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【J2:第6節 千葉 vs 北九州】レポート:北九州の攻守の精度の不足にも助けられた千葉が、ケンペスの4得点などゴールラッシュで今季のホーム初勝利。(13.04.01)

公式記録の気温は7.3℃。フクアリの周囲の桜は満開の時期を過ぎたのに、深々と寒さが身に沁みて花冷えどころか冬に戻ったかのようだった。だが、今季は1分1敗だったホームゲームの鬱憤を晴らすような6−1の大勝を収めた千葉には、ようやく春到来の熱気が感じられた。試合が熱いものになったのには、点差を広げられていっても最後まで闘志を燃やし続けて戦った北九州の選手と声援を送り続けた北九州サポーターの存在も大きい。

試合の入りが良かったのは北九州だった。2分、千葉のMF兵働昭弘からMF八角剛史がボールを奪い、八角のパスを受けたFWキム ドンフィがドリブル突破で千葉のDF山口智のファウルを受ける。FKのこぼれ球は八角がシュートとフィニッシュまで持ちこんだ。だが、先制点を奪ったのは千葉。DF高橋峻希の負傷欠場で右サイドバックを務めたMF米倉恒貴がMFジャイールのスルーパスを受けてクロスを入れると、北九州のDF宮本亨がヘディングでクリア。こぼれ球をペナルティエリアに入ってていた左サイドバックのDF大岩一貴が拾い、トラップから思い切りよく右足を振り抜いてゴールを決めた。

2試合連続で追いつかれての引き分けの千葉は追加点を取れるかどうかがカギだった。千葉の先制後も北九州がボールを保持し、千葉の山口智のクリアボールを拾ったMF小手川宏基がシュートを放つが山口智がブロック。それに対して千葉は15分、ジャイールのCKからケンペスがヘディングシュートを決め、2本のシュートで2回の決定機をいずれも得点にしてしまった。北九州は2失点目ではケンペスを完全にフリーにしてしまうなど守備のミスも絡んでの失点。最終的に6失点の北九州はゴール前の守備に甘さがあった。

前半終了間際にジャイールとケンペスの個人技で3−0とした千葉は、後半にもケンペスが決定力の高さを見せてさらに2点を奪った。市原時代を含め千葉では1試合に1人の選手が4得点は史上初。だが、その後の千葉は無意識に気が緩んだのか攻守にミスが出る。特に中盤の守備がルーズで、後半開始早々に北九州のMF内藤洋平にクロスバー直撃のシュートを打たれていたが、67分には北九州のMF鈴木修人に豪快なミドルシュートでJ初得点を決められてしまう。後半だけで北九州に14本のシュートを打たれ、試合を通して北九州のシュートの精度の不足やGK岡本昌弘の好守がなければ1失点では済まなかった。
全体が間延びしてしまい、いいところが消えた後半途中からの千葉だが、89分にはMF田中佑昌の縦パスに米倉が必死に走って追いつき、倒れ込みながらクロスを上げると、ジャイールがヘディングシュートを決めて2試合連続ゴール。このシーンに象徴されるように、とにかく迷わずオーバーラップしてクロスを上げていた米倉が、この日の千葉の前への推進力がある攻撃に大きく貢献していた。米倉は不慣れなポジションゆえに守備でミスが出た場面もあったが、その一方で中に絞ってペナルティエリアで相手のラストパスをクリアした場面も何回かあった。ケンペスが表のMVPならば裏のMVPは米倉だろう。

大敗した北九州だが、DF前田和哉は「悪かったところがハッキリしているので修正しやすいし、切り替えやすい。気持ちは負けていなかったし、できたところは自信を持って長所を伸ばしたい」と話し、新監督で新加入の選手が多いチームだけに八角は「今はやるべきことをやって課題を克服していけばいい。夏にはもっといいサッカーができていることが目標」と話した。チームとしての完成度を早く高められるかが今後のポイントだ。
一方、千葉の大勝は北九州の攻守の精度の不足に負うところが大きかっただけに、今節も悪かった守備のバランス、そして攻撃の連係面などの細部をどれだけ修正できるかがカギとなる。対戦相手に助けられて勝つのではなく、自力で勝ちきる力をつけてほしい。

以上

2013.04.01 Reported by 赤沼圭子
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