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【J2:第10節 水戸 vs 湘南】レポート:ともに攻撃的な姿勢を打ち出してのスコアレスドロー。見ごたえ十分のぶつかり合いにスタジアムはヒートアップ!(11.05.05)

5月4日(水) 2011 J2リーグ戦 第10節
水戸 0 - 0 湘南 (13:04/Ksスタ/4,086人)
スカパー!再放送 Ch183 5/5(木)深01:30〜
totoリーグ
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試合開始から約20分間、水戸は湘南のパスワークに翻弄された。横幅を有効に使ったポゼッションにプレスをかけることができず、14分、15分と立て続けに決定機を許してしまう。ただ、序盤こそ後手に回ってしまったが、水戸の選手たちに慌てる様子はなかった。「自分たちでボールを動かしてリズムをつかもうと思った」と村田翔が話すように、ボールを奪ってから素早くボールを動かして、徐々にリズムを奪い返していった。

そこで重要な役割を果たしたのが、小池純輝であった。「チームとして相手のサイドバックの前のスペースを狙おうという意識があった。湘南はサイドバックが守備の時に高い位置に来ないので、攻守が切り替わった時に空く。そこを突いていこうと思った」と小池が語るように、右サイドで果敢にボールを引き出し、“槍”の動きでサイドを切り裂いた。守ることではなく、攻めることで主導権を握り返した水戸。尻上がりに攻撃の勢いは増していった。

そして、今の水戸を象徴しているのが、「誰が出てもパワーを与えてくれる」(柱谷哲二監督)途中出場の選手たちだ。前々節徳島戦では常盤聡が決勝点をたたき出し、前節岐阜戦では敗れはしたものの、小澤司が一矢報いるゴールを決めてみせた。そして今節、73分に小澤とロメロ・フランクの2枚が投入されると、彼らが出色の出来を見せ、再三チャンスを作り出す展開を築いた。80分には小澤が、86分にはフランクが決定的なシュートを放つものの、GKに阻まれ、ゴールを奪うことができず、試合はスコアレスドローに終わってしまったが、彼らが投入されてからの攻撃の迫力は湘南を圧倒するものであった。

「水戸の方が最後のところで思い切ってプレーしている。その分、水戸の方が達成感のあるゲームだったのでは」と反町康治監督が振り返るように、90分通してゴールの匂いを多く感じさせたのは水戸であり、その要因となったのは90分間プレーの質を落とさずに自分たちのサッカーをやり通したからに他ならない。「チームは監督を中心にまとまっている。それは誰もが感じている強み。だから、90分間チームは乱れない」と村田が胸を張る。レギュラーだけでなく、チーム全員が同じ方向を向いてプレーできているということを、途中出場の選手たちがプレーで実証している。それが今の水戸の強さの秘訣だ。

勝利こそ逃したが、開幕からの4試合で水戸が得たものは限りなく大きい。試合前、円陣を組んだ時、本間幸司は選手たちにこう語りかけたという。「スタンドを見ろよ。満員だぜ。俺たちは注目されているんだから、今日もいいサッカーしようぜ」。観客は4086人であったが、メインスタンドが使用できない現状ではほぼ満席状態。しかも、前回のホームゲームの観客数は1273人だったことを考えると、かなり多くの人に注目されるようになっていることは確かだ。それは開幕から一貫して水戸が魅力あふれる攻撃サッカーを貫き、そして結果を出しているからだろう。この日来た観客の多くが、水戸のサッカーに満足して帰っていったはず。また、試合の日が来ることを楽しみにしてくれるに違いない。1試合1試合、すべてを出し切って戦うことで、水戸の未来に徐々に光がともり出すこととなる。1年間ぶれずにこのサッカーを続ければ、水戸の歴史は大きな動きを見せるに違いない。

湘南にとっては手痛いドローとなったが、劣勢の展開の中で勝点1を持って帰れたことをポジティブに考えることもできる。ただ、修正点は少なくない。特に「最後のところがどん詰まりだった」と反町監督が言うように、攻撃面は修正の余地があると言えるだろう。
この試合では、ボールを左右に回して攻め込むものの、崩しの部分での大胆さに欠け、堅固な水戸の守備を崩すことができなかった。「自分がもっとシュートを打ってやろうという気持ちを持たないと」と反町監督が指摘する通り、選手たちの消極的な姿勢が目立った。おそらくパスを回す技術はJ2ではトップレベルにある。それをいかにゴールにつなげることができるか。そこがこれからの大きな課題となりそうだ。アジエルに頼るのではなく、チーム全体で攻撃のアイデアを共有すること。それを身につければ、チームは昇格へグッと近づくこととなる。現在2試合連続無得点中。早く負の流れを断ち切って、飛躍へとつなげたい。

以上

2011.05.05 Reported by 佐藤拓也
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