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一覧へ【J1:第25節 柏 vs 鳥栖】プレビュー:ネルシーニョ監督との残り10試合が、このまま終わっていいはずがない。上位争い真っ只中でモチベーションMAXの鳥栖に対し、柏は“VITORIA”のメンタリティーを前面に押し出して戦う(14.09.22)
無敗で終えた8月の戦いと、ヤマザキナビスコカップ準々決勝の第1戦と第2戦で連勝を飾った時は、この勢いに乗じて一気に上位戦線へ食い込むかと思わせたが、それまでの勢いなど微塵も感じさせない完敗で、柏は前々節のC大阪戦、前節の浦和戦と連敗を喫した。
これで首位・浦和との勝点差は15、3位と鳥栖との差は9。数字上では優勝の可能性も、AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得の可能性も残されているとはいえ、残りの試合数を考えると、極めて困難な状況に陥ってしまった。しかも今節は、前節でレッドカードを受けた菅野孝憲、エドゥアルド、さらに累積警告となった増嶋竜也と、主力3選手を欠いての戦いを余儀なくされる。まさに“泣きっ面に蜂”状態だ。
この困難な状況にポジティブな要素を見つけ出すとしたら、無類の強さを発揮するホーム日立台で戦えるということだろうか。第10節のG大阪戦以来白星がない苦手のアウェイとは対照的に、ホームでは圧倒的な強さを発揮する柏は、リーグ戦10戦無敗の3連勝中だ。現在リーグ戦で上位に名を連ねる浦和、川崎F、鹿島、神戸、はたまた南米カップ王者のラヌスといえども、日立台では柏の前に屈した。
しかし、今節は苦戦が予想される。相手は3位の鳥栖。優勝戦線から脱落した柏とは異なり、浦和との勝点差は6と優勝は十分射程圏内だ。彼らはホーム・アウェイに関係なく、高いモチベーションを抱いているだろうし、連敗で今後の目標を切り替えざるを得ない状況の柏とは、明らかに勢いの違いがある。
それに前節の仙台戦は熱い戦いを繰り広げ、粘り強い戦いの末に大きな白星を手にした。「豊田がしっかりと点を決めて仕事をしてくれて、一気に流れが鳥栖に傾いたことが今日の試合のポイントだった」、「彼のPKストップがなければそのままガタガタと行ってしまった内容だった」と吉田恵監督も振り返るように、エース豊田陽平のゴール、林彰洋のPKストップが勝負どころで生まれ、それが試合の流れを手繰り寄せる要因にもなっている。
鳥栖はハイボールやクロスボールの強さが取り沙汰されるが、むしろその後のセカンドボールへの執着心、球際での争いにこそ強さがあると思っている。前回対戦の0−1の敗戦は失点場面こそミス絡みも、全体的には鳥栖の球際激しい守備の前に中盤を制圧できず、ほぼ見せ場なく柏は敗れ去った。さらには一昨シーズン第26節でも、ハイボール自体は柏のディフェンスも対応できていたが、そのこぼれた後のアクションの早さ、ボールへの執着という部分で柏は後手を踏み、1−3と敗れた。
今季の柏がアウェイの成績が振るわない原因も、相手の出方に対し受けに回ってしまうケースが多いからだ。アグレッシブに仕掛けてくる相手の守備にペースをかき乱され、逆に柏はチームとしてどうボールを奪いにいくのかがはっきりしない。直近のC大阪戦、浦和戦での連敗も、そこに根本的な敗因がある。ホーム日立台の試合で、攻守両面において自分たちから仕掛けていくアグレッシブな姿勢を取り戻せるか。それが連敗を止める重要なポイントになりそうだ。
朗報はホームということ以外に、もう1つある。ケガで浦和戦を回避したレアンドロが、どうやら戦列に復帰する。21日の練習では、快活に全練習メニューをこなし、練習後にケガの状態を問うと、彼は流暢な日本語で「ウン、ダイジョウブ」と親指を立てて見せた。
ネルシーニョ監督の退任発表後、初のホームゲームを迎える。柏を変えてくれた名将とのラスト10試合が、このままズルズルと終わっていいはずがない。今、改めて思い出そう、ネルシーニョ監督が柏に植え付けてくれた“VITORIA”(勝利)のメンタリティーを。
以上
2014.09.22 Reported by 鈴木潤