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【J2:第5節 福岡 vs 鳥取】プレビュー:ポゼッションvs.プレッシング。福岡にとって試金石とも言える試合。変わらぬ姿勢で勝利を目指せ(12.03.25)

中2日、中4日で続く3連戦。まだシーズンは始まったばかりとは言え、選手たちの体には疲労が蓄積していく。その疲労を取り除き、自分たちのやるべきサッカーを余すことなく表現するために、ゆっくりと、しかし、ポイントを抑えたトレーニングが続く。ゆとりがあるわけではない。切羽詰まっているわけでもない。そこに漂うのは、そうしたものを卓越した独特な雰囲気。自分たちのサッカーを表現するために何をするべきか。それだけに集中する張り詰めた空気が、雁の巣球技場を包み込む。自分たちと向き合うことを忘れず、勝利に奢らず、敗戦に下を向かず、そして決して満足することなく一歩ずつ積み上げて行く。監督、現場スタッフ、所属する27人の選手全員が同じ想いで、同じ方向へ向かって歩いていく。それが2012年型の福岡の姿。それは1月17日にチームが始動した時から変わらない。

前節の千葉戦で自分たちの、サッカーをレベルファイブスタジアムに足を運んだサポーターに披露した福岡。スコアレスドローという結果も、着実に積み上げてきていることを示した試合は、長いリーグ戦を戦う上で収穫と呼べるものだった。しかし、それも過去の結果。ひとつひとつの試合の意味合いは、その内容・結果だけで決まるのではなく、それに続く試合の結果で大きく変わる。福岡に求められているのは、迎える試合で内容を積み上げた上で勝点3を手に入れること。それが、千葉戦の結果を価値あるものにする唯一の手段だ。やることに変わりがあるわけではない。選手の距離感を適正に保てるか。コンパクトなゾーンを90分間に渡ってキープし続けられるか。素早く攻守を切り替えられるか。そして、スピードアップとステイの判断を的確に下せるか。自分たちが積み上げているものを試合で確実に表現すること。そこに勝利の2文字がある。

迎える相手は鳥取。福岡にとっては初対戦の相手になる。ここまでの成績は1勝1分2敗。しかし、前節、ホームでJ1昇格候補筆頭として前評判の高い京都を2−1で撃破しており、決して侮れる相手ではない。チームのスタイルは、前線から激しいプレッシャーをかけ、高い位置で奪って攻撃に転ずるというもの。京都戦の勝利は、まさにそのスタイルがもたらしたものだった。立ち上がりは京都がリズムを刻んでいたが、しつこく、激しく、これでもかと言わんばかりにボールホルダーに対して人数をかけてプレスをかけ続けることでペースを奪い返した。とにかく、次から次へとボールに襲いかかる姿勢はアグレッシブそのものだった。また、この試合では、4−4−2の布陣を4−2−3−1に変更して臨んでいたが、果たして福岡との試合では、どのような布陣を敷いてくるかも興味あるところだ。

さて、福岡にとっての最大のポイントは、鳥取の激しいプレッシャーを、いかにしてかわすかということにある。局面に人数をかけ、直線的にゴールに迫る鳥取に付き合ってしまっては相手の思う壺。前からのプレッシャーに臆することなく、ボールを動かしながらピッチを広く使えるかどうか。それが試合の鍵を握る。ボールをポゼッションし、攻守に渡って主導権を握る戦いを志向する前田浩二監督は、そのためには「スペースを見つけなければいけない。作らなければいけない。走らなければいけない。そこへパスを出さなければいけない。様々なことが要求される」と話すが、鳥取との試合は、まさにそれが試されることになり、言わば、福岡にとっての試金石とも言える試合になる。最優先は勝利の2文字だが、どこまで自分たちのサッカーを展開できるかが大きな意味を持つ試合になることは間違いない。

そんな試合に向けて前田監督は話す。「鳥取は切り替えが素早く、ハードワークしてくるチーム。本当にひたむきにやってくる。注意すべきは全員。我々には、それを上回るひたむきさと状況判断が大事」。その姿勢は、これまでのどの試合とも変わらない。何か特別なことをするのではなく、相手にかかわらず、謙虚に、自分たちを見つめながら、しかし、自信を持って戦うのが福岡のスタイル。その姿勢を崩すことなく戦う構えを見せる。そんなチームとともに、レベルファイブスタジアム全体を同じ空気に包んで戦いたい。心に刻むのは、ただ勝利を目指す想いだけ。すべての勝利は、その先にある。

以上

2012.03.24 Reported by 中倉一志
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