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【J2:第42節 山形 vs 東京V】プレビュー:昇格プレーオフに絡めず今季最終節を迎える両クラブ。それでも、一つの勝利をつかむために熱意を燃やす。(13.11.24)

勝点はそれまでの結果の積み重ね。運命が分かれる局面を迎えようとも、それはその1試合ではなく、そこまでの総体的な成果に過ぎない。それでも山形にとって、今シーズンのリーグ戦最後の1週間は激動の日々となった。2つの敗戦で、それぞれの大きな区切りを迎えている。17日、勝ってプレーオフ進出への望みをつなぎたい試合で、すでに1年でのJ1復帰を決めているG大阪と対戦。2-3で敗れて昇格を逃し、G大阪の優勝決定の瞬間に立ち会った。その3日後、天皇杯4回戦で川崎Fと対戦し、0-2で敗れた。かくして、今シーズン残された公式戦は、今節の1試合のみとなった。

G大阪戦では宇佐美貴史に、川崎F戦では大久保嘉人に、高い個人技で2得点を決められた。「チームとしてはもちろんいいゲームができてたと思うし、相手を圧倒する時間が多かったのは自信にもなりますけど、細かいところの一つ一つのプレーとかゴール前のプレーとかを見ると、個々の力で全然差があるなというのを感じたし、もっともっと個人的にレベルアップしないといけないなというのを感じた」。川崎F戦後の萬代宏樹と同じような言葉は、山形のどの選手の口からも聞かれた。まさにその「差」を埋めて勝つために、相手以上のハードワークやアグレッシブな姿勢といった山形らしさを前面に押し出し、実際シュート数では両試合ともに大きく上回った。しかし、スコア上でリードを奪わなければ、本当の意味で主導権を握り、相手を追い詰めることはできない。

「どう選手たちが感じてくれたかというのが、一番大きい財産になる部分。力が上のチームであっても圧倒しかけるぐらいのものを自分たちは作れるんだということは自信に持っていてほしい。そのうえで、その部分をもっと突き詰めていけばいい」。そう語る奥野僚右監督は今節が2シーズン指揮を執った山形での最後の公式戦となり、今シーズンタッグを組んだ相馬直樹ヘッドコーチとともに今季限りでチームを去る。最後の試合は大きな目標を失った状況で迎えることとなったが、「何かモチベーションを外に求めることはないと思う。自分やチームの最高のプレーを出そうというところに徹すること」と、プロとしての内なるプライドこそが戦うモチベーションになることは、この2年間、チームに伝え続けたことでもある。3連戦と厳しい状況での戦いとなるが、実力を備えたG大阪戦、川崎F戦で見せたポテンシャルと同等以上のものを示し、今度は勝利につなげるのがミッションとなる。コンパクトな陣形と素早い攻守の切り換え、ハードワーク、そして両ゴール前での判断と精度……築き上げたスタイルを90分間に注ぎ込む。

14位・東京Vは山形より1節早く、第40節・水戸戦に0-1で敗れてプレーオフ進出の望みが消えている。その直後、三浦泰年監督は「しっかりした準備をして、しっかりした姿勢を表して、試合はトレーニングの発表会だと思っています。発表会でいいサッカーをできて、見に来てくれた人が喜ぶようなサッカーをやれるようにしたい。残り2試合で昇格はなくなったけど、それは続けていきたいと思います」と話し、本来人目に晒されにくく、結果や外からの評価に影響されてはならない幹の部分を大事に臨んでいる。

そうして迎えた前節、まだプレーオフの渦中にある徳島をホーム最終戦の味スタに迎えたが、15分、ワンチャンスで関光博がゴールを割ったものの前半のうちに追いつかれた。バックラインを3枚から4枚にし、鈴木惇を1列下げてバイタルを埋めるなどシステムを変えて臨んだ後半は幾分ボールが回るようにはなったが崩しきるところまで持ち込めず、ドローに終わった。この5試合も1勝1分け3敗、本来の持ち味をいかに出すかを模索しながら迎えた最終節、2-0で勝利した前回対戦で山形からゴールを奪っている小池純輝は「今季は、後半から使ってもらって、その中で精度上げることをテーマにやってきました。突破してるのにクロスが合わなかったりと、まだまだ課題がたくさんです。もっと突き詰めていきたい。そして、次は必ず勝って終わりたいと思います」と自らの前進とチーム勝利の決意を胸に刻んでいる。

山形にとっても東京Vにとっても、今シーズンの集大成としての試合になる。もう昇格はない。勝ってもいくつか順位が上がるだけのこと。それでも、めざすのはそこしかない。それに向けてベストを尽くし、成長を得られて初めて、未来への扉は開かれる。

以上

2013.11.23 Reported by 佐藤円
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