★【NON STOP J2】 -J2のススメ- 紹介選手一覧
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これまで積み重ねてきた経験を惜しみなく落とし込んでいる。紅白戦前の円陣の中心には、必ず榎本達也がいる。細かな戦術の確認を怠ることはない。自分達のサッカーを表現するにはどうすればいいのか。常にそのことに腐心する。徳島からの移籍当初、「頭を使うサッカーに飢えていた」と語っていたが、頭をフル回転させている今、心の底からサッカーを楽しんでいる。
昨日よりも今日、今日よりも明日。少しでもチームが前進するために重んじるのは対話だ。意見はズバズバ言うが、全く聞く耳を持たないわけではない。それは自分自身の考えが必ずしも正解だと思っていないからであり、組織的な守備は全員で作り上げることにこそ意味があると考えているからだ。だから、練習中も練習後も、コミュニュケーションを図ることで連携を深めている。その成果は数字となって現れている。17試合終了時点での失点数は、リーグ2位タイの15。1試合1失点以下は理想的な数字だ。“堅守・栃木”。榎本が今季加入したことでそのイメージは増幅し、対戦相手に「堅い」と思わせることで、試合前から少なからずアドバンテージを得ている。
実際、試合中も榎本の貢献度は極めて高い。持ち前のコーチングを活かして味方に的確な指示を送り、状況に応じたポジショニングを取らせることで未然にピンチを防いでいる。引き出しが豊富だからこそ成せる技であり、絶対的な信頼を寄せているからこそ味方は動く。松田浩監督が“ピッチの指揮官”として頼りにしているのも頷ける。また、単に守るだけではなく、モダンフットボールのGKに求められる足元の確かな技術がもたらしている物も小さくない。昨季よりもポゼッションは格段に向上し、正確無比なフィードから手数を掛けずにゴールを奪うシーンも増加傾向にある。特に気心の知れた近藤祐介とのホットラインは、1つの大きな武器となっている。攻守両面での波及効果は絶大だ。
大怪我を負うなど苦しんだ過去2年間の空白を、新天地で少しずつ埋めている。だが、現状に満足することはない。
「試合に出て、自分のパフォーマンスを出すことに関してはある程度、満足というか、よくやれているのかなと。でも、今の時期に自己評価するのは時期尚早だと思う。今の状態を最後まで続ける必要があるし、これからもチームを1つでも2つでもレベルアップさせることが大事になる。その結果として昇格できたら素晴らしいシーズンだったと言える」
今後も思考停止することなく、守護神は己が設定した高みに向けて歩み続ける。「栃木は榎本が来て変わった。そう言ってもらえるチームにしたい」。その誓いを果たすために全てを注ぎ、全てを捧げる。その思いが揺らぐことはない。日々、自分を磨く作業に終わりもない。
以上
■6月の試合情報
6月8日(土)J2 第18節 栃木 vs 福岡(13:00KICK OFF/栃木グ)
6月15日(土)J2 第19節 栃木 vs 神戸(18:00KICK OFF/栃木グ)
6月22日(土)J2 第20節 東京V vs 栃木(18:00KICK OFF/味スタ)
6月29日(土)J2 第21節 栃木 vs 京都(18:00KICK OFF/栃木グ)
2013.06.04 Reported by 大塚秀毅