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【J2:第18節 神戸 vs 千葉】レポート:前半シュート0本から千葉は価値ある勝点1。神戸は狂った歯車を修正できず苦いドロー。(13.06.09)

20分、神戸はストロングポイントの一つであるセットプレーで先制した。その後も前半は有利に試合を進め、千葉に与えたシュート数は0本。神戸の安達亮監督も「狙い通りというか、いい結果で(前半を)折り返せた」と振り返る会心の出来だった。

だが、後半は一変して千葉がゲームのタスクを握った。高い位置からのプレスで神戸のDFラインを押し下げ、ポゼッションでも上回った。前半と後半でこれほど様相が異なるのも珍しい。なぜ、そうなったのだろうか。

前半のキックオフ。神戸は一度ボールを下げ、センターバックの岩波拓也が長いボールを田代有三へ送って始まった。よく見る神戸のスタートシーンだが、改めて神戸にロングフィードがあると千葉に意識させた。鈴木淳監督も「長いボールをうまく跳ね返すことができなかったり、そのセカンドボールがなかなか拾えなかった。(中略)戦前からそこのところをしっかり抑えたかったんですけど、それができずに前半は非常に苦しみました」と振り返っている。

もちろん、神戸がパワープレーを繰り返したわけではなく、千葉に高い位置からプレスを掛けさせないための“威嚇のロングフィード”だろう。実際には、橋本英郎とエステバンを軸に両サイドへボールを散らしながら、小川慶治朗やマジーニョが仕掛ける展開。20分にイ グァンソンがヘディングで決めたCKも、マジーニョが左サイドからドリブルで仕掛けたことで獲得したチャンスだ。その後も、千葉にうまくボールを回させながら、中盤でボールを奪ってからのカウンターが効果的に決まり、41分には橋本、ポポ、小川へとつなぎ、最後は小川が田代とのワンツーで抜け出して決定的な場面も演出。残念ながら小川のシュートはバーに嫌われたが、この一連のプレーに象徴されるように神戸は、複数人が絡む理想的なカウンターで主導権を握ったと言える。

だが、後半は千葉が神戸のお株を奪うように前線へのタテパスでリズムをつかんだ。その契機となったのが46分のケンペスのミドルシュートだ。低い弾道の強烈なシュートは、神戸GKの山本海人のファンブルを誘い、こぼれ球に田中佑昌が反応。ゴールには至らなかったものの、神戸のDFに動揺を与える効果的なシュートだった。

また、千葉は後半からシステムを4−2−3−1から4−4−2に近い形に変更し、ケンペスと田中佑が2トップを組んだ。これによって、両サイドバックのオーバーラップがより活発に。49分には、右サイドバック米倉恒貴のクロスに田中佑がニアへ飛び込んで崩れ役になると、抜けてきたボールをケンペスがダイビングヘッドで押し込んだ。これで1−1。56分には神戸が小川のゴールで再びリードするも、流れは引き戻せず。神戸は狂った歯車のまま、64分に再びケンペスに決められた。

ここで注目したいのは、千葉の2得点がいずれも右サイドバックの米倉のアシストであること、そして後半のリズムを作ったのが田中佑へのタテパスである点だ。

神戸の橋本は後半をこう振り返っている。「田中(佑)選手が中盤にいた頃(前半)は、僕ら(ボランチ)も対応できていたんですけれど、(後半は)あんまりぶつかることが無くなった。ベレス(エステバン)もそうですけれど。FWに直接ダイレクトにボールを入れられるというか…」。

前半の千葉の攻撃は、橋本とエステバンの網に掛かるシーンが目立った。そして、そこからのカウンターで神戸はチャンスメイクを重ねた。だから、後半の千葉はボールをロストしていたエリアを避け、両サイドからの展開や前線への長いパスで仕掛けたと思われる。

千葉の鈴木監督のコメントにはこうある。「前半の途中で谷澤と田中のポジションを代えて、なかなかいい形でボールをつなげなかったもんですから、足元足元になって。そこでエステバンのところでうまくかわせなかったので、背後に出る回数を多くした方がいいかなと」。つまり、後半から神戸のボランチを回避した戦術に組み直した。そのための4−4−2だったとも考えられる。

これで千葉は連敗をストップ。「勝点1ですけれども、非常に大きな勝点1だと思います」とは鈴木監督。一方、神戸の安達監督は「なんとかね、勝点1は取れて、負けはしなかったので、それだけは良かった」とコメント。もちろん、両チームにとって勝点1は手放しで喜べる結果ではないが、悲観する内容ではない。非常に見応えのあるゲームだった。

以上

2013.06.09 Reported by 白井邦彦
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