本文へ移動

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第6節 山形 vs 水戸】プレビュー:上位から離されたくない山形と水戸が4シーズンぶりに対戦! チームの再加速に必要な勝利を得るのはどちらか?(12.04.01)

第2節から3連勝していた山形は前節・岡山戦で敗れ、連勝ストップで4位から9位に後退。開幕3連勝と好スタートを切った水戸は、前々節で北九州に今季初黒星を喫すると、前節・松本戦もスコアレスドローで2位から6位に後退している。5試合を消化して上位はいまだ混戦だが、それは即ち、勝利以外では差を広げられてしまうこと、ひいては、もっとも大事な目的が離れていきかねないことも意味する。昇格を遠い目標に掲げて対戦したのは昔のこと。勝点1差。山形の降格で実現した4シーズンぶりの対戦は、蹴落とす側になるか、蹴落とされる側になるかのシビアな勝負だ。

1年でのJ1復帰を目標に設定する山形は、開幕戦の千葉戦こそ無得点に終わったが、それ以降の4試合ではすべて得点を挙げている。その中心である3トップの山崎雅人、中島裕希、萬代宏樹はいずれも得点を挙げるなど好調。逆にここまで無失点の試合もないが、奥野僚右監督は「自分たちはいつも無失点のゲームを試みて続けていますが、結果としてない。これ以上悪くなるとは考えていません。引き続きトレーニングでも守備的連係を深めていくことを考えて、そこはあまり悲観していません」と話す。攻撃力が発揮でき、結果を手に入れることができれば大きな問題はないというのが基本的な方針だ。

前節は強い風と相手の早いプレッシャーに攻撃力を封じられる形になり、2失点してから攻め込んだが、反撃は中島の1点にとどまった。「横からクロスを上げられればチャンスはありそうだなと見ていました。縦のボールに対しては自信を持っていたと思うんですけど、サイドを揺さぶってたらもっとできたかなと」。後半開始から投入された宮沢克行は、ベンチからの観察を活かし、中島のゴールを左サイドからのクロスでお膳立てした。ピッチ上で何が起きているかを把握し、どういう解決の道筋があるかを導くのは、あくまでもピッチの中での作業となる。その所要時間を短くできれば勝利を手にすることもでき、短くできなければ千葉戦や岡山戦のような結果に甘んじることになる。戦う場がホームであることは、もちろんプラスに作用する。前節の負傷で前田和哉が欠場となるが、石井秀典も昨シーズンはセンターバックでもっとも出場数を重ねている実力者だけに、不安はない。

鳥栖のJ1昇格により、1999年に発足したJ2の“オリジナル10”はすべてJ1経験クラブとなったが、“11番目のJ2クラブ”水戸も昇格を現実のものとしてとらえている。松本戦を終えた柱谷哲二監督のコメントが、その本気度を明確に表している。「勝点1を取れたのは昨年のチームではOKなのですが、今年のチームは勝点2を落としたということになります」「反町さんがウチを研究して、しっかりとストロングポイントを消してきたけれども、それでもこじ開けることができるのがJ1のチームだと思う」。今シーズンは2年目の鈴木隆行に加え市川大祐が加入。そうした経験値の高い選手と高いスキルを兼ね備える若い選手がうまく融合しチームとして噛み合っていることが、ここまで2失点という守備の成果にもつながっている。さらに、鈴木に加え、トップ下の橋本晃司、両サイドハーフの小澤司、島田祐輝がいずれもスコアラーとなっているのは、攻撃が機能しているからこそだ。

ともに攻撃的なスタイルだが、フィニッシュまでやりきらなければ相手の強烈なカウンターを呼び込む恐れがある。ともに遅攻から得点を奪えるほどの精度はまだ身についていないため、スコアが動くとすれば攻守が切り替わった直後とセットプレーになる。
 
水戸は鈴木のキープ力と2列目からの飛び出しをうまく組み合わせ、特に相手を右サイドに寄せてから左サイドへの大きな展開で島田が仕掛けるパターンが多用され、相手に脅威も与えている。押し込む状態になれば島田が中に潜り込み、後方から輪湖直樹が高い位置を取ることもある。ただし、そこで攻めきれなければ、山形の3トップがスピードを活かし起点をつくることになる。一方の山形も、島田にスペースを与えることを怖がれば、サイドのボールに対して十分なプレッシャーをかけることができなくなる。しっかりとスライドすることで起点を潰す展開が望ましい。また、水戸はクロスやシュートの際にゴール前に可能な限り人数をかけ、跳ね返りやこぼれ球を狙う意識も高い。山形が一発目を防いだ直後にすべきことは、必ず襲ってくる2発目、3発目に備えること。確実にマイボールにするまで、それをやりきらなけれけばならない。

連戦を終え、1週間の間隔に戻ったことでリフレッシュすると同時に、課題の修正や積み上げるべき取り組みにも時間を使うことができただろう。最大限の集中力をこの試合に注げる環境で、「勝利」という目的を達するのは山形か、水戸か。

以上


2012.03.31 Reported by 佐藤円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

J.LEAGUE TITLE PARTNER

J.LEAGUE OFFICIAL BROADCASTING PARTNER

J.LEAGUE TOP PARTNERS

J.LEAGUE SUPPORTING COMPANIES

TOP