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【第90回天皇杯3回戦 清水 vs 水戸】レポート:フレッシュな攻撃陣の良い面と悪い面が出た清水。それでも最後は地力を見せ、粘る水戸を振り切って4回戦進出(10.10.14)

10月13日(水) 第90回天皇杯3回戦
清水 4 - 1 水戸 (19:00/アウスタ/3,107人)
得点者:53' 大橋 正博(水戸)、63' 岩下 敬輔(清水)、66' 小野 伸二(清水)、90'+1 大前 元紀(清水)、90'+4 太田 宏介(清水)
チケット情報天皇杯特集
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4-1というスコアだけ見れば、清水が実力通り完勝したことを想像するだろうが、実際にアウスタで試合を観た印象はまったく違う。水戸は金星を現実的に取りにいく戦いを見せ、後半のアディショナルタイムまでは清水にとっては非常に難しい戦いだった。

前半の清水は、「コンビネーションというのは後半の途中まではまったく見られず、個の力で攻めて、そこで突破してチャンスを作るという形が続いていた」と長谷川健太監督が振り返った通りの状況。ヨンセン、藤本淳吾、岡崎慎司の3トップ全員を欠き、代わりに先発したのが右から原一樹、永井雄一郎、そして清水に来て初出場となる伊藤翔の3人。連係不足はやむを得ない組み合わせだったが、それにしてもパスを出す側と受ける側のイメージが一致しないシーンが目立ちすぎた。
そのため、パスで崩す形はほとんど見られず、チャンスに至るのは個の力による突破頼み。その意味では3人とも持ち味を発揮し、とくに伊藤は初出場ながらまったく物おじしないプレーで積極的な仕掛けを見せ、サポーターにも大いにアピールした。25分に左サイドからドリブルで中に切れ込み、1人かわして右足でミドルシュートを打った場面などは、彼の真骨頂。GKの好守に阻まれゴールはならなかったが、シュート自体は正確に左ポスト際を捉えていた。その他にも縦への仕掛けからクロスを上げた場面も多く、今後に期待を抱かせる働きを見せた。

一方、水戸のほうは、「清水が思ったほど前に良い形でボールを入れてこなかったので、ある程度待ちかまえていたほうが、長いボールを跳ね返して、それを拾って速く攻めることができそうだった」(木山隆之監督)という狙いで、あまり前線から深追いせず、少しリトリートしたところで守備の陣形をしっかりと整えて対応。そこからのカウンターで、13分に幻のゴール(オフサイドで無効)を決めるなど、清水よりも攻撃の意思統一ができているところを見せた。また、危ない場面を作られかけても、最後のところはしっかりと身体を張って決定的なシュートは打たせず、狙い通りの現実的な試合運びができていた。
その流れは後半に入っても続き、8分に大橋正博が思い切りの良いミドルシュートを放つと、これをGK西部洋平がまさかのファンブル。そのままゴール左に転がり込み、ラッキーな形ではあるが、水戸が貴重な先制点を奪った。その後は、清水の選手たちに焦りが見え始め、攻撃のちぐはぐさがなかなか改善できず、ますます水戸の流れになっていくかに見えた。
しかし、セットプレーにおいては、地力の差が表われた。16分から清水のCKが続き、水戸はなかなか跳ね返すことができず、こぼれ球を拾った清水が2次攻撃、3次攻撃を仕掛けて水戸にプレッシャーをかけていく。そして連続5本目の左CK(18分)から原と廣井友信のシュートのこぼれを岩下敬輔が押し込み、ついに清水が同点に追いつくことに成功する。
これで勢いに乗った清水がさらに押し込み、20分に原がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。このPKを交代出場(18分〜)の小野伸二が冷静に決めて、一気に逆転した。

その後も、小野の投入でボールの流れが一気に良くなった清水が攻め続けるが、水戸は何とかそれをしのぎ、残り5分前後から勝負に出る。前半とは違って前から激しくプレッシャーをかけ、高い位置で奪い返して押し込み、何度か惜しい場面を作った。しかし、ここは清水守備陣の身体を張った守りに阻まれた。
ただ、アディショナルタイムに入るまでは、本当に延長戦に持ち込まれてもまったく不思議ではない試合展開だった。最後は小野を起点にした速攻によって清水が2点を追加し、水戸はまさに力尽きたという形で終わったが、清水サポーターにとってもけっして安心して見ていられる試合ではなかった。

以上

2010.10.14 Reported by 前島芳雄
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