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【J1:第1節 仙台 vs 新潟】プレビュー:みんなで新しい歴史を作ろう。新監督を迎えた仙台と、熟成の時期を迎えた新潟が激突する(14.03.01)

2014年、ベガルタ仙台は前身のブランメル仙台時代から数えてクラブ創立20周年を迎える。この節目の年に、チームは新しい時代へと進もうとしている。

昨季までの6年に渡り、仙台は手倉森誠前監督を中心に、組織力をベースにした堅実なスタイルを築いてきた。その手倉森前監督がU-21日本代表監督就任のためにチームを離れた後を託されたのは、オーストラリア人のグラハム アーノルド監督。現役時代は広島などでプレーし、オーストラリア代表のエースストライカーとしても活躍。指導者となっても自国代表や自国Aリーグのクラブチームを率いて、Aリーグではタイトル獲得の経験も持つ。この新監督は、「自分にとってもこれが(仙台での)デビュー戦。特別な日となります」と3月1日の開幕戦を楽しみにしている。
アーノルド監督はチーム戦術を刷新するよりも、これまでの仙台の流れを尊重した指導をおこなっている。勿論、人が替われば指導も変わるわけで、「守備のやり方であったり、キープする場合のプレーであったり、今年から新しくなったところを理解する必要がありました」と赤嶺真吾がキャンプ中に話していたように、選手たちは昨季との違いに慣れる必要がある。しかしその赤嶺も宮崎での第3次キャンプで「練習試合を繰り返してきたなかで理解が進んできた」と手ごたえを得ている。新加入の武井択也も「始動した頃から監督の求めるプレーを自分なりに理解してプレーしてきましたが、自分もチームメートもコンディションが上がるなかで、連係も深まってきました」とキャンプ終盤に実感していた。
その背景には、アーノルド監督が新しいことも取り入れつつ、これまでのチームのベースを尊重していることがある。「去年までのゲームを見て、仙台は“かたち“があるチームだと思っていました」という指揮官は、1月の始動日から今に至るまで「時が経てば徐々に変化を加えるかもしれませんが、昨季までやってきたことを踏まえています」という。堅固な守備組織を強化したうえで、昨季までの課題だった攻撃のバリエーション増加をはかるチーム作りが、どのあたりまで進んでいるのか。開幕戦はそれが明らかになる。

その開幕戦の相手だが、これが実は厄介だ。ユアテックスタジアム仙台に乗りこむ新潟は、このカードで仙台に3連勝中。レオ シルバを代表に勤勉で組織的なプレッシングでボールを奪い、高い位置を始点としたカウンターをエース・川又堅碁が完結させる。攻守に“鋭い”チームだ。昨季の仙台はパスワークのレベルアップをはかる途上にあったが、新潟のプレッシャーの前に3本もショートパスをつなげない展開を余儀なくされ、得点を奪うことができなかった。
新潟は柳下正明監督のもと組織力を強化させ、着々と力をつけてきた。今季は東口順昭や三門雄大といった主力が移籍したものの、守田達弥と小林裕紀をそれぞれ補強。残留した戦力も昨季後半の快進撃で自信を深めた。「チーム力は向こうの方が上。今の新潟のプレッシャーをかわせるチームはJにはあまりないのでは」と仙台の角田誠も警戒する。

しかし、仙台は仙台で、ホームで迎える開幕戦で易々と相手のプレッシャーに屈するわけにはいかない。指揮官が「ボールを速く動かしてプレッシャーをかいくぐる」という今季の攻撃練習で重視していることを例に挙げたように、状況に応じて新潟の勢いをかわすための攻撃手段を見出したいところだ。時にはロングボールで相手を下げさせることもあるだろうし、これまでの仙台にいなかった新戦力が「攻撃に関与することで、素晴らしいサポーターに自分がここにいる理由を見せる」(マグリンチィ)ことも期待される。

アーノルド監督は仙台の歴史や過去の新潟との相性を踏まえた上で、「『鏡を見ると背後が見えるもの』というが、私は透けたガラス越しに先を見たい」と、仙台の新たな歴史を築くことへの意志を示した。3月1日、ユアテックスタジアム仙台に集まったすべての者が、新しい歴史に踏み出した両チームの戦いを盛り上げてくれることを期待したい。

以上

2014.02.28 Reported by 板垣晴朗
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