●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:今シーズン33試合で64得点してきたチームが最終節は0-1という負けでした。鳥栖の守備の部分で鹿島が一番苦しめられたところは具体的にどういうところでしたでしょうか?
「サガン鳥栖さんは、たぶんJリーグで競争力が一番高いチームではないかなと思います。それはフィジカル的な要素で、運動量という部分、コンタクト、スピード、攻守の切り替え、相手に対して献身的に犠牲心をもってやる、というのがおそらくJリーグの中では一番ではないかと思います。そういう相手に対して非常にタフな試合になる、ということは覚悟していたんですけど。本当に今回は、我々のCB2枚以外はほとんど守備に付かれ、マークに付かれ、なかなかボールをうまく機能させられず、我々のパスワークをうまく機能させられませんでした。うまく遮断されたということは数字でも表れているのではないかと思います。特に前半で、我々がシュートを打ったのが前半の20分過ぎくらいでした。それは相手がそれだけ守備をしっかり整えてやっていることの証左だと思います。
あとは前半の中で相手はやるべきことが明確になり徹底してやっていました。時にはカウンターの場面、プレーを切る場面というのは試合の中ではどうしてもある。それを徹底的にやっていました。ただ、選手たちにハーフタイムに言ったのは、気持ちを落ち着かせ、別に焦る必要性はまったくなかったわけですから、例え失点したとしても残りの時間を考えれば、同点や逆転を狙う時間はあったわけなので、ちょっと前半は自分たちが消極的になってしまったり、自分たちの特長でないロングボールやハイボールを処理しようとしていました。それは我々らしい攻撃ではなかったのでそれを修正しました。そこと、相手のフィジカルコンタクトを避けるためには、やはり速いリズムで、球離れを速くする、早い判断をする、速いサポートをするということをやっていけば、相手のコンタクトを避けながら相手陣内にボールを運ぶことができる。そういう要求はしました。その意味では、後半は少し改善が見られ、落ち着いてやれた部分はあったし、3名交代しましたけどチームを若返らせることができましたし、勢いをもたらすことはできた。ただ、後半の途中からは自分たちの組織としての攻撃はまったくできていなかった。個で打開しようとしたところは、チームの組織という部分ではあまり好ましくない部分があった。もう少し徹底して我々がやってきたことを最後まで貫くことを全員が意識すべきだったと思います。そのなかでも個で打開するチャンスがありましたし、得点するチャンスもあったわけで、もう少しのところで決まっていれば状況は変わっていたかもしれない。組織と個というところで、現代は組織で戦うと思っていて、そのなかで個が台頭するものだと思っています。そういったバランスを崩してしまったことは我々らしくない部分だったと思います。
Q:優勝を目指していく中で優勝を逃したことを振り返っていただけますか?
「この最後の最後まで優勝を争えたのは良いことではないかと思います。それも2年連続でそういう状況に持っていけた、ということは歩んでいる道が間違っていないということが一つの形として表れていると思います。ただ、当然ながら優勝争いまでいってタイトルを獲れなければ失望しか残りません。去年よりは今年の方が近づけています。あともう少しに近づいて来ているという感触はあるかもしれません。もう一つは、若い選手が昨年や一昨年に比べたら成長してきています。変貌し、向上心を持ち続けて変わりつつあることは、非常に良い手応えとして明るい未来として捉えることができます。当然ながら良い時期もありましたし、悪い時期もありました。悪い時期を乗り越えることもできたし、あるいはそれを経験するのも非常に大事だったと思います。浮き沈みがあったときもあります。その不安定さというのも若さが露呈した部分もあるんですけど、その部分部分で彼らが経験したやってはいけないことややらないといけないことは、良い経験になったと思います。クラブやチームにとっては良い経験では無かったかもしれませんけれど、個人を成長させるためには良い経験になったのではないいかと思います。当然、誰が出ていようが結果を出し続けなければいけないという根本的な部分に変わりはありません。若手であろうが、ベテランであろうが、結果を出し続けなければいけないというのは、勝負の世界で求められる鉄則だと思います。
なおかつ、このような敗戦をしたあとに10ヶ月を振り返って欲しいと言われても、良い返事、よりよい回答は難しい。それはご理解頂ければと思います」
Q:ACLという新たなステージへの切符を手にすることができました。来年、ACLに望むことが今の若いチームにもたらす効果や意味をどう考えておりますか?
「非常に大事な大会ですし、若い選手には良い経験になると思います。同時に良い経験というだけでなく、そこで求められる結果というのをしっかりと出せるために努力していきたいと思います。一番は選手たちの意欲ですので、選手たちが意欲的であれば必ずなにかを成し遂げられる。歯を食いしばれるのも、意欲がある時とない時で変わってくるので、それは彼らにとって良いモチベーションになると思います」
以上
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