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【J1:第26節 名古屋 vs 新潟】レポート:名古屋は自滅で4連勝ならず。新ツートップが機能した新潟が、順位を入れ替え名古屋の上に立った。(14.09.28)

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決定力、戦術の意図、技術。それらを欠いた敗戦を一言で表すならば、やはり「自滅」ということになってしまう。3連勝で残留争いから抜け出したばかりの名古屋は4連勝へと勢いを増したかに見えていたが、現実はそう甘くはなく、むしろ厳しさをもって目の前に立ちはだかった。

ほぼ全ての面で、新潟の意図が勝った試合だった。前節までの3試合ほどで採用していた3バックシステムからあっさり4バックに切り替え、1トップの名古屋に対応してきた。ツートップには加入後初スタメンのラファエルシルバと、こちらも夏に新加入した指宿洋史。田中達也、岡本英也という実力者たちをベンチに置き、台頭してきた若いFWたちは、ハードワークのチームの最前線らしくキックオフから前線をかきまわした。特にラファエルはスピードもさることながら馬力があり、少々のパスのズレやルーズボールならフィジカルでもって支配下に置いてしまう。精力的なフォアチェックができる選手でもあり、名古屋の最終ラインに常にプレッシャーと脅威を与え続けていた。このツートップはボールの収まりもよく、攻撃に厚みをもたせる効果も高く、またチームの持ち味である前からのプレッシングの起点にもなっていた。

その新潟に対し、名古屋は後手を踏んだ。まずDFラインの田中マルクス闘莉王が明らかに不調で、らしくないパスミスを連発。簡単なつなぎのパスでも意図がずれることがあり、まずそこで名古屋の攻撃はノッキングを起こした。前線で起点となる川又堅碁やレアンドロドミンゲスにもパスは届くが、新潟の素早い囲い込みの前にボールを失うこともしばしば。サイドに展開し攻撃を構築しようとしても、その時には新潟の守備組織がきっちりポジションを取っており、永井謙佑も矢田旭も仕掛けるスペースとタイミングを失っていた。その状態で現在の武器であるカウンターなど出せるはずもなく、ここで名古屋に迷いが生じる。

「相手を一人かわせば空くし、高い位置からプレスかけてくることはわかっていた。いろいろ考えながらやってたけど、もっとチーム全体でボールを回す意識をもってやれば、チャンスは増えたと思う。ロングボールを蹴ることが多かった」(田口泰士)

田口ら中盤の選手は相手のプレスを逆手にとってチャンスをうかがおうとしたが、最終ラインは川又堅碁を起点とした、3連勝の原動力となったダイナミックなサッカーをやろうとした。川又は前線で何度も競り合い、ボールを保持して起点になろうとしたが、中盤の反応が悪く厚みのある攻撃につなげていけない。29分にはようやくカウンターの形で矢野貴章のクロスからレアンドロがヘディングシュートを放ったが、枠を捉えられず。続く36分には田口、川又と縦につないで最後は永井が惜しいシュートを放ったが、これはGKに阻まれた。そこで得たコーナーキックは田中マルクス闘莉王へのチャンスボールとなるも、単純なトラップミスで逸機。39分には川又が得意のニアサイドでヘディングシュートを合わせたが、やはりボールはゴールマウスの外へ飛んで行った。

これだけ見ると、名古屋は攻勢に出ていたように見えるが、前半は新潟が支配した。開始2分でレオシルバがミドルシュートでゴールを強襲すると、その後もツートップを起点に次々とシュートを放ち、前半だけで9本を記録。31分には指宿が決定的なヘディングシュート、41分には田中亜が得意のミドルシュートでゴールを脅かすなど、名古屋のGK楢崎正剛にとっては忙しい開始45分となった。

劣勢の前半を受け、名古屋の西野朗監督の反応は早かった。動きの悪い矢田を見切り、ダニルソンを入れて中盤の活性化を図る。空いた右サイドには「勝負は中盤以降」と読み、久々の2列目となる中村を上げて対応した。だが、これが裏目に出た。慣れないポジションの中村は効果的にボールを引き出すことができず、自然と攻撃は左サイドに偏ることに。必然、永井は高めのポジションを取り、フォローに行く本多勇喜も上がっていく。守備に戻る距離は長くなり、疲労も蓄積する。名古屋の左サイドの疲弊度は他のポジションよりも上がった。その結果が59分の新潟の先制点だ。右サイドバックの松原健がクロスを上げる際、彼へのマークは不在だった。「あそこまでは出ていけなかった」とは本多の述懐だ。永井もまた、「僕が戻っていればクロスは上げさせなかった」と悔やむ。アーリー気味に上がったクロスは闘莉王が触ったものの、走り込んだ指宿の右足にピタリと合ってゴールへ一直線。指宿のJリーグでの初ゴールは、この日の決勝点となった。

新潟の先制後は、典型的なサッカーの試合展開となった。リードを得た新潟は無理をせず、堅い守備からポゼッションで時間を使い、時折カウンターを織り交ぜる。前がかる名古屋は川又の高さを使ったパワープレーのような形を軸に、人数をかけて攻めたてる。指揮官は失点後すぐに中村を松田力に代えツートップにして追い上げを図ったが、サイドに張ったレアンドロはむしろプレーの自由度を失い攻撃が単調化していった。レアンドロは新潟の激しい囲い込みにストレスを募らせ、80分と82分にイエローカードをもらって退場処分。その直前に決定的なシュートも打っていただけに、あまりに軽率と言わざるを得ない。名古屋の反撃は88分の松田のバー直撃の強烈なミドルシュートで打ち止め。こぼれ球を川又が執念で押し込みに行ったが、これはファウルを取られてヒーローにはなりそこねた。

とにもかくにも名古屋はチグハグさが敗因だ。その原因は連戦の疲労と見るのが妥当だが、それを言い訳にはできない。ただし、もともと体力には自信がある新潟だけに、その点でのアドバンテージは相手にあったのも確かだ。「選手達はよくハードワークしてやってくれたが、それを上回る新潟のハードワークに対応できなかった。前半は少しずつ対応が遅れたし、量、質ともに良くなかった印象。予想以上に選手たちに(連戦の)ダメージがあったのかと思う」とは西野監督の言。左足の負傷を押してフル出場した本多も「今日は疲れた。守備にしても相手はボール奪ってからが速かったし、準備もけっこう後手にまわったことが多かった」と劣勢を振り返る。一方で柳下正明監督は「今の名古屋の強みのところもしっかり抑えてくれたし、ディフェンスも自分たちのやろうとしていることを90分やれた」と穏やかに語っており、結果と内容に対する充実度がうかがえた。

これで今季の名古屋と新潟の対戦成績は、ヤマザキナビスコカップを含めて新潟の1勝2分。“勝ち越し”を許した名古屋はリーグ戦での順位も取って代わられた。次戦はレアンドロを欠いての戦いとなり、指揮官はまたもや攻撃の組み立てに頭を悩ませることになりそうだ。司令塔不在の前線を引っ張るのは川又か、この日はベンチ外となったケネディや玉田圭司か、それとも2試合連続でベンチ入りしている17歳の新星・杉森考起か。残り8試合となったリーグ戦は、後ろではなく前だけを見て突き進むべきだ。

以上

2014.09.28 Reported by 今井雄一朗
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