9月13日(日) 2009 J2リーグ戦 第39節
岡山 1 - 3 C大阪 (19:03/岡山/11,541人)
得点者:54' 香川真司(C大阪)、59' 黒木聖仁(C大阪)、63' 乾貴士(C大阪)、89' 川原周剛(岡山)
スカパー!再放送 Ch183 9/14(月)18:00〜(解説:佐藤慶明、実況:川崎祐一、リポーター:守口香織)
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ホームのチームがとことん引いて守るとしたら、スタジアムの興奮は半減してしまうかと思ったが、そんなことはなかった。そういえば第1クールの対戦の際、岡山に「ファジナチオ」と名付けてくれたのは、岡山県出身のC大阪DF江添建次郎だった。C大阪の圧倒的なボールポゼッションと、ゴールに迫る細やかなパス回しに対して、岡山は前半、徹底的に受け身に回りながらも、その姿は非常にアグレッシブだった。前半は、岡山にとってはゴールシーンに引けをとらぬ見応えのあるシーンの連続であり、C大阪にとってはストレスの溜まる時間だった。
岡山のプランは、いつもは高い位置を保つ最終ラインを、セレッソ大阪の攻撃に備えて下げ、しっかりブロックを作って、少ないチャンスから得点を狙うというものだった。プランどおり、乾貴士のスピードや反転といった個人技の出るところでは、CB大島翼らが気持ちのこもったプレーで守った。C大阪のボールは、岡山の最終ラインと中盤あたりから小刻みにつながれていたが、ほぼ全員が自陣に戻っていた岡山は、青木孝太ら前線のプレスも効かせることが出来た。失点にならなかったのは、C大阪の精度の悪さにも助けられたのだが、「あれだけ引かれたら、前半に点が入らないのも仕方ない」(乾)、「岡山の守備的な布陣を崩せなかったし、自分たちの攻撃ができずフラストレーションがちょっと溜まっていた」(香川真司)。
それでもいつか入るだろう、と考えていたC大阪。この日、今季初めて90分間プレーした岡山のCB木村允彦は、「前半うまく守れてはいるけど、何度か、ズルズル下がってバイタルエリアから打たれることがあり、このままだと危ないっていうことは感じていた」と言う。ハーフタイムに、「前半と同じサッカーで行こう」と指示を受けたC大阪の選手は、スピードを上げて岡山ゴールに迫り、54分、船山祐二、石神直哉とつないだボールを香川が決めて先制。続く59分に黒木が、63分に乾が第29節以来のゴールで、一挙に3得点を稼いだ。3度とも中央タテのダイレクトパスが、岡山のディフェンスを置き去りにした。
「岡山の前半の運動量をみると、後半、足が止まると思っていた」と、レヴィー・クルピ監督は言った。試合後、岡山は何度も同じことを言われたことがある。しかし「今回の失点は後半9分からのことで、疲労が原因ではない」と手塚聡監督は答えている。それまで凌いできたのに、どうして失点することになったのか。岡山のディフェンス陣に聞いてみると、『流動的で捉えにくい動き』、『動き出しとパススピードのアップ』を挙げた。前半の反省点を修正し、C大阪の個人技がピタリと連動したのが、後半だった。
この後半は、岡山にとっても収穫はあった。攻撃力の高いチームとの90分間の戦い方の道筋を得て、ケアすべき点をまたひとつ学んだ。そして70分以降の小林優希、川原周剛の投入で数少ないチャンスを生かす手段を確認した。もちろん、キャプテン・川原の美しいJ初ゴールもこの日の収穫である。
C大阪のシュート数は、岡山の6本に対して20本。この節のJ2で最多となったシュート数とハードワークしたディフェンスに、指揮官は「戦うスピリッツが戻った」と、大満足の様子だった。
以上
2009.09.14 Reported by 尾原千明