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【第89回天皇杯準々決勝 名古屋 vs 岐阜】レポート:勝負を分けたのは両チームの決定力の差。J1の貫禄を見せつけた名古屋が、岐阜の挑戦を退け準決勝進出を決めた。(09.12.14)

12月13日(日) 第89回天皇杯準々決勝
名古屋 3 - 0 岐阜 (15:05/瑞穂陸/12,211人)
得点者:44' ケネディ(名古屋)、67' ケネディ(名古屋)、81' ケネディ(名古屋)
天皇杯特集
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シュート数は13対12とほぼ同数。しかし結果は3−0。今季2度目となった“名岐ダービー”は、内容では互角のように見えてその実、大きな差を感じさせる試合となった。

ホーム瑞穂競技場で準々決勝を迎えた名古屋の前線は、ケネディを頂点に置く3トップ。ウイングには玉田圭司と、インフルエンザで欠場の小川の代役に杉本恵太が入った。中盤はこの4−3−3のフォーメーションが機能したJ1第33節山形戦と同じ中村直志、吉村圭司、ブルザノビッチのトリオを起用。このところ入れ替わりの激しいセンターバックのポジションには、増川隆洋とバヤリッツァのコンビが選ばれた。

一方、負ければ松永英機監督指揮下でのラストゲームとなってしまう岐阜は、ホームで勝利を収めたJ2第51節徳島戦と同じスタメンを瑞穂のピッチに送り込んできた。FWには今季リーグ16得点を挙げたエース佐藤洸一と、同じく11得点を挙げた西川優大を起用。彼らを機動力のある菅和範、高木和正、嶋田正吾の3人が精力的にフォローする。彼らは岐阜のゲームプランの中で、この日のキーマンとなる選手でもあった。

試合は序盤からJ1対J2の力関係通りの展開でスタートした。ポゼッション力で圧倒する名古屋はピッチを大きく使うサッカーで主導権を掌握。岐阜も中盤の豊富な運動量で応戦するが、やはり実力差は大きく、押し込まれる展開が続く。それでもカウンターのチャンスは巡ってきたが、佐藤、西川の両FWは名古屋のDFラインにことごとく行く手を阻まれ、効果的な攻撃に結びつけることができない。名古屋もまた果敢な岐阜の守備と、「サイドに開きすぎてパスコースがなかった」(増川隆洋)こともあり、フィニッシュが冴えなかった。前半は30分過ぎから一進一退の攻防へ。名古屋も数度の決定機を作られるなど、流れは五分五分となっていく。

しかし、ここから決定力の差が頭をもたげ始める。岐阜は「名古屋からは2列目からの飛び出しでチャンスが作れる」との指揮官の分析に基づき、嶋田や菅らが積極的にFWを追い越す動きで名古屋をかく乱したが、決定機をことごとく外し続けた。佐藤は「シュートまでは持っていけるけど、あと一歩の壁が厚かった」と振り返ったが、名古屋からしてみれば「数的不利の時は手こずったけど、1対1なら怖さは感じなかった」(増川)ということになる。そして前半44分、名古屋が決定力を見せつけ先制に成功する。中村が右サイドから大きくサイドチェンジすると、阿部翔平がシンプルにゴール前へクロスを送る。やや遠目の位置だったが、これをケネディが得意のヘディングで叩き込んだ。この日1本目のシュートを得点に結びつけた精度はまさに“決定力”。それは、後半も同様に岐阜に襲い掛かることになる。

後半、岐阜は1点を返すべく攻撃への比重を高めて臨んできた。中盤の位置を高めに設定し、序盤からアグレッシブな攻撃を展開。名古屋のミスを逃さずカウンターに結びつけ、開始から15分間で攻めに攻めた。だが、それでも得点は奪えず。名古屋は15分、中村を三都主アレサンドロに代えてポゼッション率の効果を回復すると、67分にあっさりと追加点を奪った。左サイドでボールをキープした杉本のクロスを、ファーサイドでケネディが右足で詰めて難なくゴール。後がない岐阜はその後、高木を永芳卓磨に、佐藤を染矢一樹に変え布陣を変更。さらに前がかりの布陣で得点を狙いに総攻撃を開始した。

だが、「ワールドクラスのストライカー」(松永監督)によって、またしても岐阜の思惑は粉砕される。81分、ゴール前の混戦から左足でこぼれ球を蹴りこんだのはケネディ。なんと3本のシュートで3得点を奪う効率の良さでハットトリックを達成。試合を支配し、高い決定力で着実に加点する。岐阜は奮闘及ばずノーゴール。まさに貫禄を見せ付けた格好の名古屋が、危なげなく準決勝への切符を手に入れることに成功した。

名古屋はここからが正念場となる。今シーズン、リーグでは9位に終え、ナビスコカップでは準々決勝で、AFCチャンピオンズリーグでもベスト4でいずれも大敗での敗退を余儀なくされている。昨季もあと一歩のところでリーグ優勝を逃しており、ここ一番での勝負弱さに泣かされてきた。過去2年間の苦い経験が彼らにどれだけの“勝負勘”を身につけさせているか。まずは2週間後の清水との準決勝でその成長を見せ、10年ぶりの決勝進出といきたいところだ。

以上

2009.12.14 Reported by 今井雄一朗
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