「前向きに食事をし、前向きに買い物をした。何事も前向きに行動することが可能性を生む」。大リーグで活躍を続けるイチローの語った言葉である。要は、何事においても“前を向いて事を成さないと成しえない”ということである。
「上位争いをするだけではなく、何かしらのタイトルを狙う」と尹晶煥監督は語った。今シーズンで3年目を迎えることになるが、ここまで明確にタイトルのことを話してくれたのは初めてである。それだけ、今シーズンの仕上がりがいいのだろう。確かに、恐ろしいくらいの仕上がりを見せている。まず、ケガなどで別メニューの選手がいない。全員が順調にトレーニングメニューをこなし、開幕戦を迎えることができている。監督として、全ての選手を見ながらベストな状態でゲームプランを立てることができるということは、スタートダッシュを切るためには最高の状態と言える。次に、全ポジションでの争いでチーム力の底上げを行うことができた。昨年からの主力メンバーに変動はない。ここに、名実ともに実績を持った選手が加入したのだから、戦力アップしたことは間違いない。昨シーズンの後半に見せた快進撃のサッカーに、新しいエッセンスを加えてさらにパワーアップしたのである。尹監督が語った言葉の裏側には、確かな自信が見える。今季の鳥栖は、昨季以上に期待が持てそうだ。
対する徳島は、主戦場をクラブ史上初めてJ1に移した。混戦だった昇格争いを抜け出し、J1昇格プレーオフを制して勝ち上がってきただけに、簡単に勝てる相手ではないことは確か。小林伸二監督は、「開幕戦で鳥栖と戦えるということは、目指すチームとの実力を図ることができる」と鳥栖との対戦を楽しみにしている様子がうかがえる。「前線にストロングポイントがあるので、そこを抑えるためにある程度の守備を意識して…」と戦い方の一端を語っていた。鳥栖のストロングポイントであるFW豊田陽平に自由を与えることなく、徳島の持ち味でもある速攻を仕掛けてくる作戦とみた。昨シーズン以上の堅守速攻でJ1初勝利を狙っている。
共に前線には強力なFWを持っているチーム。鳥栖には豊田、徳島にはドウグラス、津田知宏である。彼らにどれだけ多くのボールを集めることができるのか。一つ目の注目ポイントである。
そして、そのボールに周りの選手がどれだけ絡むことができるのかが、二つ目のポイントとなる。鳥栖はトップ下に位置する金民友、池田圭、早坂良太であり、徳島は両ワイドの大崎淳矢、廣瀬智靖である。お互いに堅守を柱とした戦い方を見せるだけに、奪ったボールをいかに素早く相手ゴールに近づけることができるのか…。ここが勝負のターニングポイントとなるだろう。
文末になるが、来場者には嬉しい特典があることも記しておかないといけない。鳥栖が福岡ソフトバンクホークス(プロ野球・パシフィックリーグ)とコラボレーションして、『タオルマフラー』を来場者全員にプレゼントしてくれる。Jリーグとプロ野球とのコラボレート、ここにも鳥栖の“前向き”な姿勢を感じることができる。異種競技ではあるが、勝利をめざすプロフェッショナルクラブであることには違いはない。ぜひ、野球ファンの方もサッカーの面白さを体感していただきたい。
ゴールを目指さないと得点は生まれない。得点をあげないと勝利にはつながらない。何事も前を向いて事を成さないと結果はついてこないのである。野球もサッカーも、試合は勝つために行うのである。
以上
2014.02.28 Reported by サカクラゲン