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【J1:第1節 柏 vs F東京】プレビュー:新指揮官を迎えた新生・F東京との注目の開幕戦。脅威のユニット“Wレアンドロ”と進化を続ける“エース”工藤壮人を擁し、柏は3年ぶりのリーグ制覇を目指す!(14.03.01)

開幕を1週間後に控えた栃木とのプレシーズンマッチで、柏はそれまで続けてきた3バックシステムを突如4バックに戻した。久々のシステムに選手たちは試合立ち上がりこそ違和感を抱いたようだが、「時間が経つにつれて思い出していった」(橋本和)というように、本来の柏のシステムに戻したということもあって、柏はレアンドロと狩野健太のゴールで2−0と危なげない勝利を手にした。

おそらくこの布陣は、開幕戦のF東京戦を見据えての変更である。F東京は、今シーズンからマッシモ フィッカデンティ監督が指揮を執るため、システムは4−3−3に変わり、前線にはエドゥーという左利きのストライカーが加わった。都城キャンプで負傷した米本拓司の離脱は大打撃だろうが、それでもF東京が力のあるチームであることに変わりはない。最終ラインは高いビルドアップ能力を有し、両サイドバックは攻撃的に仕掛けてくる。高橋秀人をアンカーに置き、中盤には東慶悟、前線の3枚には前述のエドゥーに加え渡邉千真と豪華なタレントが並ぶ。ただでさえ実力者揃いの布陣に、守備戦術を重んじるイタリア人監督が就任したのだから、こと守備面に関してはある程度の計算が立つと見ていいだろう。未知数の部分が多いのは仕方がないにしても、昨年までの攻撃的なスタイルに堅実な守備力が加われば、むしろチームの力としては“昨年以上”と見るのが妥当である。

柏がシステムを4バックに戻した理由は、このF東京の前線3枚に対し4バックをぶつける狙いがあると推測している。中盤の2列目に対しては柏のダブルボランチがケアすることになると思うが、鍵はF東京のアンカーを務める高橋をどう抑えるかに掛かっている。というのも、指宿キャンプの練習試合で、柏は鹿屋体育大学、富山との練習試合をこなしたが、いずれもアンカーへのマーキングが曖昧になり、それが原因で前半は全くリズムを作れなかった。ただ、ネルシーニョ監督が同じ轍を踏むとは思えない。4バックとダブルボランチがスライドしてマークに付くのか、あるいは2トップが降りてケアするかは定かでないにしても、対策そのものはすでに27日(木)の非公開練習の際に伝えてあり、入念に仮想練習を行ったはずだ。

急な4バックへの回帰は決してネガティブではなく、むしろこちらが本来の柏の形と考えれば、選手たちは持ち味をいかんなく発揮できるとあってポジティブな面の方が多い。右サイドから攻撃を組み立てるレアンドロ ドミンゲスは、昨年の負傷も癒えて好調を維持。そして新加入のレアンドロとの“Wレアンドロ”は当然要注目だが、チームのエース工藤壮人とレアンドロのコンビが非常に面白い。彼らは1トップ2シャドーの形よりもシンプルに2トップを組んだ方が、お互いが共鳴し合い、より力強い攻撃を織り成しているという印象を受ける。

前日の囲み取材では、ネルシーニョ監督は今シーズンの戦いに臨む上で、例年以上に多大な自信を漂わせていた。「全てのことを短い期間で圧縮して、ステップバイステップで1つ1つできたのは大きかった」。十分に与えられていた準備期間で、自ら計画した通りに強化ができたことを明言し、さらに「この1週間で、選手たちのモチベーション、集中力がさらに上がり、表情も変わった。手応えと期待を大きく感じている」と語った。楽観はしていないが、大いに期待をしてもいいのではないだろうか。

6年目の柏・ネルシーニョ監督、就任初年のF東京・マッシモ フィッカデンティ監督。“継続の柏”と“路線変更のF東京”と考えれば、両者は対照的である。しかし、お互いが狙うものは同じ。2014年のリーグチャンピオンを狙う両者の激突を、絶対に見逃してはならない。

以上

2014.02.28 Reported by 鈴木潤
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