広島vsG大阪のマッチレポート・動画(FUJI XEROX SUPER CUP:2016年2月20日)
一覧へFUJI XEROX SUPER CUP 2016年2月20日(土)13:35KO 日産スタジアム
試合終了
30前半0
3後半1
9SH8
6CK2
19FK8
1
新9番と新10番、そしてエースの11番。氷雨の中の躍動
だからこそ、その均衡を破った佐藤のゴールの価値が高まるというもの。51分、プロ17年目のシーズンを迎える紫のエースが奪った先制点は、佐藤の代名詞と形容できるようなゴール。「ずっと相手のDFに『(佐藤は)ニアに来る』と言われていた中で、ニアで取れたんで気持ち良かったですね」と、ベテランストライカーは笑う。トレーニング中からDF塩谷 司に要求を続けてきたシュート性のクロスに滑り込んだ佐藤は、GK東口 順昭の鼻先でコースを変えてネットを揺らした。
この得点でゲームは動き始めた。得点後、足に違和感を覚えた佐藤に代わってFW浅野 拓磨がピッチに入ると、G大阪のプレッシャーをかわして広島の攻撃陣がスピードに乗る。その流れから、PKを獲得した。これを57分に浅野が思い切りよく蹴り込んで「ジャガーポーズ」を披露。すると、G大阪は60分にMFアデミウソンとパトリックをベンチへ下げ、FW長沢 駿とMF倉田 秋をピッチに送る。68分には高い位置で奪ったボールをきれいにつなぎ、MF阿部 浩之のクロスに飛び込んだMF宇佐美 貴史が頭で合わせる。G大阪が1点差に詰め寄った。
そして、行方の分からなくなったシーソーゲームを決めたのはナイジェリア代表歴を持つアタッカーだった。MF茶島 雄介が蹴ったCKはニアでDFに引っ掛かったが、FWピーター ウタカが豪快に右足を振り抜く。今季から広島に加入した期待の助っ人が、デビュー戦で大きなインパクトを残した。
終わってみれば、アタッカー陣がそれぞれに躍動して見応え十分の試合だった。十分に両チームの新シーズンへ期待を抱かせる内容。特に広島は、昨季に21得点を奪ったFWドウグラスが中東のチームへ移籍した不安を初戦で吹き飛ばした意味は大きい。「新9番」、「新10番」、そしてエースの「11番」が得点を挙げ、森保 一監督は「昨季のチーム内得点王のドウグラスが移籍したことで、またチームを作り直して戦わなければいけない。成長しながら結果を出すことを昨季も話してきましたけど、今季もいろんな融合をして個の力が発揮できるチーム作りをしていきたいと思います」と今後を見据えた。これからどんな発展を見せてくれるのだろうか。
一方、アデミウソンとパトリックのブラジル人コンビがシュートを放てないままピッチを去ったG大阪は、不安も残すスタートとなった。ただ、森保監督は「(G大阪は)コンビネーションを確かめながら試合をしていたところがあったと思います。まだまだガンバさんの力はこんなもんじゃないと思います」と警戒をさらに強めている様子。MF青山 敏弘も「フィットしたら怖いな」という実感を持ち帰っていた。こちらもどのような進歩を続けていくのか興味深い。
良いスタートであっても、悪いスタートであっても、重要なのはこれから歩んでいく道のりだ。早速両チームは、次週のミッドウイークにアジアの舞台での勝負を控えている。
[ 文:寺田 弘幸 ]