前回対戦は3月、第2節までさかのぼる。敵地に臨んだ湘南は、ホームの長崎に対し序盤からハイプレッシャーで圧倒した。3−0で手にした勝点3は思えば、勝利こそ収めたものの自分たちらしさを表現できずに終えた山形との開幕戦からのリスタートに似た意味を持っていたのかもしれない。以降、湘南は波に乗り、連勝はJ史に刻まれるまで伸びていく。
その道のりの先で、湘南は前節、優勝を決めた。球際激しい東京Vに苦戦を強いられはしたものの、スコアレスドローで勝点1を積み上げ、リーグ1位を確定させた。結果はもとより内容に目を向ける彼らに、J1昇格(※)を決めた第33節京都戦の際と同じく満面の笑顔はなかったが、開幕連勝記録や史上最速の昇格、クラブとしてJ加盟後初のリーグ優勝など、その足跡は尊い。それでもなお、「僕らのやるべきことは変わらなくて、この湘南スタイルのクオリティをより高め、J1でも同じ結果を出せるようにしていくだけだと思っています。そのためにも来季に向けて残り6試合、サポーターの皆さんに来年J1でもやれると思ってもらえるようなプレーを個人としてもチームとしてもしっかりやっていきたい」たとえば遠藤航が語ったように、足跡の背景には彼らの清しい姿勢がある。
対してBMWスタジアムに乗り込む長崎は前節、アウェイ山形戦に臨み、1−2で敗れた。佐藤洸一のゴールで前半のうちに先制し、GK植草裕樹を中心に粘り強い守備も発揮したが、後半2点を奪われ逆転された。横浜FCと讃岐に連勝後、1敗2分とここ3試合は勝利から離れている。
かつて湘南に在籍した石神直哉のクロスから佐藤が決めた前節の得点シーンにも表れている通り、長崎は高さもあってクロスからの得点力に秀でる。対する湘南は、かの京都戦のあと3試合連続無失点に抑えているが、GK秋元陽太とともにフル出場を続けてきたDF丸山祐市が出場停止により今季初めてメンバーを外れる。ビルドアップやリスクマネジメント、高さといった特長をもたらす丸山が不在となるが、しかし一方で、誰が出ても揺るがぬチーム力や違う個性の発露も期待される。
無失点を3試合続けている湘南だが、一方で前節の東京V戦と第34節岐阜戦はいずれも無得点に終わっている。だがこれについてもGK秋元はこんなふうに口にする。
「前線の選手たちに助けられているので日頃から感謝しているし、やはり自分たちは0で抑えることが大事。後ろでまたしっかりいい守備をして前線に繋げられたらと思います」
J2優勝決定を受け、この日の試合後には「J2表彰式」が予定されている。「優勝してむしろやらなければいけないという気持ちのほうが強いし、僕らは積み上げてきたものがあるので続けなければいけないと思っています」長崎との前回の対戦でJ初ゴールを決めた宇佐美宏和がたとえばそう語ったように、湘南は日々向き合う成果を勝点3に結び、ホームに集うサポーターとともに笑顔でシャーレを掲げたい。
(※J1昇格はJリーグ理事会の承認をもって最終的に確定します)
以上
2014.10.18 Reported by 隈元大吾
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