決勝レポート
好選手目白押しで好勝負も必至。最後に笑うのは、G大阪かF東京か
約1カ月の中断を挟んで12月20日に開催されるJユースカップ準決勝。その第1試合では延長戦とPK戦をくぐり抜けて勝ち進んだガンバ大阪ユースと、ここまで5試合無失点で勝ち進んできたFC東京U-18が激突する。
5試合で25得点を記録しているG大阪の特長は伝統どおりに攻撃力。その中心となるのは16歳8カ月の若さでトップデビューを飾っているU-18日本代表FW高木 彰人とトップチーム昇格内定のFW平尾 壮とFW妹尾 直哉のどちらかが組むことになる前線はスキルに加えてパワフルでもあり、大きな脅威となる。
そしてこの2トップを生かすのがU-16日本代表にも選ばれた1年生MF堂安 律と、攻撃の万能タイプであるMF岩本 和希が組む2列目の技術力だ。「堂安と岩本がどれだけ前を向いてスルーパスを出したり、何か違いを作り出せるか」(梅津 博徳監督)は、G大阪の攻撃が機能しているかどうかのバロメーターとなる。この二人を後方からサポートし、操るのがU-17日本代表MF市丸 瑞希と攻守両面で貢献できるMF山崎 拓海が組むハイレベルなボランチコンビで、この中盤の四人衆が織り成すパスワークは最大の見どころであり、相手にとっては最大の脅威と言える。
ほかにも“PKストッパー”であるトップチーム昇格内定のGK林 瑞輝、圧倒的な運動量でサイドを疾駆するDF初瀬 亮、大柄ながらしっかりした技術を持つDF前谷 崇博など後方にも人材を抱える好チームだが、12月7日に閉幕した高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグ WESTでは一時首位に立ちながら、勝点『1』の差に泣いてライバル、セレッソ大阪U-18にタイトルを奪われてしまった。そうした悔しい経験からの切り替えも問われる準決勝となりそうだ。
一方、このG大阪に対するF東京は15日に広島で行われた高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグ参入戦を戦ったばかり。中4日で少々厳しい日程に加えて移動の負荷もある状況で、この試合に切り替える必要がある。佐藤 一樹監督はそこにある種の難しさがあることは認めつつも、「自分たちで勝手に火をつけながらやれる選手たちになった」とチームの成長に自信を見せる。
今季途中から採用した3バックシステムはすっかりチームに馴染んでおり、主将で対人プレーに秀でるDF大西 拓真、大型GK伊東 倖希を中心に安定感のある守りを見せられるようになった。1年生離れした落ち着きを見せるDF岡崎 慎ら下級生も伸びてきており、G大阪の前線とのマッチアップは純粋に楽しみだ。
佐藤監督は「ガンバさんは毎年変わらず上手い選手がいるので、個ではがされないようにしないと」と警戒を深めるが、F東京の中盤にも知的でタフなMF高橋 宏季、オールラウンダーのMF長澤 皓祐など渋みのある役者がそろっており、華やかさではG大阪に少々分があると言っても、そう簡単にはやられないだろう。そして奪ったボールをゴールへつなげるのは、前線の1トップ2シャドー。FW蓮川 雄大、MF渡辺 龍、FW大熊 健太のトライアングルだ。中でも爆発的なスピードとシュート力を持つ蓮川は、単独で相手のディフェンスを引っ張れる世代屈指のアタッカー。G大阪側から観ると、絶対に止めないといけない危険人物である。
双方ともにポゼッション志向は持っているが、個でのチャレンジを重んじる姿勢も共通する。技巧的かつ白熱した攻防が期待できそうだ。
川端 暁彦