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【J1:第25節 甲府 vs 神戸】レポート:残留争い戦線ちょっとだけ変化あり。甲府の労働者が前線に高級な選手が揃う神戸から勝点3を足で稼ぎだした(14.09.24)

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ゴール裏中央に密集した甲府サポーターがアップの時から歌い続けて鼓舞した第25節。第23節の鳥栖戦の勝利以降――8試合未勝利のトンネルの出口手前では少しガタガタしたが――ファン・サポーターの応援と選手の頑張りがぴったりと同じ方向でひとつの力になっている感じがする甲府。総力戦で神戸に挑めそうな雰囲気だった。マルキーニョスとペドロ ジュニオールの、2人合わせて23ゴールの強力ツートップの神戸に対して、ワントップにここまで4ゴールでホームラン王のクリスティアーノを置き、シャドーに石原克哉と下田北斗を配置し、ボランチには新井涼平と稲垣祥と並べたJFK甲府。センターライン中央を労働者ボックスで固める形でもあった。ゴール裏のサポーターからの追い風を受けた甲府はアグレッシブな立ち上がりで主導権を取ったが、この勢いは長くは続かないと思って見ていた。しかし、組織のバランスを崩して我武者羅に行っていたのではなく、バランスを保ってメリハリをつけてバッテリーの浪費は抑えたクール・アグレッシブだった。立ち上がりは受ける形になった神戸だったが、消えているようでもマルキーニョスとペドロ ジュニオールがワンチャンスに大仕事をすることを覚悟しているから甲府の選手は集中力を欠かしてはいなかった。19分にペドロ ジュニオールが決定機にシュートを浮かせたが、このシュートは甲府の選手にとっていい刺激になったはず。

その後も甲府はセンターラインの労働者ボックスを中心に中央を締め、ファーストディフェンダーも距離を詰めて寄せることが多かったので、神戸の質の高さを発揮させない守備が継続できていた。与えたチャンスがゼロではないが、相当に完成度の高い守備だった。いい守備がいい攻撃に繋がると言われるが、35分、左サイドの阿部翔平がスペースに出したボールにクリスティアーノが反応する。ドリブルで突っかけ、増川隆洋が寄せてきた瞬間に打ったシュートは久しぶりにゴールネットを内側から揺らした。8月2日の第18節以来のリーグ戦のゴールは翌日の息子の誕生日を祝うゴールになった。クリスティアーノのシュートがホームランみたいにゴールの枠の上を飛び越えていくことを茶化していたことを謝らないといけない素晴らしいゴール。お蔭で機嫌のいいハーフタイムを過ごすことができた“甲府に勝ってほしい”と思っている人たち。でも、長い間そう思って応援してきた人ほど追い付かれてもショックを受けない回路を心の中に作ってハーフタイムを過ごしていたはず。なんといっても相手は凄い人が揃う神戸なんだから。

後半、リードを許している神戸の選手が先に集団でピッチに現れ、甲府はクリスティアーノが最初に一人で出てきた。先制ゴールを決めて出てきたアドレナリンのお蔭で疲れもなく、やる気満々な感じで。しかし、そのやる気を越えたのがハーフタイムにネジを巻かれてきた神戸の選手たちで、主導権を立ち上がりから奪った。60分の枝村匠馬のミドルシュートにはヒヤっとさせられたが、神戸の凄みを見せたのは68分の中央突破。甲府は中を絞ってやらせない準備をしていたが、それでもドリブルとワンタッチ・ツータッチパスのコンビネーションで崩してくる。心の中で(ワァ〜、ヤバイヤバイヤバイ)なんて思っているつもりが、最後の「ヤバイ」は声に出てしまう。ただ、神戸は安達亮監督が会見で話していたが、いつもに比べてちょっと精度が足りなかった。67分に甲府のサイドチェンジのパスミスを奪った時もそうだったが、甲府のミスをミスで助けることもあった。68分の中央突破もメッシ級のテクニックでないと厚い中央のラスボス・山本英臣を倒すことはできなかったかもしれない。後半の甲府は“守ってカウンター”という戦いを強いられたが、この“守って”も押し込まれて苦し紛れのクリアに“誰か走ってくれ”ではなかった。ワントップのクリスティアーノに対するサポートの距離は少し開いてしまっていたが、センターラインの労働者ボックスを機能させながらの“守って”なので彼を完全に孤立させることはなかった。上がる体力は残しながらの“守って”だった。

城福浩監督は守る時間が長い状況打開のために71分に阿部拓馬を左のシャドーで投入する。この交代はすぐに効果が出て、甲府がマイボールの時間を増やすことに成功する。前でボールをキープしてくれる時間が増えれば、後ろの選手はずっと守っている気分から解放されて守備の体力を回復できるし判断ミスも減る。GK・荻晃太の右足のドライバーの飛距離も心なしか伸びているようにも感じた。そして、80分、惜しいシュートキングだったジウシーニョが嬉しい嬉しい甲府での初ゴールを決める。左サイドからクリスティアーノが入れたクロスをファーでトラップして決めた。ネットが揺れたのを確認すると、ジウシーニョは時速45キロくらいのスピードでゴール裏のサポーターのところに駆け寄ってアドレナリンをまき散らした。

残り10分で2点のリード許した神戸はフレッシュな選手を投入しつつ、配置がどうなっているのか分からないほど前掛かりになる。それに対して、城福監督は前線でボールをキープできる選手を投入してゲームをクローズしにかかる。この辺りは去年の甲府とは違う。ゴール裏の甲府サポーターは「夢叶う小瀬」を歌ってクローズを後押しする。そして、その思いは叶って甲府が2−0で神戸に勝った。ACL出場権を狙う神戸にとっては“取りこぼし”と言われる試合になったが、38歳のマルキーニョス、35歳のシンプリシオ、34歳の増川とベテランがいるだけに、中2日のアウェイでほぼ同じメンバーで精度を落とさずに戦うのは厳しかったはず。アウェイが続くが、週末の広島戦に向けてのコンディショニングの成否が勝敗に大きく影響するかもしれない。

甲府はこれで順位を13位に上げたが、勝点差は小さい。ただ、この勝利が鳥栖戦の勝利と違うのは、内容が伴っていたこと。“この戦い方をすれば勝てる”という自信を手に入れたことは残留に向けて大きい要素だ。ホーム・山梨中銀スタジアムで連勝できたことも嬉しい。ファン・サポーターとチームがお互いの最大値を出し合って、お互いの期待に応える勝利を挙げることができた。雨降って地固まった…的な感じでもある。“次の横浜FM戦も勝てる”と呑気に水・木・金を過ごせるほどサッカーも横浜FMもは甘くはないが、明確になった方向性を持って横浜FMに挑むことができるのは大きい。そして、なによりクリスティアーノの戦力化がいい所に来ているような気がしていることも大きい。

以上

2014.09.24 Reported by 松尾潤
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