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【J1:第4節 浦和 vs 川崎F】レポート:2人退場の浦和が気迫のディフェンスでゴールを死守。川崎Fは勝ち越し点を奪えず試合は引き分けに(12.04.01)

「意地だった。絶対に失点したくなかったし、退場2人が出てからのみんなの気迫は半端なかった」(加藤順大)

まさに執念でもぎ取った勝点1だった。浦和は74分に阿部勇樹、80分に槙野智章が退場処分を受け、アディショナルタイムを含めて約15分間も絶体絶命のピンチに晒されていたが、川崎Fの怒濤の攻撃を気迫のディフェンスでしのぎ切った。「ディフェンスを見れば、取るべくして取った1ポイントだと思う」。ミハイロ ペトロヴィッチ監督も選手たちの奮闘を称えていた。

立ち上がり、ボールを支配したのはホームの浦和だった。最終ラインとボランチの連携で後方からゲームを組み立て、開始10分には幸先よく先制点を奪った。永田充がロングフィードで左サイドに付けようとしたボールは相手DFに跳ね返されたものの、こぼれ球を拾った槙野がすぐさま梅崎司にパス。そして梅崎が鋭いドリブルでマーカーを外して高速クロスを入れると、ポポが頭で合わせてゴールネットを揺らした。

浦和としては最高の滑り出しとなった。ただ、必ずしも狙い通りの試合運びができていたわけではなかった。ビルドアップの段階でボールを回すことはできていたが、そこから中盤に運んで攻撃を仕掛けるという形はあまり作れなかった。「後ろで回している時に今日は無駄な横パスがすごい多かった」と柏木陽介が話したように、縦への出し入れをしながら永田、阿部、鈴木啓太のうちの誰かが前に出て展開するという、最近の試合でできていた形になかなかもっていけなかった。

それには川崎Fの出方も関係していた。前からプレッシャーをかけることが多い川崎Fだったが、序盤はブロックを築いて待ち構える形で戦った。「相手のボランチが落ちて回すことは分かっていたし、低いところで回させておいて、飛び込んでくるところだけしっかり見る感じだった」とは小松塁。川崎Fに中央のエリアをケアされたことで浦和は真ん中で基点を作ることができず、ボールを回せはするものの「中からサイド」という今季のサッカーで鍵を握るパターンを作り出せなかった。

それでも追加点のチャンスがなかったわけではない。31分にはポポとのコンビネーションから柏木がGKと一対一というビッグチャンスを迎え、その1分後にも柏木のクロスがファーに抜けて平川忠亮の前に転がるという決定機があったが、どちらの好機も生かすことはできなかった。

「決めるべき時に決めないといけなかった」。サッカーではすっかりお馴染みの常套句だが、この試合もまさにそれだった。守勢に回ることが多かった川崎Fが盛り返し、前からプレスをかけるようになっていくと、試合の主導権は浦和から川崎Fに移っていった。

そして後半に入り、川崎Fは中村憲剛か柴崎晃誠のボランチ1枚が高い位置まで飛び込むようになるなど攻勢をさらに強めると、59分には同点ゴールが生まれる。田中裕介のクロスを小松がファーサイドで折り返すと、後半からピッチに立った矢島卓郎が押し込んだ。

この場面に関して言えば、相馬直樹監督の采配がズバリと当たった。前半、浦和の3バックは小松にほとんど決定的な仕事をさせなかった。29日の練習で意識付けされた対応策が機能していた。そこで相馬監督は後半開始時に矢島をトップに投入し、小松を真ん中からサイドに回していた。このポジション変更が功を奏し、浦和は小松を誰が見るのかあいまいだったために複数人で反応する事態に陥り、「塁がDFを引きつけてくれたから決めることができた」というフリーの矢島にゴールを許した。

これで試合の流れは完全に川崎Fに傾いた。浦和はアタッキングサードまでボールを運ぶこともなかなかできず、川崎Fに押し込まれてはゴール前で跳ね返すという展開に。74分には自陣での連携ミスで失ったボールを取り返そうとした阿部が2枚目のイエローカードで退場。80分には槙野まで退場処分となり、2人少なくなった浦和はサンドバック状態に陥った。

しかし、それでも浦和は気持ちの入ったディフェンスで粘り強く対応。また、川崎Fが2人退場して前に人が割けない相手に対してDFが3枚も後ろに残るという消極的な対応をしたり、前で基点になれる小松を交代で下げたことにも助けられ、浦和はゴール前で川崎Fの猛攻を跳ね返し続けた。

さらにはその絶望的とも言える状況下において、マルシオ リシャルデスが巧みなキープで時間を削ると、平川もスピードを生かしたドリブルで自陣からボールを運び出してCKまで獲得。選手たちは2人少ない状況でできる最大限のことをして、勝ちに等しい引き分けという結果を手にした。

以上

2012.04.01 Reported by 神谷正明
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