10月もど真ん中。札幌市内は結構、冷え込んできた。
そうしたなかで、10月20日の第37節山形戦と11月3日の39節千葉戦の会場が厚別公園競技場が札幌ドームへと変更された。デーゲームとはいえ、秋口以降の札幌市内はとても寒いため、全天候型の札幌ドームが使えるというのは悪くない。
ただしその結果、10月6日の36節群馬戦が突如、厚別競技場での今シーズンラストゲームとなってしまった。白星で飾れなかったのは残念なところである。
今シーズンの厚別でのゲームは、序盤はなかなか勝てない試合が続いたが、夏場あたりから状況が一気に代わり、負け知らずの時期が訪れるなど、いろいろな出来事があった。
そんな今年の厚別での日々を振り返るにあたり、筆者が印象に残っていることといえば、ある外国人男性との遭遇である。遭遇、と言うとちょっと大げさだが、要はまあ筆者が勝手に見かけていただけの話なのだが。
春先のある試合でのことだったのだが、筆者がスタンドで試合を見ていると、目の前の座席で外国人男性が一生懸命にメモを取りながら試合をチェックしているではないか。でもまあ、昨今のJリーグでは外国のスカウトやエージェントがスタンドにいるというのはよくあること。特に気にすることはなかった。
しかしその後日、厚別で試合を観ていると、またその男性が筆者の前の席に座っているではないか。というケースが、厚別では何度かあったのである。さすがに筆者も「あれはいったい誰なのだろう?」と気になりはじめ、調査をしてみた(「調査」といっても大げさなものではなく、その男性が割り当てられているテーブル席に書かれた名前をチラ見しただけなのだが)。
すると、何のことはない。「○○(某J2クラブのチーム名)様」と書かれていたので、要はスカウティング担当だったのだ。チームによって異なるが、次節に対戦するチームの試合をスタッフが視察に赴くというのは、一般的なこと。それだけの話だったのである。たまたまそれが外国人だったので、筆者の記憶にも残りやすかったということなのだろう。
が、だとしても札幌の試合に来る回数がちょっと多すぎるのでは?と思い調べてみると、そのチームが対戦するチームの、前節の対戦相手が札幌であるというケースが今シーズンは6度あった。これが突出して多いのかどうかは労力の関係で調べていないが、J2は全22チームで戦っていることを考えると、やはり多いのではないだろうか。
そんなわけで、外国人男性に話を聞いてみた。「札幌の試合に結構来られてますよね?」と質問してみると、「そうなんですよ。なぜか対戦相手が前節は札幌と対戦しているケースが多くて。ここ2、3ヶ月の間にも数度、北海道に来ています」と男性は流暢な日本語で返してくれた。やはり本人も多いと感じていたようだ。続けて「じゃあ、札幌の情報もたくさん得られてますね」と聞くと、「確かに、そうなりますね」と男性はニヤリ(←これはちょっと過剰な表現です)。
ただし、これも忘れずに記しておきたい。以前、札幌でスカウティングを担当されていた方に話を聞いた時に、こんなことを言っていた。「情報は、確かに少ないよりは多いほうがいいですが、多すぎると、余計な情報も選手の頭に入ってしまう可能性があるので、どれだけ整理して選手に伝えることができるか。そこが大事です。あまり情報がありすぎると、要所がわからなくなる場合もありますし」と。
こうした、スケジューリングによって生まれる機微もまた、リーグ戦の行方を左右するのだろうか。果たして直接対決の結末やいかに。札幌とこのチームとの試合は今月末に行われる。
以上
2013.10.15 Reported by 斉藤宏則