リーグ戦ではここ3試合、前半をスコアレスドローで折り返す試合が続いていたガンバ大阪。この日も、残留争いを続けるベガルタ仙台の堅守に手こずる時間帯が続く中、それでも数少ないチャンスからFWパトリックやMF阿部浩之らがシュートを狙うも、ゴールは生まれず。対する仙台もそれは同じで、FW武藤雄樹やMF野沢拓也がやや距離のある位置からのシュートも含めて果敢にゴールを目指すものの得点は奪えずスコアレスドローで折り返す。
その流れがいきなり動いたのは後半、立ち上がりの時間帯だった。
46分、右サイドのMF遠藤保仁からパスを受けたMF大森晃太郎がゴール左下隅のコースを右足で捉え、2試合連続となるゴールを決める。こうして前節のF東京戦と同じく、スコアレスの展開を大森のゴールで口火を切ったG大阪は、先制点を奪ったことで、攻撃が加速。50分の、阿部のスルーパスを受けたFW宇佐美貴史の強烈なシュートはポストに嫌われ、更に56分の宇佐美のシュートもバーに嫌われるも、再三にわたってG大阪が仙台ゴールを脅かすシーンを作り出す。
「守備のオーガナイズはできている」という渡邉晋監督のハーフタイムのコメントにもあったように、堅守が光った前半とは一転、後半は立ち上がりすぐに失点を喫し、苦しい展開になった仙台。だが、集中力は途切れない。先制点を許した後、G大阪に攻めこまれた時間帯も、守備陣が落ち着いて対応をみせ、粘り強く試合を進める。ただ、相手の攻撃を押さえるのが精一杯でうまく攻撃には転じられない。前線にボールを送り込もうという狙いは感じられるものの、G大阪の中盤にことごとくボールを奪われ、相手ゴールに近づけない時間が続く。60分を過ぎてから、G大阪の守備ラインがやや低くなったこともあって、相手陣地でプレーする時間が増えるものの、決定機を作り出すにはいたらない。その流れに渡邉監督が動き、78分にはFW柳沢敦を、82分にはFWハモン ロペスを投入。フレッシュな2トップを据えて、攻撃の糸口を見出そうとするが、再三のパワープレーも相手の守備を切り崩すには至らず。それは88分に元G大阪のMF佐々木勇人を投入してからも変わらず、アディショナルタイム4分の表示がだされる。
そのまま試合が終わるかと思われた、アディショナルタイム。仙台にゴールが生まれる。
時計の針が3分を過ぎた頃、DF上本大海からゴール前に放り込まれたボールのこぼれ球に詰めたのは柳沢。ゴール左前から、左足を振り抜いたシュートは相手DFにあたり、かつ相手GKの手をかすめながらもゴールに突き刺さり、土壇場で1−1に追いつく。その状況に、G大阪もすぐさまFWリンスを投入し、最後までゴールを目指し続けるが好機は見出せず。勝点1ずつを分ける結果となった。
失点を許すまでは相手のパワープレーにもうまく対応し、意思統一の感じられる守備で試合を進めていたG大阪にとっては、ホームの地で、勝点2を落とした印象の残る試合になったが、リーグ終盤戦を戦う難しさを考えれば、また、その内容からも、落ち込む必要はない。大事なのは、この引き分けを引きずらず、しっかりと気持ちを切り替え、週末のヤマザキナビスコカップ決勝を征することーー。この日の試合終了後、「頂点へ!闘い極めろ漢たち!!」と書かれた横断幕とともに、声を張り上げ、選手たちを鼓舞し続けていたG大阪サポーターの声援に応えるためにも。
以上
2014.11.03 Reported by 高村美砂
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