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【J1:第25節 仙台 vs 鹿島】レポート:前半は鹿島、後半は仙台のゲーム。互いに点を取れないもどかしさを感じながら、勝ったのは優勢を生かした鹿島(14.09.24)

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前半は鹿島が、後半は仙台が、攻めても点が入らないもどかしさを感じていた。そしてこの勝負をものにしたのは鹿島。43分に土居聖真が決めた1点を守りきって、勝利した。

前半は立ち上がりから鹿島ペースだった。「長いボールで押し込んで、相手の最終ラインを走らせようという狙い」(渡邉晋監督)のもと、仙台が立ち上がりにロングボールを送って、最終ラインを押し上げて…という攻撃を仕掛けようとしたが、鹿島がその落下点予測と競り合いの強さで上回り、押し返す場面が続いた。そうなると、高くなっていた仙台の最終ラインの裏は、逆に鹿島の狙いどころとなる。特に小笠原満男と柴崎岳の両ボランチが仙台のプレッシャーをかわし、スペースに適確な長距離パスを出した。5分に仙台のGKとDFの連係ミスを突いて遠藤康がシュートに持ちこんだ場面に始まり、10分、11分、12分(×2)と、立て続けに鹿島は仙台の背後を突いてシュートチャンスを迎えた。
しかし「早い時間に6回から8回のチャンスがあって、そこで3点、4点と決めなければならなかった」とトニーニョ セレーゾ監督が振り返ったように、鹿島はシュートミスもあって決めることができず。仙台側も徐々に距離を修正してオフサイドを取れるようになって、なんとか前半をしのぎきろうとしていた。

その展開が43分に変わった。鹿島の猛攻が一段落するかと思われたこの時間に、小笠原が仙台右サイドの裏を見逃さずパス。ここに流れたダヴィがボールを受けて敵陣深くまで突っ込み、その間にゴール前に走りこんだ土居がダヴィからのクロスを押しこんだ。「1本目を外していたので、どうしても決めたかった」という土居のゴールは、チームの攻勢に報いる1点となった。

これに対し、いいところなくハーフタイムを迎えた仙台は、後半立ち上がりから猛攻を仕掛ける。選手交代もシステム変更もなく、ハーフタイムの監督コメントもシンプルなものだったが、前半とは別のチームになっていた。こぼれ球に対する出足の鋭さで鹿島を上回り、ロングボールとショートパス交換の使い分けも前半よりできていた。さらに、前半に沈黙していた左サイドも攻撃に出られるようになり、野沢拓也のパス能力も生かされてチャンスが作られていた。

一体ハーフタイムにどれほど多くの修正点を確認したのだろうか。前後半の変化について試合後に石川直樹に尋ねてみたところ、特別な修正よりもまず基本の部分を確認したという。「特別な技術より、自分たちの意識のところ。(パスを)出したところに止まるのか、1歩2歩と動いて新しいコースを作るのか、そこを変えただけで前後半で違うチームになりました」と、この姿勢を前半から出せなかったことを反省していた。それはチームメイトも監督も同じだった。
前半は昌子源に抑えられていたウイルソンが後半は味方とともに切れ味を取り戻したり、戦線に復帰した中原貴之が途中出場して強引にチャンスを狙いに行ったりと、後半の仙台は最後までゴールを目指した。終盤には菅井直樹が競ったボールから赤嶺真吾が押し込んだが、これはオフサイドの判定でノーゴールとなった。攻勢になっても追いつくことができず、仙台は1点が遠いまま試合を終えた。

勝負のポイントはそれぞれ優勢な時間帯に点を取れたか取れなかった、というところが大きい。そしてその優勢な時間帯をどうやって作ったか、というところにも、この日の両者の差はあった。中2日という厳しいコンディションながら、鹿島は立ち上がりから鋭い出足で相手を圧倒し、優位に立った。仙台は悪い流れを後半に変えたことは大きいものの、ビハインドを負う前に優勢な時間帯を作り出したいところだった。
そして両チームともそれぞれの優勢な時間帯に感じたもどかしさは、次節以降にゴールというかたちで晴らすことが期待される。勝った鹿島は連勝を伸ばすため、負けた仙台は連敗をなんとしても止めるために。

以上

2014.09.24 Reported by 板垣晴朗
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