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【J1:第27節 山形 vs 清水】レポート:清水がV字回復へ6試合ぶりの勝利! 山形は上位相手にまたもクオリティでの差を実感する敗戦。(10.10.24)

10月23日(土) 2010 J1リーグ戦 第27節
山形 0 - 3 清水 (15:04/NDスタ/12,543人)
得点者:32' 枝村匠馬(清水)、61' 藤本淳吾(清水)、78' 山本真希(清水)
スカパー!再放送 Ch181 10/26(火)後11:00〜
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清水の先制点は32分。前節、4分に先制しながら消極的な攻撃に終始し、終了間際ついに追いつかれた清水にとっても、前節38分に先制されたあと、後半開始すぐに追加点を許した山形にとっても、ここからが本当の勝負だった。結果は0-3。前節の教訓を生かした清水が勝利を挙げた。

守備的MF佐藤健太郎を出場停止で欠く山形は、増田誓志を先発では初めてボランチで起用する4-4-2でスタート。これに対し、清水は3トップの右に藤本淳吾、アンカーに本田拓也が戻った。最初に仕掛けたのはホームの山形。立ち上がりに長谷川悠のチェイスからいきなり右サイドを破ると、今度は宮沢克行の左クロスに増田がシュートを放つ。7分の石川竜也のフリーキックも、GK西部洋平が触らなければ、ファーサイドで田代有三が合わせようかという惜しいものだった。「グラウンドが少し固めだったというところで、非常にボールが弾むような状況が続いて、両チームともそこになかなかアジャストできないような状況が続いた」(清水・長谷川健太監督)ことは、特にポゼッションをベースにする清水に不利にはたらき、高い位置で起点がつくれずにいた。

しかし、状況に応じたプレーができるのもスキルのひとつ。清水はピッチコンディションに慣れると徐々にボールを持つ時間を増やしていった。本田の長谷川へのチェックが厳しさを増し、小野伸二は右サイドに張ることでプレッシャーを避けるとともに、サイドで数的優位になりやすい状況をつくる。それでも、山形はセットプレーからシュートシーンをつくるなどペースそのものは渡さなかったが、先に得点にたどり着いたのは清水だった。小野がヨンセンに当てながらボックス内に進入。こぼれ球を藤本が中央へ流すと、枝村匠馬が右足を振り抜いた。山形は人数は足りていたものの、タイミングを逸して寄せが甘くなったことで防ぎきれなかった。

「今日のゲームは強い気持ちで戦おう」との長谷川監督の言葉を、選手たちは忠実に守る。負傷者の多さや日程的なハンディもあり消極性が前面に出た前節とは間違いなく違う気迫を、この日の清水は秘めていた。市川大祐のフィードを小野が胸で受け止め、平岡康裕のフィードには枝村が飛び出してシュートまでこぎ着け、ヨンセンはGK清水健太にプレッシャーをかける。先制点は守るほうではなく、間違いなくもう1点に向けた起爆剤になっていた。後半に入っても兵働昭弘の左クロスにヨンセンがフリーでダイビングヘッド。そうした姿勢がついに結実したのが61分。左サイドを枝村とのワンツーて突破した藤本が、飛び込んできた前田和哉をもかわして完全にフリーに。ニアに低いシュートを放ち、待望の追加点を奪った。

このあと、平岡が続けざまに警告を受けて退場するアクシデントはあったが、この日の清水にしてみれば、2点差は1人欠いたとしてもセーフティーなリード。小野を下げて廣井友信を投入し、並びを4-4-1にして2ラインをコンパクトに保つと、山形のほとんどの攻撃は防ぐことができた。2点目を失った直後、山形は宮沢に代えて昨年、清水からゴールを奪っている廣瀬智靖を投入していたが、前線に起点がつくれず、当ててもセカンドが拾えない状況を強いられる。無理に上がればカウンターを受けかねず、難しい状況のなかで生まれたのが清水の3点目。山形コーナーキックの流れからボールを奪ってのカウンターで、兵働のドリブルは強引とも思えたが、山形の守備が防ぎきれず。左サイドを突破してフリーになったあとに打つことも不可能ではなかったが、中央をロングランしてきた途中出場の山本真希にフィニッシャーを任せた。

わずかシュート7本で3点を奪った清水の、これがこの試合のラストシュート。山形は2枚代えで4-3-3とリスクをかけるが、ミドルサードまでは簡単に運べても、アタッキングサードでは自由なプレーを許されず、アディショナルタイムに石井秀典のロングフィードを田代がシュートに換えたが、これもGK西部の前に力なく飛んだだけだった。

試合後の会見で今後の展望を聞かれた清水・長谷川監督は、昨年終盤の失速を例に挙げ、「昨シーズンの教訓を生かして、そこをどう自分たちで乗り越えていけるかどうかというところが、今シーズン最大のポイントになるんじゃないか」と語った。内なる敵との戦いを制し、まずはACL圏内をめざす。その決意を新たにできる結果と内容を、6試合ぶりに勝利したこの試合で手にした。

山形は0-2で敗れた前節・川崎F戦に続き、上位チームとの差を厳しい形で突きつけられた。ある程度攻撃を放棄し、堅く守備的にいけば、ロースコアの際どい展開もあったはずだが、もう少し先を見据えれば、この試合のように攻撃の精度を上げていくチャレンジは必要なもの。そしてもっと大事なことは、力の足りなさを受け入れたうえで、その差を埋めていく努力を真摯に続けていくことだ。「現実としてそういう(判断の)差はある。ただ、それに怯むわけにはいかないので、私たちは積極的にやっていくということ」(小林伸二監督)。即効性のある薬はなく、葛藤は続く。そのなかでしか、明日への一歩は見つからない。

以上

2010.10.24 Reported by 佐藤円
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