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【J1:第3節 鳥栖 vs 横浜FM】レポート:自信を結果につなげた鳥栖が、リーグ戦初勝利。「相手のサッカーにハマってしまった」横浜FMは、思惑通りに試合もボールも運べず苦杯。(12.03.25)

「ゲームは鳥栖が支配していたと思うし、内容でも負けていなかった」
「相手のサッカーにまんまとハマってしまった」
同じピッチで、同じボールを90分間追い続けた選手のコメントである。
得点差はわずかに1点なのだが、ここまでコメントの内容に開きがあるほどの試合内容だった。前者は勝者となった鳥栖の選手(藤田直之)のコメントで、後者は今節も意図するサッカーができずに敗れた横浜FM選手(齋藤学)のコメントである。最少得点差の試合ながら、その内容は大きな違いが見受けられた。

前半に放ったシュートは、お互いに3本ずつ。しかし、シュートに至るまでの過程に大きな差があった。
鳥栖は、前半からFW池田圭のDF裏への飛び出し、FW豊田陽平のポストプレーが利いて、横浜FMのペナルティエリアまでボールを運ぶことができていた。20分には、池田がDF裏へ飛び出して折り返したクロスにMF金民友がシュートを放った。29分には、FKから豊田が折り返し、MF水沼宏太がボレーシュートを放った。40分には、CKからのこぼれ球をMF岡本知剛がミドルシュートを放った。
横浜FMは、FW大黒将志が盛んにDF裏への飛び出しを見せ、そこにボールを入れようと試みていた。特に両サイドDFの小林祐三、金井貢史からのロングボールには、その意図がはっきりと見えた。8分には、中盤でボールを受けた齋藤からの縦パスを引き出した大黒が左足でシュートを放った。44分には、CKからMF谷口博之がヘディングシュートを放つも、GKの正面だった。
お互いの前半の攻撃を見ると、中盤からサイドを絡めたパスでボールをFWまで運ぼうとした鳥栖と、ロングボールを多用して鳥栖ゴールに迫る横浜FMの姿があった。

試合が動いたのは、77分だった。
CKからDF小林久晃がヘディングシュートを放ち、MF水沼宏太が押し込んだ。
「来ると思っていたら…」と水沼宏太は感じていたそうだが、自身初となるJ1でのゴールは、鳥栖にリーグ戦初勝利をもたらす貴重なゴールとなった。その後、横浜FMは、DF栗原勇蔵をトップに上げてのパワープレーを早めに仕掛け得点を狙ったが、ゴールを奪うことはできなかった。

尹晶煥監督は、リーグ戦初勝利となった試合を振り返って、「なんと表現してよいかわからない」と表現した。初勝利の嬉しさもあるだろうが、最後まで鳥栖らしいサッカーを見せたことに満足していたようだ。
敗れた樋口靖洋監督は、「乱暴なパワープレーじゃないと、ゴールに向かえないというのが現状」と苦しい状況を説明した。
このお互いの状況は、77分に鳥栖の先制点が境になったわけではない。試合開始から、終了のホイッスルがなるまでの90分間という試合時間を通して、監督が感じたものであったと思う。そして、冒頭に記した選手のコメントは、ピッチに立った選手だけでなく、スタンドから声を出し続けたファンやサポーターも感じたものではないだろうか。この試合に関しては、中村俊輔のコメント「戦術理解の面もあるが、個々でも負けている面もある」が、全てを言い表している。鳥栖のこの試合に賭ける想いが、横浜FMの選手たちのパスワークを封じたように筆者も感じた試合だった。

意図あるパスでなければ、受け手は次のプレーにつなげることができない。
受け手は次のプレーを予測して、出し手にコースや強さ、タイミングを伝える。
目指すはゴールであり、相手が届かないところにボールを置かないとシュートまでは持っていくことができない。
ゴールまでの経路が複雑であると、時間もかかるしミスも発生する可能性が高くなる。
シンプルすぎると相手に読まれやすく単調になりやすい。1本のシュートを放つまでには、多くの意図が込められているからこそ、1点の重みと感動が伝わる。
ゴールは、選手の想いと観ている人の期待の集大成である。

以上

2012.03.25 Reported by サカクラゲン
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