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【J2:第33節 札幌 vs 岡山】レポート:札幌がバルバリッチ監督になっての初勝利をホームで達成! 同じシステム同士の対戦は、個の力が勝敗を分けた。(14.09.24)

開始4分に札幌の都倉賢が相手のパスの乱れを突いて先制点を奪うと、25分には後藤圭太の打ったミドルが札幌の選手に当たってゴールに飛び込み岡山が同点に追いつく。その5分後には前田俊介が見事なミドルシュートを沈めて札幌が突き放した。そうして前半だけで3得点が生まれた試合は、最終的には3−1のスコアでホームチームが勝利を収めている。

そんな一戦だが、やはり見逃せないのはシステムの部分だ。試合開始時のそれはどちらも3−4−3(細かく示すと3−4−2−1)。ともに守備的MFを2枚置く同様のシステムを採用したため、多くのポジションでガッチリと1対1のマッチアップが生まれる形となった。そして、そこで個の力で上回った札幌がまずは先手を取ったわけである。身体能力が高く、ここ最近はコンディション的にも上向きな都倉。そしてリーグ屈指のテクニックを持つ前田がマッチアップに勝ち続け、そしてともに得点を奪ってみせた。それをサポートした若い中原彰吾の動きもよかった。

しかしながら、後半に入ると流れは変わる。その要因は岡山のシステム変更だ。
「前半は個と個の戦いに持ち込まれて後手を踏んでいました。それで何とか、特に相手のワイドの選手に対し、我々にとって有利な、効果的なボールの動かし方ができるようにということで」と影山雅永監督が説明したように、3−4−3同士のマッチアップを嫌った岡山が三村真を投入して4−4−2に近い布陣にすると、ここからはアウトサイドで数的優位を得た岡山が主導権を得る。サイドで数的優位を得たことで相手を押し込み、同時に札幌の選手の意識をサイドへと向けたことで、守備的MFの千明聖典、島田譲が前半よりも余裕を持ってボールを持てる場面が増え、ここから効果的にパスも配球されるようになる。後半はおおよそ岡山のリズムで進んでいった。

だが、そうした状況を見て札幌のバルバリッチ監督も手を打った。疲れの見えてきた前田に変えて工藤光輝を投入し、千明、島田のケアをさせる。さらに薗田淳を投入して守備を強化すると、その後はテクニカルエリアからの指示でアウトサイドのマークを整理。そうやって守備を整え岡山の勢いを徐々に封じていくと、85分にカウンターから都倉が加点して勝負あり。札幌がバルバリッチ監督のホーム初戦を白星で飾ることに成功した。

あらためて総括をすると、システムの絡み合いがベースとなる対戦であり、両監督のベンチワークによる攻防も見応えのあった試合だったが、最終的にはやはり札幌が持つ個のポテンシャルが光ったと言っていいだろう。何しろ今シーズンの札幌がスタートから3−4−3のシステムで戦ったのはこの試合が初めてのこと。しかも前節から中2日での試合とあって「新しいシステムの練習をしたのは1日だけ」(上原慎也)という状況である。それに対して岡山は3−4−3を基本システムとして試合を重ねてきているわけだが、その岡山がマッチアップを嫌がって自らシステム変更を敢行したほどである。それだけ都倉をはじめとした札幌の選手の個の力が勝っていたということだろう。今節を終えて11位という順位だが、やはり戦力的には低くない。新システムを身に付けたことでチームとしての幅も広がったわけで、ここから上位浮上に向けて、勝点を重ねていきたいところである。

そして岡山のほうはこの敗戦により順位を5位へと下げてしまった。「ウチらしい戦いができていなかった」と最後方から見ていたGK中林洋次は悔しがる。しかし、岡山らしい戦いが出来ずに負けたのであれば、修正はきっと難しくない。「私も選手達も戻るところはハッキリしている」と影山監督も言うように、コンディションを整えてまた岡山らしいハードワークを見せたいところ。やはり、中2日でのアウェイゲームは非常に難しかったことだろう。

そしてこの33節を終えて、リーグ戦はいよいよラスト9試合。湘南の2位以内は確定したものの、それ以外のところはまだまだ先がまったく読めない混戦が続いている。どのチームも勝ったり負けたりという厳しい戦いが続いていくことだろうが、そうしたなかでしっかりと前を向いて戦えるか否か、それが今後のカギとなりそうだ。

次節札幌は敵地で松本と、岡山はホームで水戸と対戦する。

以上

2014.09.24 Reported by 斉藤宏則
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