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アウェイでの岐阜との開幕戦で2−2と引き分け、昨季最終節までのリーグ戦の連敗を、2年越しに7で止めた鳥取。今季は開幕からアウェイ2連戦で、今節は熊本に乗り込んでの一戦となる。
開幕戦で見えたポジティブな要素は、今季の始動直後から意識して取り組んできた形でゴールを奪ったこと。吉澤英生監督は「ボールを奪ったら、まずは相手の背後のスペースを突く」ことを攻撃の第一選択肢に挙げており、1−2で迎えた61分の同点ゴールは、まさに狙い通りの展開から生まれた。ハーフウェーライン付近でのボール奪取の瞬間、左サイドのスペースに抜けた美尾敦に、実信憲明からのパスが通ったショートカウンター。最終的には、美尾のセンタリングが相手DFに当たってのオウンゴールだったが、素早い攻守の切り替えから、効果的な攻めを繰り出すことができた。
一方でネガティブな要素は、その同点ゴールで流れを引き寄せながらも、その後のチャンスを生かせず、逆転に至らなかったこと。もう一つは、立ち上がりの9分に先制した後、20分にセットプレーの守りで集中力を欠き、あっさり同点とされてしまったことだった。この2つは、いずれも昨季から見えていた課題で、吉澤監督は「時間はかかりますが、(克服に向けての練習を)やり続けなければいけない」と語り、今後も強化すべきポイントとしている。
もっとも、アウェイでの引き分けスタートは、決して悪くはないが、目指すべきは、やはり勝点3。そのために必要なものとして、吉澤監督は「我慢」を挙げた。「熊本はホーム開幕戦で、初戦では負けている。今回の試合には2重のモチベーションがあると思うので、それに耐えることが必要」とした上で、「技術的にもそうだし、精神的にも、我慢してプレーできるかどうか。相手のやりたいことをやらせなければ、焦りを引き出すことができる」とみている。
今週の練習では、そうした我慢の展開になることを想定して、守備の連係確認に多くの時間を割いた。前線からの連動したチェイシングは、前述したボール奪取後のショートカウンターの成否に直結しているだけに、どこまで機能させることができるか。昨季からのチームの傾向として、ひとたび主導権を手放すと、ずるずると長時間劣勢になってしまうことが多いだけに、流れを引き寄せられないまでも、五分五分の状態を保ちながらチャンスをうかがいたい。
熊本とは昨季、天皇杯2回戦も含めて3回対戦しており、天皇杯は鳥取、リーグ戦2試合は熊本が勝利。いずれも先制点を奪った側が、そのまま完封勝利を収めており、今回も先制点が大きなポイントとなりそうだ。昨年10月の札幌戦以来となるリーグ戦の勝利をつかみ、J2の「後輩」町田を迎え撃つ3節のホーム開幕戦(3月17日13時@とりスタ)に向けて、はずみをつけておきたい。
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2012.03.09 Reported by 石倉利英