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【J2:第4節 熊本 vs G大阪】プレビュー:前節初勝利を挙げた熊本が、史上初対戦となるG大阪を迎える。臆することなく、前節からのアグレッシブさを継続することがポイント(13.03.19)

松本にとって地元での開幕となった前節、緑に染まったアルウィンに乗り込んだ熊本は、圧倒的なアウェイの雰囲気の中でも落ち着いて狙いとするサッカーを展開し、待望の今シーズン初勝利を挙げた。始動から取り組んできたスタイル、すなわちボールをしっかりと動かしながら相手を揺さぶって崩す形から齊藤和樹の2得点がうまれ、開幕戦と2節で見えた守備におけるバランスの問題も、積極的にラインを押し上げてスペースを埋めることで修正。終了間際の不運な失点を含め、リードしている状況での試合の終わらせ方でつたなさが出たのはともかく、松本のストロングポイントを出させなかった試合運びは吉田靖監督以下、選手たちにも少なからず自信となった。中2日という短いインターバルについても、メンタルで “いい状態”をキープできることはメリットだと言える。

今節迎えるのは初めての対戦となるG大阪だ。ここまで3試合を終えた成績は1勝2分の5位となっているが、3試合でリーグトップタイの6得点をたたき出している通り、昨シーズンJ1で最多得点を記録した攻撃力は戦うステージが変わっても健在。今節は遠藤保仁と今野泰幸を日本代表のカタール遠征で欠くが、前節レアンドロが復帰、また家長昭博や加地亮ら、ベンチにもそうそうたる顔ぶれが控える。日本代表2人の不在を受けてどんな変更がなされるのか気にはなるものの、チーム力が大きく落ちるわけではない。
もちろん、レアンドロや倉田秋、そして二川孝広といった前線のアイデアやスピード、さらにファーストタッチの正確さなどに見られるスキルの部分など、個の力の高さは言うまでもないことだが、チャンスと見るや一気に攻撃のスピードを上げる緩急のつけ方において、チームとしてオートマティックに連動している点こそ、永らくJ1に君臨してきたクラブならではのクオリティ。藤春廣輝と丹羽大輝の両サイドバックも積極的にアタッキングサードへ侵入し、たとえ数的優位を作れなくともフィニッシュまで持ち込む力はじゅうぶん。前節初めて無得点に終わったことに関して長谷川健太監督は「最後に押し切るところが足りなかった」と述べる一方、2節の長崎戦からアプローチのクイックネスを高めるなど、無失点に抑えた守備も含めて修正している部分もあり、チームとしては「1戦目、2戦目より上がってきている」(同監督)手応えをつかんでいる。

ただ、熊本も試合を重ねて少しずつ微調整しながらステップアップしているのは確かで、前節やれたことを、自信を持って臆せず継続することがこの試合でも大きなポイントとなる。2節、3節にG大阪と対戦した長崎、横浜FCの(とくに後半の)戦い方をヒントにすれば(そしてそれは熊本にとって開幕戦から続く課題なのだが)、まずは自由にプレーできるスペースを与えないよう、最終ラインを押し上げてコンパクトな陣形を保ちながら、G大阪のパスワークを封じなくてはならない。ただし相手の技術の高さを考慮すると、やみくもにプレッシャーをかければ簡単にかわされる可能性が高いため、ボールに対してのアプローチでは複数で意思とタイミングを共有することが求められる。「撃ち合いができるチームじゃないから、松本戦みたいな粘り強い守備が大事」と南雄太が話している通り、そうした対応を細かく積み上げた上で、前節何度も見られた黒木晃平のインターセプトのように、縦に入るパスをうまく分断して攻撃に転じられればチャンスは広がる。

前節は攻撃に切り替わった際のミスも目についたため、1本目、2本目を正確につないで、簡単にボールを失わないことも大切。相手の守備ブロックが整えばしっかりと組み立て直すことも必要だが、両サイドバックが高い位置まで顔を出してくることでスペースを狙える場面も少なくないはずで、ときには個人の判断で思いきってフィニッシュまでもっていくアグレッシブな姿勢もおりまぜて、攻撃にバリエーションつけられるかも見どころ。そうした意味で、前節も積極的な仕掛けを見せていた仲間隼斗、シュートの場面も含めて落ち着いた判断が安定してきた齋藤らのプレーに注目したい。

G大阪が歴史、実績の面で日本を代表するクラブの1つであることは間違いない。だが熊本も過去にはC大阪や鳥栖、仙台、広島、柏など、現在J1で上位にいるクラブと対等な勝負をしてきた。ピッチの中に過剰な敬意はいらない。臆することなく、立ち向かうのみだ。

以上

2013.03.19 Reported by 井芹貴志
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