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【AFCチャンピオンズリーグ2013 柏 vs 広州】レポート:見せつけられた決定力の差。ホームでの第1戦は1−4という厳しい結果に。(13.09.26)

前半を終えた時点では確信とまでは言わないまでも、勝利へ向けて手応えは十分に感じられた。それほど柏の前半の出来は素晴らしかった。

広州の外国籍3選手、エウケソン、ムリキ、ダリオ コンカが変則的な3トップを組み、フレキシブルにポジションを入れ替える。最も警戒しなければならない彼らに対しても、またはその他の選手に対しても、柏は統率の取れた守備で応戦し、相手の攻撃の芽を確実に摘み取っていた。
前半の危ないシーンと言えば、左ポストを叩いたムリキのシュートだけだっただろうか。それ以外はボールが入る瞬間に守備陣がタイトなマーキングで潰し、起点すら作らせない。懸念された4−1−4−1のアンカーの周囲のスペースも、ディフェンスラインと中盤が非常にコンパクトだったこともあり、相手にとっての格好のスペースを与えない。もちろん縦パスを受ける時には、エウケソンもムリキもコンカもゾーンのわずかな隙間に顔を出していたが、前述の通り鈴木大輔、近藤直也が激しい当たりでパスが入る瞬間、確実に彼らを潰した。

0−0の時間が長く続くかと予想していたが、先制点は早い時間に生まれた。右サイドでのFK。ジョルジ ワグネルのインスイングのキックに対し、フリックを狙ったクレオの動きがフェイントとなってGKの対応が一瞬遅れる。ジョルジのキックがそのままゴールに吸い込まれた。
さらに広州の守備も、サイドバックが簡単に釣り出されてその裏がぽっかり空く、あるいは最終ラインとボランチとの間にギャップが生じるなど粗が多く、そこに田中順也、工藤壮人、ジョルジが入って起点を作るか、キム チャンス、橋本和の積極的な攻め上がりで何度も好機が生まれた。前半は、柏がもう2点、3点奪ってもおかしくない流れの試合だった。

しかし後半、一気に様相が変わる。「決めるべき時に決められなかった」と多くの選手が悔やんだ通り、まず前半にあれだけチャンスを作ったにもかかわらず、そこで決め切れなかったこと。そして後半に入ると柏の選手の運動量が極端に下がり、全体のラインが間延びして、スカスカになった中盤のスペースでセカンドボールを拾われてしまったことが、後手に回る原因となった。
58分のムリキの同点弾も、近藤のクリアが小さかったこと以前に、そもそも自陣深い位置まで簡単に運ばれ、クロスを入れられたのがことの方が問題だ。67分のコンカの逆転弾も寄せが甘く、決して簡単なシュートではなかったとは思うが、わずかでも時間と隙を与えれば、あれだけの精度のシュートを打てるレベルの選手だと痛感させられた結果となった。

広州はこちらが驚愕するような、手も足も出ないようなハイレベルのパフォーマンスを見せたわけではなかった。コンカに起点を作られた印象はあるが、エウケソンとムリキはほぼ消すことに成功した。だが、彼らは大半の時間を消され、潰されたとしても、ここぞという時の決定力はさすがだった。82分の右CKからのコンカのゴール、アディショナルタイムのムリキのゴールも、広州が素晴らしい攻撃で柏の守備をこじ開けたというよりは、柏の些細なミスを逃さなかったゆえに生まれたものだ。一方の柏は、前半にはあれだけチャンスを作ったが、決定力に欠けた。その差が1−4というスコアに表れてしまった。
これで10月2日の第2戦では、柏は4点以上を奪い、3点差以上をつけなければ決勝には進めない。厳しい条件を突き付けられたのは間違いないが、田中が「前半の攻めを90分すれば可能性はあると思う」と語るように、攻守両面で機能していたあの前半の出来を考えれば、4点を奪うこと、広州の攻撃をシャットアウトすることは不可能なミッションではない。諦めたら、そこで終わりである。

以上

2013.09.26 Reported by 鈴木潤
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