10月2度目のJ2リーグ戦だ。岡山は今週水曜、天皇杯3回戦で柏と対戦。終了間際の89分、PKを与え、これを決められて0−1で敗れた。「力の差は正直、感じた。でも粘り強い戦いが出来たことはポジティブに捉えている」と話す影山雅永監督は、このゲームで得られた手応えとして、それほど多くは決定機を作らせなかった守備面を挙げた。一方で課題として挙げたのは、ボールを奪えるけど、繋げなかったこと。「繋げないことが問題ではなくて、運ぶためのサポートを躊躇してしまっていた」と話した。
岡山と同じ【3−4−3】を採用してきた柏に対して、右ワイドに入った田中奏一も、「もっとやれたんじゃないかって。とくに最後は、もっと攻められたんじゃないか。何度か上がるチャンスがあったのに、そこを失ったらだめだと。攻める姿勢を失っちゃいけないと思いました」と話す。仙石廉、島田譲のダブルボランチに加えて、後半31分に投入された千明聖典は、「チャレンジする相手だった。前半できたことが後半まったく出来なかった。疲れか、圧力でも感じたのか。3枚でくさび、サイドってやっていきたかったんですけど、あれだけ守備に追われてたから疲れだったのかな」。
3年連続で3回戦敗退となったが、天皇杯を戦い、中3日で残り6試合となったリーグ戦で愛媛を迎え撃つ。愛媛は10月第1週の第36節・東京V戦に4−0で勝利。その前の第35節・G大阪戦も1−0で勝利しており、強豪チームを無失点で破っている。東京V戦は前半のうちに、ボランチの吉村圭司、重松健太郎が続けざまに得点を重ね、退場者を出して10人になった東京Vに対し、後半34分から東浩史が2得点を決める理想的な展開だった。G大阪戦では、ボールを支配されながらもFKからアライールがヘッドで決め、G大阪を首位から陥落させた。
9月以降のゲーム6戦で愛媛が敗れたのは、第34節・横浜FC戦のみ。失点数は6試合で「2」に留まる。最終ライン中央で守るDF園田拓也はこう話している。「無失点は常に意識しているが、結果が出るとより一層ゼロに抑えたくなる」。そんな愛媛について、影山監督はこう話す。「最近の試合内容を見る限り、今の勝点、順位にいることは信じられないくらい。ビルドアップからのボールの動かし方や、ボールを奪っていち早く縦につけて、流動性とスピードのある3トップでゴールに迫ってくる」。
今節、岡山はDF近藤徹志が累積で出場停止。愛媛は東京V戦で負った怪我のためFW重松が出場できず、公式発表はないがDFアライールも出場が危ぶまれる。しかし愛媛の前線は、前節の2ゴールで東が完全に波に乗りきった感があり、東のエリア内で前を向いて仕掛ける姿勢、左右両足の強いキックは要警戒だ。同じ【3-4-3】のフォーメーションを採用し、失点数がベスト3位タイの岡山と、失点の少なさでチーム根源を強化させつつある愛媛の対戦は、我慢のしどころと攻撃のタイミングを心得た質の高いゲームとなるはずだ。
愛媛は昨年、シーズン終盤の8試合を無敗でフィニッシュした。今季は一ケタ順位を目標としているが、この時期に得た勢いに乗って、楽しみながら激しい戦いを仕掛けてくるだろう。岡山は天皇杯のゲームで改めて掴んだ「攻める姿勢」を武器に、心が熱くなる戦いを求められる。
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2013.10.19 Reported by 尾原千明