、両チームのCK・FKごとに緊張感が高まる展開になり、福岡が同36分に左CKから決勝点を挙げた。DFイ・グァンソンが頭で合わせたシュートはクロスバーに弾かれたが、右サイドで拾ったMF中原秀人が入れ直してFW酒井宣福がヘディングで決めた。
富山は後半、MF木本敬介を中心に攻めたが単発で終わることが多かった。同21分にキムのミドルシュートが枠を捉え、同37分には途中起用でJ初出場となった特別指定選手FW中田大貴がドリブルで仕掛けたが2点目を奪えなかった。
福岡は連敗を3で止め、6位との勝点差を4に縮めた。富山は21位の讃岐も敗れたため勝点差は9のまま。試合後に秋本が言ったように「1つ勝って良い流れをつくり、差を縮めたい」。
以上
2014.09.29 Reported by 赤壁逸朗