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【J1:第27節 清水 vs C大阪】レポート:チーム一丸となって気持ちと球際の強さを見せた清水が3−0の完勝。8試合ぶりの勝利で、順位もC大阪を逆転(14.10.06)

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残留争いでは、精神面が重要なカギを握るというのはよく言われること。雨中の決戦となった16位と17位の直接対決は、まさにそのことをわかりやすく示すゲーム展開となった。

この大一番に向けて清水は、ヤコヴィッチがケガから復帰したこともあって4バックに変更。「より前から守備に行くために中盤を厚くした」(大榎克己監督)という狙いで、システムは本田拓也をアンカーに置く4−1−4−1にして臨んだ。それに対してC大阪のほうは、システムの変更はなかったが、前節から南野拓実がU-19日本代表で、長谷川アーリアジャスールと丸橋祐介が出場停止で抜け、スタメンを4人変更。懸念された左サイドは、サイドバックにベテランの新井場徹、左の中盤に楠神順平が入った。

そんな中で勝敗を大きく左右したのは、試合への入り方だった。台風の影響で強い雨が降り続けていたが、風は強風というほどではなく、水はけの良さが抜群のアイスタのピッチはまったく水が浮いていないため、プレーへの影響はそれほど大きくなく、明暗を分けたのは両者の勢いや出足、迫力といった部分の差にあった。
ホームの清水は、大榎監督の指示通り前線から激しくボールを追いかけ、球際の競り合いでも強く当たって優位に立ち、奪ったボールは素早く縦につないで攻撃を仕掛けていく。1トップのノヴァコヴィッチも非常によくボールを収めて、その落としから2列目が仕掛ける形でもC大阪のDFラインにプレッシャーを与え続けた。

それに対してC大阪は、「受け身に回らずにということで入った中で、立ち上がりで後手を踏んでしまった」(大熊裕司)と、試合前のプランに反して清水の迫力に押され、ジリジリと下がってしまう展開になったのが痛かった。右サイドバックの酒本憲幸も「(清水が)1トップに当てて、ラインを押し上げてセカンドボールを狙ってくるのはわかっていたけど、セカンドボールが拾えなくてラインを上げられなかった」と前半の戦いを悔やんだ。前節までのメンバーで戦っていれば、マイボールのときに前でタメを作ったり、押し込む場面を作ったりして、全体が押し上げる時間を稼げていたかもしれないが、それは“もしも”の話。
こうして立ち上がりから清水が優位に立ち、セカンドボールを拾って連続攻撃を仕掛けていた8分、バイタルエリアで本田からの縦パスを受けた石毛秀樹がうまく相手をかわしながらターンし、そのまま右足でミドルシュート。本人としては右を狙っていたが、DFの背中に当たってコースが変わり、ゴール左隅に決まった。これまで4試合連続で開始25分以内に失点していた清水にとっては、じつに6試合ぶりの先制点。この大一番で早い時間に先制できたことは、選手たちにとっても本当に大きな後押しとなった。

その後、清水は出足を緩めることなく、守りに入ることもなく主導権を握り続けたことも大きな勝因のひとつ。ポゼッションで優位にたち、セカンドボールも拾って相手陣内で戦う時間を増やして前半だけで清水のシュート10本。12分にノヴァコヴィッチが、41分に六平光成が裏に抜け出してGKと1対1のビッグチャンスを迎えたが、それらを決めきれなかったのが前半で唯一物足りなかった部分だ。
ただ、C大阪のほうも、押された中でも14分に右クロスからカカウ、27分にスルーパスから杉本健勇と惜しい場面を作っており、それを決められていれば、勝敗の行方は大きく変わっていたかもしれない。

後半は、C大阪が前半の反省点を修正して五分五分の展開に持ち込みかけていたが、開始13分に楠神が河井陽介に対する危険なタックルでレッドカードを受け、一発退場。これで再び清水が主導権を握り続ける展開になったが、そこから追加点をなかなか決められないという流れも前半と同じ。逆にC大阪のほうは、10人で清水の攻撃を身体を張ってよくしのぎながら、杉本が右に流れてタメを作り、酒本が攻め上がって右サイドを崩すという形を何度か作って、31分には酒本の右クロスから永井龍がフリーでヘディングシュート。まだ勝点をあきらめてはいなかった。
しかし77分、清水の左CKからの二次攻撃で、吉田豊の左クロスをGKキム ジンヒョンが痛恨のキャッチミス。ポロリとこぼれたボールを良い位置にいた平岡康裕が押し込んで、清水がついに2点目を奪うことに成功。この日は勝利の女神も清水に味方していた。
そして、アディショナルタイムには元C大阪の村田和哉(84分〜)がカウンターで裏に抜け出し、そのままドリブルでGKもかわしてダメ押しの恩返し弾。清水が3−0で8試合ぶりの勝利を挙げ、順位もC大阪を逆転して16位にひとつ上げた。

清水の選手たちにとっては、最大の正念場でどれだけ全員の気持ちをひとつにして、自分たちの力を発揮できるかが問われた試合。そのために試合前の1週間で決起集会やメンタルトレーニングなどを行い、サポーターも練習場に40枚ものゲーフラを掲げて選手たちの背中を押した。そう考えると、サポーターも含めてクラブ全体がひとつになって、気持ちを出して戦うという面では、100点満点のゲームだった。
とくに球際で闘うという部分では大きな進歩が見られ、4−1−4−1のシステムがはまって前からの守備も機能した。つまり、こう戦えば勝てるという感触はつかめた試合だったとも言える。ただ、まだ降格圏を脱出できたわけではないし、残留が決まったわけでもない。だからこそ、この試合に入るときの気持ちを継続し、残り7試合でも同じサッカーを続けられるかどうかが重要になる。

以上

2014.10.06 Reported by 前島芳雄
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