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【J1:第27節 神戸 vs 名古屋】レポート:4−1−4−1に狂わされた神戸のパス回し。ハードワークを続けた名古屋が完勝。(14.10.06)

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しっかりとボールを保持しながら、アタッキングサードでは個を活かしたドリブルやワンタッチパス、あるいはスルーパスで崩していく。日本代表の森岡亮太を軸に、神戸が築き上げて来た今季のスタイルが、名古屋のハードワークに封じられた。

今季の神戸にとって生命線と言えるのがボールポゼッションの高さである。普段の練習でもオフ・ザ・ボールの動きを追求し、ボールホルダーに対してトライアングルの形成が少しでも遅れると安達亮監督がプレーを止め、檄を飛ばすほどこだわってきた部分だ。その連動したパス回しを、名古屋に狂わされた。

前節の退場処分により司令塔のレアンドロ・ドミンゲスを欠く名古屋は、ダニルソンをアンカーに置く4−1−4−1というフォーメーションを採用した。前節の4−2−3−1から考えれば、レアンドロの抜けた穴を日本代表に初選出された田口泰士と矢田旭の2人が埋める、いわば苦肉の策のようにも見えた。だが、実際には違った。結果論かもしれないが、矢田と田口の2枚を高い位置に配すことで、神戸のダブルボランチ(シンプリシオとチョンウヨン)に圧力を掛け、余裕のあるパス回しを消した。

前半立ち上がりは、神戸が主導権を握った。11分には古巣対決となった枝村匠馬(ワールドカップ中断前まで期限付きで名古屋に所属)が高い位置でプレッシングをかけ、森岡、枝村、相馬崇人を経由して、最後は相馬の鋭いセンタリングをマルキーニョスが頭で合わせて先制した。森岡のヒールパスなど華麗なパスワークで奪った見事なゴールにスタジアムが沸き、ゲームの流れは完全に神戸が手に入れたように思われた。
だが、あまりにもキレイなゴールだったからかもしれないが、この先制点を機に神戸のパスワークはエアポケットに落ちるようにリズムが狂い始めてしまう。
21分には、CKから川又堅碁に得意のヘディングシュートを決められて1−1の同点に。前半終了間際の46分には、田中マルクス闘莉王から右サイドハーフの松田力、田口とパスをつながれ、最後は田口のセンタリングから永井謙佑にヘディングで決められ逆転された。

後半。1点を追う神戸は、前半以上に森岡にボールを集め、名古屋の引いた守備を崩しに掛かる。だが、逆に名古屋に森岡が狙われ、らしくないボールロストをくり返した。
56分には森岡が永井にボールを奪われると、そのまま永井にドリブルでゴール前まで持ち込まれ、CB岩波拓也が切り返しで振り切られると3失点目を喫した。結果的にこの3失点目が最後まで神戸に重くのしかかり、ホームでの痛い敗戦となった。

試合後、神戸の安達亮監督は、この3失点目の原因を作った森岡について次のように述べている。
「日本代表に選ばれて注目もされていますし、明らかにうちのチームの攻撃の中心になっているので、(他のチームも含め)彼のところを潰しにくることはあると思います。今日はそれが名古屋の方が良かったということで、彼が特別悪かったとは思っていません。また、(チームとして)彼に頼っているところが大きいということもあるのかなと。もう少し色んな形で崩せれば…という反省もあります」
神戸のダブルボランチにプレスをかけ、森岡へパスが通ると、名古屋はすかさずダニルソンや永井が森岡に寄せてボールを奪いにいく。神戸は攻撃の際、森岡にパスが入る瞬間から周りが動き出して前掛かりになるため、攻撃の要である森岡がボールをロストすると守備が後手に回ることになる。神戸のストロングポイントは、ウィークポイントと表裏一体であることを改めて認識させられるゲームだった。

左サイドバックの相馬崇人は名古屋戦の守備について「一回カウンターされる度に50mくらいみんなが戻らされていたので体力が消耗した」と振り返っている。また、右サイドバックの高橋峻希は「相手のカウンターを受けるのはいいが、カウンターを仕返しして悪い取られ方をするケースがあった」と言う。
何も森岡を責めているわけではない。ボランチと森岡というパスの供給者が封じられた神戸は、個の力に頼った打開策に傾倒していくことがある。このゲームの後半で言えば、ペドロ・ジュニオールのドリブル、マルキーニョスの突っかけ、森岡と交代で入った石津大介のカットイン、途中出場の小川慶治朗のスピードなど。惜しいシュートもあったが、これでは引いた相手を崩し切るのは難しい。神戸の悪い部分が表に出た試合だったと言えそうだ。

名古屋の西野朗監督は勝因について「全員がハードワークして神戸のいいところを消して、自分たちの良さをわずかに出せたからじゃないか」と話した。その中で、田口の2アシスト、永井の2ゴール、川又の同点ゴールなど、活躍すべき人がきっちり結果を残した点が勝敗を分けた大きなポイントだったのかもしれない。

今節の勝敗で、神戸(7位)・名古屋(12位)とも順位の変動は無いが、結果的に6位のF東京から12位の名古屋まで7チームがわずか2ゲーム差(勝点差6)にひしめく混戦模様に。次節の結果次第では順位が目まぐるしく入れ替わる可能性も出て来た。
もちろん神戸が下位との勝点差を気にする必要はない。あくまで上を見て戦うべきだが、残り7節のうち4試合が上位対決(鹿島、鳥栖、G大阪、川崎F)というタフなゲームを控えているだけに、この敗戦をしっかり受け止める必要があるとも言える。

とはいえ、逆にこの上位対決を制せば、一気に順位へ跳ね上がる。次節のアウェイ徳島戦までには約2週間ある。この2ウィークをどう過ごすかが、初タイトルやACL出場権奪取のカギを握っていると言えそうだ。

以上

2014.10.06 Reported by 白井邦彦
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