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【J1:第13節 鹿島 vs F東京】レポート:圧巻の18分!鹿島が2点のビハインドをひっくり返す、あっという間の逆転劇で勝点3を得る。(13.05.26)

中二日のハードスケジュールで疲労がたまっている重い身体。高いDFラインとハイプレスに悩まされ、攻撃の糸口さえ見つからず圧倒的に押し込まれてしまった45分。そして2点のビハインド。それらのマイナス要素に押しつぶされそうになる気持ちを再び奮い立たせ、それでも勝利を信じることができるのは、並大抵のことではないはずだ。しかし、鹿島の選手たちは、ホームスタジアムがつくりだした雰囲気に後押しされ、誇り高き逆転劇を演じて見せた。

前半は、完全にF東京が支配した。高いDFラインとコンパクトな布陣は、鹿島に付け入る隙を与えない。綺麗に配置された布陣にスペースはなく、鹿島が誇る中盤の技術がまったく生かせない状況だった。そこで、スペースのあるDFラインの背後を突こうとするが、前線からプレスをかけ続けるF東京は自由に蹴らせず、森重真人、チャン・ヒョンスのCBも落ち着いた対応で、ダヴィと大迫勇也の2トップに仕事をさせなかった。
7分に李忠成のゴールで先制すると、44分には左サイドから東慶悟、李忠成と繋いで鹿島守備陣を混乱に陥れ、最後は渡邉千真が高い決定力を見せ、ペナルティエリア外から鋭いシュートをゴールに突き刺す。
「私たちが仕掛けて、試合をコントロールして、相手に決定機をつくらせず、求めていたことはしっかりできたと前半だったと思います」
ポポヴィッチ監督も胸を張る完璧な内容で、2点リードして前半を終えた。

追い込まれたのは鹿島である。先週の名古屋戦に比べると選手の運動量は明らかにパワーダウンしていた。2点をひっくり返すには余程のことが起きない限り難しいと感じる内容差。ハーフタイムにトニーニョ・セレーゾ監督がどういう手を打つのか注目されたが、監督の指示は「焦ってもなにも得られない。頭をリセットして、本来の形に戻そう」というものだった。
「普通に考えると怒鳴りつければいい、とみなさん思いがちですけど、逆に僕は選手たちを信じていますし、選手たちの能力やポテンシャルを考えれば逆転できると信じていました」
中断前の最後の試合、自分たちがこれまで積み上げてきたことを信じ、45分をやり直す。選手によると、「後半は0-0の気持ちで行け」という指示も出ていたそうだ。

監督の期待は選手を突き動かす。後半開始から1週間の間隔が空いている相手よりも運動量を上げるという信じられない戦いを見せる。すると、前半は拾えなかったセカンドボールをつぎつぎと支配し、47分に柴崎岳からダヴィ、大迫とつないでいきなり1点を返すのだった。
この1点でスタジアムの雰囲気ががらりと変わる。サポーターの後押しを受けた鹿島の攻撃はぐんぐんスピード感を増し、それまでまったく綻びを見せなかったF東京の守備陣形が整う前に次々と前線にパスが通るようになる。前へ前へとボールにプレスをかけていた高橋秀人と米本拓司のダブルボランチも後ろからボールを追いかける展開に変わってしまった。
そして、56分にオウンゴールで同点に追いつくと、65分にはゴール前で相手選手からボールを奪った大迫が、落ち着いてキーパーの股を抜き、遂に逆転に成功。怒濤の18分間で試合をひっくり返す。ゴールを決めた大迫のもとには、ベンチからもたくさんの選手が駆け寄り、大きな歓喜の輪ができる。その背後では真っ赤に染まったスタンドが大きく揺れていた。

「アウェイだったらあのまま終わっていたかもしれない。ホームだったから勝つことができた」
そう話すのは鈴木満常務取締役強化部長。監督、選手、サポーター、すべてが一体となりつかみ取った逆転勝利だった。

以上

2013.05.26 Reported by 田中滋
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