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インタビュー 川崎フロンターレ 中村 憲剛

風間体制5年目にして、過去最高の結果を残した川崎フロンターレ。年間2位の成績で、堂々とチャンピオンシップ進出を果たした。創立20周年の年に訪れた、初タイトル獲得のチャンス。長年チームに在籍する中村 憲剛にとっても、悲願を成就させる絶好の機会となる。チームの浮沈を左右する頼れるチームリーダーが今季の戦いを振り返り、チャンピオンシップへの意気込みを語った。

 

――年間勝点2位となった今季のリーグ戦の戦いを、中村選手はどう受け止めていますか?

「スタートダッシュがいつになく決まった年でしたね。もともと今シーズンに関しては風間さんが5年目で、結果的に集大成の年になるんですけど、本当にスタイルが浸透していたし、自信を持って臨んだシーズンでした。1stステージは最後の試合で自分が欠場して2位になってしまいましたけど、その悔しさをばねに2ndステージは途中まで負けなしを続けられたし、チャンピオンシップの出場権も得ることができた。最後に年間1位を取るチャンスがありながら逃してしまったのはもったいなかったなと思いますけど、特定の選手だけじゃなく、どんな選手でもやれるようになってきた。総合力という意味では、すごく成長した1年だと思います。勝点も稼いだし、得点も一番取れた。自分たちがやって来たものをしっかりと出せたシーズンでしたね」

 

――昨季と比較して向上したと感じるところは、具体的にどこでしょう?

「勝負強くなりましたね。ここで取れればというところで点が取れて、勝点を奪えた試合が格段に増えた。まあ、落としてはいけない試合を落とした時もありましたが、それでも決して良くない時でも勝点を取れる試合が多かった。自分たちのサッカーをやらせないチームが増えた中で、それでも相手を押し込んで勝点を取れるようになったのが大きい。個人個人の成長も感じられたし、選手全体で同じイメージを共有できるようになった結果、面白い崩しもたくさんありましたし、そういうところも成長の証でしょうね」

中村憲剛
今季も中盤に君臨し、自在にパスを繰り出した中村。タイトル獲得に向けその存在は不可欠

 

――攻撃力を保ちつつ、守備の安定性も高まった印象です。

「確かに、1-0で勝つような試合が例年になく多かった。試合展開によって割り切れるところもあったし、(チョン)ソンリョンとかナラちゃん(奈良 竜樹)とか、(エドゥアルド)ネットもそうですけど、サイズのある選手たちが、単純に個の力で守ってくれる試合もありました。チームとしても前から奪いに行って、ボールを保持しながら相手を自陣に押し込むという形もだいぶできてきた。本当に勝負にこだわり、結果もついてきたシーズンだったかなと思います」

 

――若手の台頭も目立ったシーズンでした。

「中堅の小林(悠)もそうですし、(大島)僚太や(車屋)紳太郎もそう。ここ1、2年で試合に出ていた選手がぐっと力をつけて、自分が勝たせるという気概も感じられた。試合後のコメントなんかを聞いてもそうですし、練習の時からいい声を出しながら取り組んでいた。彼らが成長することで、チームが成長したのは間違いないですね。三好(康児)や長谷川(竜也)とかも、この前の浦和との天皇杯でも頑張っていましたね。練習は裏切らないというか、練習の成果が試合に表れている。練習でみんな常に100パーセントでやっているから、急に出たとしても普通にやれている。それは継続の成果かなと思います」

 

―― 一方で、大事なところで勝ち切れなかったシーズンでもありました。

「結果的に1stステージも、年間1位も最終的に自分たちで手放してしまった部分はあるので、それに対しては悔しいとしか言いようがない。やっぱり駄目だったと言われたら僕は何も言い返せないけど、それでも全力で34試合戦いましたし、その結果が年間2位という順位だった。ただ、ここからまた別の戦いになりますし、これだけ勝点を取った(浦和に2ポイント差の勝点72を獲得)自信というのは、チャンピオンシップの戦いに必ずつながると思います」

 

――準決勝の相手である鹿島とは、今季1勝1分けの成績でした。

「負けなかったけど、ともに苦しい試合でしたし、やっぱり鹿島は伝統もあって試合巧者でもあるので、準決勝は間違いなく、難しい戦いになるでしょう」

 

―― 一発勝負ですから、またリーグ戦とは違った戦いになるのでしょうか?

「現場の雰囲気というか、等々力の空気感というのが、たぶんリーグ戦とは違うと思うんですよね。チャンピオンシップってほとんどの人が経験してないですからね。鹿島でも(小笠原)満男さんと曽ヶ端(準)さんくらいでしょ。当時は今回のようなトーナメントではなかったから、言ってみればみんなが初めての状態。そのなかで、ホームでできるのはすごく大きいと思いますし、1発勝負ならなおさらでしょう。鹿島のホームでやるのと等々力でやるのは全然違うと思うので、そこは僕らにとっては間違いなくアドバンテージ。声援をプレッシャーじゃなく、力に変えていきたいですね」

大島 僚太など若手の台頭が光った川崎F。大一番の極限のプレッシャーのなかで彼らが力を存分に発揮できるかもポイントに
大島 僚太など若手の台頭が光った川崎F。大一番の極限のプレッシャーのなかで彼らが力を存分に発揮できるかもポイントに

 

――タイトルを勝ち取るポイントはどこにあると考えていますか?

「どれだけ自分たちがブレずに、勝ちに拘れるかどうかでしょう。思い通りに行かない展開になったとしても、最終的に勝つというところがブレさえしなければ、何とでもなると思うので。たぶんいつも以上に熱い展開になると思うので、どれだけ冷静にやれるかもポイントだと思います。レギュレーション的には引き分けでも上がれる状況ではありますけど、そんな甘いものではないと思うし、引き分けを狙えるほど器用なチームでもないので。とにかく勝ちというものに拘ってやっていきたい」

 

――勝てば、決勝で浦和との対戦が待っています。

「鹿島に勝てば勢いがつくと思うし、決勝の第1戦をホームでできるのも大きい。浦和は試合間隔が空くから、僕らのほうが勢いをもって臨めるはずなので。ただ今は鹿島のことしか考えてないですね。結局、チャンピンシップは3チームの気持ちの戦いというか、気持ちの部分が大きく反映される戦いだと思います。去年の大会を見てもそうでしたから。最後にどれだけ足を出せるかとか、決めなければいけないところで決めきれるかどうかとか、勝敗を分けるのはそういうところだと思います」

 

――試合を控えた今の心境は?

「まあ、楽しみですよ。1シーズン制だったら2位の僕らにはチャンスがなかったわけだから。最終節でガンバに負けて、悔し涙を流して終わっていたところを、まだ優勝を狙えるチャンスが残った。フロンターレは今年創立20周年を迎え、選手だけじゃなく、クラブ関係者も川崎市民も、特別な想いでいると思う。みんなの気持ちが強くあるなか、今回訪れたチャンスを、逃したくないという気持ちだけですね」

 

――記念の年に初タイトルを獲得するというシナリオは、ちょっとできすぎじゃありませんか?

「20周年まで、あえて初優勝をとっておいたと言えるんじゃないですか(笑)。結局ここまで取れなかっただけですけど、そう言えるように頑張りたいと思います」

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