本文へ移動

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第6節 熊本 vs 岐阜】プレビュー:J2入り同期の岐阜を迎える一戦。前節できたことを継続した上で、2ポイント分の上積みができるか。(12.04.01)

4連勝で首位を走っていた湘南を迎えた前節、熊本は今季初めて先制点を挙げ、追いつかれては突き放し、 あるいは逆転されても追いつくという粘り強い戦いを見せた。順位に変動はなかったが、2010年以来の3得点を含め、少なからず自信につながったのは確かだろう。
ただ、「勘違いしたらダメ」と高木琢也監督は言う。前節のような試合を展開できたのは、球際の争いに身体を張れたからだが、勝っていないという事実は冷静かつ謙虚に受け止めた上で、「先週のイメージをキープして、アグレッシブに」(武富孝介)という、チームで改めて確認できたことをこの試合でも継続する必要がある。1日のオフを挟んでトレーニングを再開するにあたり、高木監督が選手たちに話したという具体的な要素は、「ボディコンタクトとセカンドボール」の2点だという。

対する岐阜は、5節までを終えて2分3敗といまだ勝ちがなく21位。J2での通算の対戦成績は3勝4分3敗と数字的には五分で、JFL時代から「なかなか勝てない相手」というイメージを植え付けられてきたが、2010年以降は2勝2分と負けておらず(ホームでは2勝)、かつてほどの苦手意識は、もはやない。だが、だからこそ今節はいっそう気持ちを引き締めなくてはならない。「勝ってないから当然、勝ちにくる。そういうメンタルも含めて怖さがある」(高木監督)からだ。まして勝点差はわずか2。結果次第では、見たくないものが視界に入ってしまうことになる。
今季から就任した行徳浩二監督のもと、岐阜は失点を減らすことが大きなテーマになっているようで、前からプレッシャーをかけ、高い位置でボールを奪って仕掛けるショートカウンターも特徴。東京V時代に直接指導した印象から「中に入ってステップでかわすうまさがある」と高木監督が評する井上平、パスセンスと得点感覚にもすぐれ、新加入ながら10番を背負う樋口寛規ら、攻撃陣は個性的でやっかいな顔ぶれが揃っており、「FWの佐藤(洸一)とうまくリンクしてくると、もっといい攻撃になる」と警戒する。その瞬間が、この一戦に訪れない保証はどこにもない。

その勢いをそぐには、球際の争いもさることながら、相手がボールを握っている時にどれだけ落ち着いた対応ができるか。前節の反省を踏まえ、「連続して攻撃されるとだんだんズレてくる。(状況次第で)タッチとかに切れば、そこからまた整えられる」と廣井友信が話しているように、いったんセットし直してスピードダウンさせることができれば、守勢にあってもペースをつかむことは可能だろう。そのためにも、「ボールへ行くのか、ゴール前のゾーンを守るのかをはっきり」(廣井)させ、その判断を共有しなくてはならない。特に、服部年宏が高い位置まで顔を出してくることに関しては「自分が(ボールを)受けなくても、引きつける賢さがある」と高木監督も注意を促しており、服部の動きに引っ張られて他の選手を浮かせないようにしなくてはならない。スライドやマークの受け渡しを徹底し、縦に入るボールはしっかり潰し、カバーリングを怠らないことで、岐阜の攻撃を抑えこみたい。仮にどこかの段階でミスが生じても、それをリカバーするグループとしての対応力も問われる。

攻撃を組み立てていく中では、岐阜の最終ラインとボランチの間にどれだけギャップを作ってそこを使えるか。相手が前から来るのであれば、早い切り替えでスペースを衝き、ボールを追い越す、間からのぞく、複数でサポートして数的優位を作るといった、3人目、4人目が絡んだコンビネーション――例えば前節の得点場面のような――でゴールを陥れたいところ。もちろん、プレッシングをかわす意味で、特に立ち上がりはシンプルに背後を狙うことも重要になってくるが、いずれにしてもアタッキングゾーンまで運ぶ回数を増やすためのハードワークを繰り返さなくてはならない。「いい形で取ったボールをすぐ取られたら、(プレスにきた相手が)前に残っている分リスクも大きい」(原田拓)ため、イージーにボールを失わないことも重要だ。
お互いに得失点差はマイナスで、守備に比重が置かれれば堅い展開にもなりうるが、ひとたびスコアが動けばゲームバランスが大きく傾く可能性も十分。そうした場合に流れを左右するのはセットプレー。30日のトレーニングでは、キッカーを変え、入り方、動き方を変えるなど様々なパターンでリスタートを入念に確認していた。岐阜は前節セットプレーから2点失っており対策を講じてくるはずで、そうした攻防でも激しいコンタクトをいとわずプレーできるか、メンタルのタフさも試される一戦となりそう。

鳥取に逆転できたのも湘南に追いつけたのも、ホームの声援が少なからず力になったと熊本の選手たちは口にしている。ならば今節も、スタンドからの声は必ずやピッチに届き、そして力となるはずだ。

以上


2012.03.31 Reported by 井芹貴志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

J.LEAGUE TITLE PARTNER

J.LEAGUE OFFICIAL BROADCASTING PARTNER

J.LEAGUE TOP PARTNERS

J.LEAGUE SUPPORTING COMPANIES

TOP