梅雨に入りスッキリしない天気が続く中、週末のニンジニアスタジアムは晴れ間が広がる予報。3週間ぶりにホームに戻ってくる愛媛にとっては京都、福岡と続いたアウェイ連戦での連敗を止めて曇りがちなチーム状況を払拭したい一戦だ。対する鳥取はホーム連戦で連敗。こちらも岐阜、北九州に敗れ、さらにその前のアウェイ横浜FC戦も含めると3連敗中。下位を抜け出せない状況が続いている。それでも鳥取の20位に対して愛媛は16位につけているが、両者の勝点差わずかに２。鳥取が勝てば順位が入れ替わるだけに、リーグ前半戦最終節は勝った方が中位グループ進出の足がかりを得る重要な一戦となる。

そこで両チームに共通している課題といえば、失点を食い止めることに尽きる。愛媛も鳥取も複数失点が続いており、まず愛媛に関していえば6試合複数失点が続いている。この状況では、思うように勝点を伸ばせないのも仕方がない。しかも、ここ3試合に関してはいずれも早い時間帯に失点。「失点が早いし、簡単すぎる。福岡戦もクロスの対応をやっていたはずなのに…」と浦田延尚は悔やむように、前半9分と17分に続けて失点をして早々と厳しい状況に追い込まれた。「体を張ったり、ちょっとしたところの失点をしない意識を植え込まないと」と石丸清隆監督は指摘をするが、失点のほとんどは組織のほころびというよりも局面で戦えていないことが原因。そこでチーム全員、一人ひとりが今以上に戦えなければ、この失点を無くすことはできない。

一方で、鳥取は2試合続けての逆転負け。愛媛とは反対に、リードを奪いながら守り抜くことができていない。その中でも特に気をつけなければならないのが、前後半の開始直後や終了間際などの危険な時間帯。前節の北九州戦は後半４分に追いつかれて逆転を許したが、岐阜戦は前半のアディショナルタイムと試合終盤の連続失点で逆転されてしまっている。さらに横浜FC戦では終了間際のアディショナルタイムに決勝点を奪われた。こういった勝負どころを抑えることができなければ連敗脱出は難しいし、順位を上げていくことも困難だろう。

さらに、両チームともにセットプレーの対応も注意したい。鳥取は前節、セットプレーでミスが重なり２失点。愛媛も複数失点が続いている失点の中にはセットプレーで失ったものも多い。愛媛も鳥取も連敗中とはいえ、いずれも僅差の試合を落としており、裏を返せばセットプレーで得点を奪うことができれば試合を優位に進めることもできる。試合の時間帯に関わらず、互いにセットプレーのチャンスは生かしたいところでもある。

ただ、セットプレーだけでなく鳥取はＦＷ久保裕一のポストワークから２列目、３列目が絡む厚みのある攻撃もできる。そして愛媛はパスサッカーで相手を崩すことで得点も奪える。そのパスサッカーに加え、福岡戦の後半は途中出場の東浩史や重松健太郎、伊藤優汰の３人が個の力で局面を打開。数多くのチャンスを作ることもできた。そうしたチームの強みを結果に生かすことも、勢いにつながる重要なポイント。守備への意識を高めつつ、チャンスがあれば果敢にゴールを目指すことで連敗脱出を成し遂げるのは愛媛か、鳥取か。梅雨の間に広がるであろう青空のように、スッキリとリーグ後半戦を迎えるためにも、そしてその後半戦でより高みを目指すためにも、両者にとって勝点３が大きな意味を持つ戦いになる。

以上

2013.06.28 Reported by 近藤義博