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【J1:第31節 鳥栖 vs 神戸】レポート:ラスト7分のドラマを引き出した1stDF。狙い通りに相手をはめた鳥栖が優勝争いに踏みとどまる。相手をかわし切れなかった神戸はまたも勝ち切れず。(14.11.03)

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何かを得ようとするときに、実力以上のものが必要となることが多い。
それが、運であったり周りの協力であったりすることは、日常の中でもよく体感することである。
しかし、実力以上の力は出すことができないのも事実。
長いシーズンを戦うJ1リーグではどうであろうか。34試合の激闘の中で、運などで勝利できる試合は何試合あるだろう。
試合を経るたびに変動する順位が、今の実力を表している指標となるに違いない。
第31節鳥栖対神戸の一戦は、鳥栖が劇的な勝利を収めたようにも見えたが、そこに至るまでの間の積み重ねをところどころに観ることができる試合であった。

私的な記録になってしまうが、試合を取材する際、起きている現象を対戦するチーム同士をページの左右に並べて時系列に記録していく。
鳥栖の欄に『3分右CK14→13→14→→ファーサイド合わず』という風に記号と数字、時には略字も交えて記録しているが、この試合では、その記録が圧倒的に先に鳥栖の欄が埋まっていった。
戦前の予想では、『神戸の森岡亮太が自由に動いで前線をコントロールするから、鳥栖はどの選手が激しくチェックに行くのか』や『神戸のMF小川慶治朗が中に入ってきたときにFWマルキーニョスがどこにポジショニングを取るのか』などの事前予想を持って観戦するのだが、その予想が生きるシーンが少なく鳥栖が主導権を持った争点だけが記述されていったのである。
言い換えると、神戸が主導権を握ってプレーする機会が少なく、ボールは保持していたが『うまく鳥栖に持たされている』時間が多いことがわかる。

安逹亮監督(神戸)も試合後に「試合の初めから、意外と鳥栖のペースで試合が進んでしまい、内容的には自分たちの思った通りの試合運びができなかったのが一番の敗因」と認めている。
そうなった要因の一つに挙げられるのが、『鳥栖の守備の使い分け』である。
ここを吉田恵監督(鳥栖)は「前から行くところとブロックを安定させたところからスタートするという使い分けができていた」と指摘した。
単にボールを奪いに行くといったことではなく、神戸がボールを動かした中で、そのボールに対して何を行うのかを全員が共通して持てたことが、守備の使い分けにつながったのである。
インターセプトを狙うのか、パスコースを消すのか、ボールを下げさせるのか…。状況によって判断するプレーは変わるが、間違いなく言えるのは、鳥栖の1stDFの判断が正しかったことと、連動した選手との思いが通じていたことである。
これが、90分間続くことで前述した両監督の選評となり、ラスト7分間のドラマにつながったのである。

76分に途中交代で入ったMF石津大介のJ1初ゴールで神戸が先制した。
しかし、今季の神戸は先制しても勝利に結びつける試合が少なく、この試合でもその形が出てしまった。
87分、途中出場のMF早坂良太が技ありのトラップで相手DFをかわしてクロスを入れた。
ニアサイドに走り込んだFW豊田陽平にはゴールは見えていない。しかし、「感覚で打った」(豊田陽平)シュートは、ゴール右上に吸い込まれた。
こうなると勢いは完全に鳥栖に流れてしまう。その7分後に優勝争いに首の皮一枚で残る逆転ゴールが生まれる。
神戸DFのクリアボールを拾ったMF藤田直之が一瞬のフェイクを入れて時を止めた。
このフェイクが入ったせいで、神戸DFの意識が藤田に集まった。この瞬間にファーサイドに位置していた豊田が完全にフリーとなり、あとはクロスのボールを待つだけの状態を作った。
「足がつっていたのでシュートではなくクロスを選択しました。うちのエースにすべてを託して…」と試合後に藤田が笑顔で語ったシーンは、この日のドラマの終焉を飾る劇的逆転ゴールとなった。
この試合で勝点3を上積みできなければ、首位浦和の結果次第では『何かしらのタイトルを取る』ことはできずに終わる試合でもあった。
残り3試合にすべて勝利し、他チームの結果次第ではあるが、優勝の可能性は残っている。
次節以降の戦いが本当に楽しみになるラスト7分のドラマであった。

文末ではあるが、ウィントス君の特命にも触れておく。
今節を迎えるまでの『ウィントスキャップ』の残りは684個であった。
しかし、会場3時間前にもかかわらず販売所でウィントスキャップを求めるサポーターが並んでいた。
正式発表を待ちたいが、感覚では相当数売れたのではないだろうか。
残った購入機会は、第33節浦和戦のみ。多くの方の来場が見込まれるだけに、まだ購入されていない方はお早めに…。

ボールを保持している選手の判断がすべてのサッカー。
その判断に連動するのが味方の選手で、その判断を阻止するのが相手の選手の役割となる。
目指すはゴールで、お互いの思惑が交差する争点では何が起こるかわからない。
一瞬で決まるゴールまでには、それぞれの思惑が入った複雑な過程を経る。
サッカーで得点がなかなか生まれない所以でもあるが、ゴールが華でもある。
サッカーでは、一番難しいプレーがゴールなのである。

以上

2014.11.03 Reported by サカクラゲン
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