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【J2:第18節 岐阜 vs 長崎】レポート:9か月間も待っていたこの瞬間!岐阜、ホームで劇的逆転勝利!!(13.06.09)

冒頭から私事で申し訳ないが、ようやくようやく勝ち原稿を書くことが出来る。実に9か月ぶりのホームの勝利。これほどまで長い間、勝ち原稿を書いた事がなかった。改めて勝利がこんなに遠いものかと痛感させられたが、やはりホームでの勝利は何物にも変えがたいものがある。

立ち上りは最も恐れていた、岐阜が一番嫌だった展開から始まった。今年、岐阜から長崎に移籍したFW佐藤洸一が、開始早々の5分、古巣にいきなり牙をむいた。左サイドのMF山田晃平のシュート性のクロスを、ダイビングヘッドで叩きこみ、長崎が先制に成功した。

このシーンは決して偶発的なものでも、出会い頭的なものでもなかった。キックオフから長崎の選手たちは気迫に満ちていた。「岐阜には絶対に負けられない。負けは許されない」とMF井上裕大が語っていたように、キックオフと同時に一気に前にボールを運び、気迫で岐阜を怯ませると、先制点のシーンは岐阜の大きな弱点の一つであるウィングバックのマークの甘さを巧みに突いた。山田に渡る前の展開で、攻め残っていた長崎の右ウィングバックの小笠原侑生のマークを見失い、フリーにさせてしまった。そこに中央から正確なフィードが届き、ドフリーでボールを受けた小笠原は、そのまま中をよく見てクロス。この際にスリーバックの左の田中秀人が、小笠原に食いついてしまい、中央の佐藤洸一をフリーにさせてしまった。この右クロスは流れたが、ファーでボールを受けた山田が、シュートを放つと結果的にこれがいいクロスになり、フリーの佐藤がダイビングヘッドで合わせたという形であった。

前節も同じ【3-4-2-1】を敷く岡山に、相手の両ウィングバックを気持ちよく攻撃参加させてしまっていた。この試合も同じ【3-4-2-1】を敷く長崎の両ウィングバックに先制点を演出されてしまった。

その後、落ちない運動量を武器に、引き続き前がかりで攻めてきた長崎に対し、岐阜は何とかカウンターで打開策を見出そうとするが、攻撃に枚数が掛けられず、単発の攻撃に終始。0-1のまま前半を折り返した。

後半早々にまたも長崎が決定機を作る。佐藤の強烈なヘッドはGK高木貴弘のファインセーブにより事なきを得たが、前半同様に左右を揺さぶられてのピンチだった。だが、ここからようやく岐阜は反撃の兆しを見せる。

ボランチに入った野垣内俊が高い位置でポジションを取れるようになり、シャドーの美尾敦との連携がスムーズになると、ここでボールが保持できるようになった。中盤で時間が作れるようになったことで、ようやく染矢一樹と杉山新の両ウィングバックの縦への仕掛けが生かせるようになり、長崎ゴールに迫り始めた。

そして64分、左サイドで美尾が裏に抜け出したMF森安洋文にパス。リターンを受けて完全に左を崩すと、クロスは一度はクリアされるも、このクリアボールを野垣内がスライディングで右サイドの杉山に繋ぐ。杉山のグラウンダーのクロスを、ファーサイドで染矢が蹴り込んで、岐阜が最初のチャンスで同点に追いついた。

これで完全に勢いづいた岐阜は、さらに攻勢に出る。前半飛ばした長崎の運動量が落ちてきたこともあり、岐阜のショートカウンターが更に効力を発揮。90分にはCKからMF服部年宏がバー直撃のシュートを放つと、試合終了間際の94分、ドラマが待っていた。

長崎のセットプレー崩れから、デズモンドがボールを奪うと、カウンターが始まる。一度はミスでチャンスを逸しかけたが、杉山がすぐさまフォローし、そのままドリブルで独走。左にはFW樋口寛規、右には染矢が並走する中、DFを引きつけた杉山は染矢にスルーパス。染矢が豪快に右足を振り抜いて、長崎ゴールに突き刺した。そして、ゴールと同時にタイムアップのホイッスル。まさにマンガのような展開で、岐阜が逆転勝ちを収めた。

残り15分の走力、攻撃は見事だった。この日、5211人もの観客が詰めかけ、子供たちが多く来場した中で見せた劇的勝利。この勝利が持つ意味は、単なる勝点3だけでなく、非常に大きなものがある。

だが、「この結果に一喜一憂してはいけない」と美尾が警鐘を鳴らしたように、まだ岐阜は単独最下位。決して浮かれられる状況ではない。今季初勝利を挙げたアウェイの松本戦も、終盤で逆転しての勝利だったが、その後が続かず、再び苦しい状況に陥った。その反省も踏まえ、この勝利を今後に繋げて、段階的にチームをよくしてかなければ意味がない。勝ったから良しではない、『勝って兜の緒を締めよ』。この言葉を岐阜に贈りたい。とはいえ、やっぱり勝利は格別。勝って、気を引き締める言葉を書ける喜びを今、噛みしめている。光を掴め、FC岐阜。前進を感じた時こそ、人は成長できる。

以上

2013.06.09 Reported by 安藤隆人
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