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[ 2007 ゆく年くる年:鹿島アントラーズ ]
【2007 Memorial Scene】
12月1日、奇跡のJ1逆転優勝の瞬間――。
最終節を迎える前の首位・浦和との勝点差は1。まず清水に勝つことが、鹿島の逆転タイトルの絶対条件だったが、小笠原満男、本山雅志、マルキーニョスのゴールで勝利。あとは浦和対横浜FC戦の結果を待つだけだった。選手たちはピッチ上で試合経過を祈るように見つめていたが、浦和が敗れ、悲願の10冠が現実になる。岩政や大岩、内田が号泣するなど、その歓喜の様子は今も多くの人々の脳裏に焼きついている。
【鹿島アントラーズ Playback 2007】
オズワルド オリヴェイラ新監督が就任し、マルキーニョスら外国籍選手3人が全て入れ替わるなど、今季の鹿島は新たなチームとして出発した。新指揮官は「最低1冠」という強気の目標を掲げたが、開幕直前に攻撃の柱である野沢拓也が負傷。外国籍選手がフィットせず、昨季急成長した田代有三のケガもあり、J1開幕5試合未勝利という最悪のスタートとなってしまう。5節を終えて14位という信じられない結果にサポーターは怒りを露わにし、選手たちは悩み苦しんだ。
しかし4月後半に横浜FC、清水に連勝したことで悪循環がストップ。直後の浦和戦を落としたが、5月3日のFC東京戦からは9試合無敗と伝統の勝負強さが戻ってきた。指揮官も「私のやろうとしているサッカーが浸透してきた」と手ごたえを口にした。
さらなる追い風となったのが7月、1年ぶりに復帰した小笠原満男だった。常勝軍団と言われた時代を知る男が戻ったことで、チーム全体に落ち着きが生まれる。8月にG大阪に大敗し、9月に名古屋に敗れるミスを犯したが、「これも満男さんが入って新たなバランスを見つけるための大事な過程だった」と岩政大樹は話した。この敗戦で確かにチームは変化し、その後は確実に勝ちを重ねるようになる。過去数年間、いつも彼らの前に立ちはだかってきた浦和も1−0で撃破。奇跡の9連勝を達成し、失速した浦和を最終節で逆転。2002年Jリーグヤマザキナビスコカップ以来、5年ぶりに王者の座を奪回した。
Text by 元川悦子2007年12月28日(金)